「デンバーポスト」のニューマン記者とキズラ記者がネット拡大論争について私見 打者が打ったファウルボールが少女を直撃する痛…

「デンバーポスト」のニューマン記者とキズラ記者がネット拡大論争について私見

 打者が打ったファウルボールが少女を直撃する痛ましい事故が起きたMLB。その後もファンに打球が当たったというニュースが度々聞かれるようになり、米国内では防球ネットを拡大すべきという論議が広がっている。既にドジャースやホワイトソックスがネット拡大を発表するなど、その動きは広がりを見せている。

 ネット拡大に賛否両論ある中で、米メディア「デンバーポスト」は、カイル・ニューマン記者とマーク・キズラ記者によるネット拡大についての討論記事を掲載し、この問題を掘り下げている。「メジャーリーグの球場でネットを拡大する必要があるか?」とする読者の質問に答えるようにして、キズラ記者とニューマン記者は私見を述べている。

 キズラ記者が「メジャーリーグの球場でネットを拡大する必要があるのでしょうか? それとも、フィールドに近い席のチケットを購入したファンが観戦の危険性についてもっと責任を持つべきなのでしょうか?」と疑問を投げかけると、ニューマン記者はこう語っている。

「私は断固としてネット反対派でした。世界最高の選手たちを近くで見るためにフィールドに近い高額なチケット代を支払った本物のファンたちが最大限に楽しめないと思っていました。しかし、球速が劇的に速くなり、平均打球速度も上がっています。そして、危ないのは携帯電話に夢中な人たちだけではありません。スコアをつけているおばあさん、反応の遅いグラブをつけたお父さん、そして子供たちにも当たる可能性があります」

 元来はネット拡大反対派だったというニューマン記者だが、昨今の選手のレベルの向上、そして人々を取り巻く環境の変化により、スタンドでの危険度は増していると指摘している。

ファンの姿にも疑問「多くのファンがプレーを見るのではなく、携帯電話を見ているのか不思議」

 キズラ記者が「反対派はネット拡大により、1.高額なチケット代を支払ったファンの視界の邪魔になる、2.観客と選手の交流の妨げになる、と主張しています」とネット拡大反対派の論調を示すと、ニューマン記者は「筋が通っているとは思いません。MLBは昨季開幕前までに少なくともダグアウトまでネットを拡大することを義務付け、それによるファンの視界への影響は大変小さなものです」とそれを否定した。

 さらには、日本のプロ野球を例に出し「日本のファンに聞いてみてください。NPBではネットがファウルポールまで設置されています。そして、ネットがあっても、ボールボーイやファウルフライなどでお土産を手に入れるチャンスはあります」と指摘した。

 キズラ記者が現代のスタジアムで起きている異変について言及。「なぜフィールドの近くの高額なチケット代を支払いながら、多くのファンがプレーを見るのではなく、携帯電話を見ているのか不思議に思うことがあります。しかし、それが今の世の中なのです」。せっかくの良席に座りながら、視線を落としてスマートフォンばかり見ているファンの姿勢に疑問を呈していた。

 様々な考え方はあれど、ニューマン記者は今こそ防球ネットを拡大すべきだという。「2018年にインディアナ大学が行った調査によると、MLBの試合で年間約1750人のファンがファウルボールに当たって怪我をしています。私のように伝統的な考えを持っていても、NPBに追随する時だと考えます。球団はファンを守るためにリスクを冒すべきではありません。私は2020年に向かって大きな変化があると予想します」。スタジアムのネット拡張論争は、米国での1つの社会問題となりつつある。(Full-Count編集部)