東日本大学選手権(東日本インカレ)トーナメント戦に駒を進めた早大は、関東1部リーグの強豪・青学大と対峙した。1部のチームに勝つことを目標としていたが1部昇格が叶わなかった早大にとって気持ちが入る相手であった。序盤から『粘りのバレー』を展開…

 東日本大学選手権(東日本インカレ)トーナメント戦に駒を進めた早大は、関東1部リーグの強豪・青学大と対峙した。1部のチームに勝つことを目標としていたが1部昇格が叶わなかった早大にとって気持ちが入る相手であった。序盤から『粘りのバレー』を展開した早大は、「攻める姿勢」(井上)で相手に食らいつくも、青学大の多彩な攻撃と質の高い守備に力及ばず、セットカウント0ー3(18-25、17-25、25-15)でストレート負けを喫した。

 前日の試合で出場が無かった富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)をコートに迎えた第1セットであったが、セット序盤は攻撃に精彩を欠く。しかし、富澤や河治えみり(社3=北海道・旭川実業)のディグがさえ渡り、粘りのあるバレーで相手に食らいつく。点差を縮めたい早大は、ピンチサーバー梨本未央(社3=東京・駒場)を投入し流れを掴みたかったが、相手のツーアタックやクイックなど的を絞らせない攻撃が早大の一枚上手をいき第1セットを先取された。続く第2セットも、『粘りのバレー』で相手に応戦する。途中出場の植松知里(文構3=香川・高松第一)のトスは、アタッカー陣に偏りなく供給され得点を積み重ねていく。13-24でマッチポイントを握られるも、中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)と山下日和(社1=千葉・市船橋)が4連続得点を奪い早大に流れが来たかと思われた。しかし開いた点差は大きく、このセットも奪われた。


けがをしながらも、気持ちでスパイクを打ち続けた富澤

 崖っぷち出迎えた第3セット。富澤のスパイクポイントで始まると、中澤の連続得点でこの試合初めてリードする展開に。しかし、直後に4連続得点を奪い返されタイムアウトを要求。青学大の攻撃を止めたい早大は、齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)や山下が懸命にブロックをするも、得点を重ねられる。富澤と中澤がこのセット奪った得点の約7割を稼ぐ活躍を見せたが、質の高い相手守備に好レシーブを連発されブレイクを取ることができない。点差を詰めることができなかった早大は、富澤のスパイクを相手ブロックにシャットアウトされ、青学大に敗戦した。


攻撃の中心となった中澤

 富澤が「雰囲気は悪くなかった」と語るように、早大はミスは出たものの持ち味である『粘りのバレー』を展開し本来の実力を発揮した試合であった。それにも関わらず力及ばなかった青学大からは、学ぶことも多かっただろう。春季リーグで涙を呑んでから、早慶戦と東日本インカレを経て成長し続けている現チーム。チームの事情でメンバーも変化し、選手内での競争がますます激しくなるこの夏。切磋琢磨したその先に、秋季リーグでの『1部昇格』が見えてくるに違いない。

(記事 友野開登、写真 細井万里男、菅沼恒輝)

★留学前最後の公式戦となった齋藤


これまでチームに貢献し続けた齋藤

  今年の秋から留学のため一時チームを離れることになった齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)。今大会がチームを離れる前、最後の大会となった。1年生からスターティングメンバ―として出場し、今期の春季リーグではブロック賞に輝くなど、これまで主力メンバーとしてチームに貢献してきた。早稲田に入ってよかったことを彼女は2つ挙げた。素敵なメンバーと出会い一緒にバレーボールができたこと、そしてブロック賞を取り好きなプレーでチームに貢献できたことだ。そんな齋藤だからこそ、チームメートへのメッセージを求めると、『感謝』という言葉が出てきたのだろう。「みんなが頑張っていることを頭に入れつつ、私も自分の道を頑張ろうと思います」と力強く語った齋藤は、『1部昇格』に向けて戦うチームメートに刺激を受けながら異国の地でさらなる成長を遂げることだろう。

(記事 友野開登、写真 細井万里男)

セットカウント
早大18-25
17-25
15-25
青学大
スタメン
レフト 井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)
レフト 中澤恵(スポ1=大阪・金襴会)
センター 齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)
センター 山下日和(社1=千葉・市船橋)
ライト 富澤結花(スポ4=東京・文京学院大女)
セッター 橋本美久(社2=福島・郡山女大附)
リベロ 河治えみり(社3=北海道・旭川実業)
コメント

富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)

――試合を振り返って

やりながら1部とやっていると感じがして、動きの速さや粘りの強さを痛感し、自分たちはこのようなチームにならなければいけないなと感じました。

――攻撃面を振り返って

まずはミスが多かったです。でもめぐみのバックアタックだったりセンターだったり、すごい攻めるというところまではしっかりいけたので、それはつぎにつながると思います。

――1部のチームに勝つことが目標とする中での青山学院大との対戦でしたが

青学さんの5番の左利きやセンターからの攻撃というのは多いことが分かっていたのでどのように対策するかを考えていましたが、それ以上に決められたというか、やらなきゃいけないことができなかったというのがあるので、1部とやっているからとかではなく自分たちの動きをもう一度見直さなくてはいけないなと思いました。

――いつもと違うポジションでしたが

特にないです(笑)。

――ディグがよかった印象ですが、守備面で意識したことはありますか

スパイク打ち始めて3日なので、スパイク全然打てないなと思っていたので、とにかくレシーブ頑張ろうという意気込みでプレーをしていました。

――チーム全体の雰囲気はいかがでしたか

悪くなかったと思います。北海道でやる試合は最後だと思ってやっていたので、色々な方に言われた通り雰囲気は悪くなかったと思います。ただもう少し切羽詰まったところまでいけるといいと思います。

――チームとしてこの敗戦をどう捉えていますか

本当に反省するところが多かったので、今日の試合はいいところは良かったのですが、それ以上に夏に向けて練習していい繋ぎの部分だったり準備の速さだったり見本が目の前にいて試合をできたと思うので今日の試合を振り返って夏に練習したいと思います。

――秋季リーグに向けて意気込みをお願いします

自分はもう1部ではできませんが、後輩を1部で試合をさせられるように私が全力で頑張るのと、秋リーグは各学年もう一段階成長できる場だと思うので夏にしっかり練習してもう一回皆がチームのことを考え早稲田らしいバレーが出来るように頑張ります。

井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

1部のチームですごく向こうも粘っていた印象があって、私たちはその分攻めないといけないのに、逆に自分たちのミスや、つなぎのミスとかも色々出ていたので、そこはもう少し改善していかないといけないなと思いました。

――1部のチームに勝つというのを目標としている中での青学大との対戦になりましたが、どのような気持ちで臨みましたか

ずっと1部で戦うというのを目標にしていて、春では2部で負けて悔しい思いをしていたので、絶対に青学には守る気持ちというよりは全員で攻める気持ちで頑張ろうという話をしていました。でもやっぱりまだまだ甘い部分がたくさんあって勝てなかったので、しっかり夏にもう一回立て直して戦えるようなチームを作りたいと思います。

――レセプションが安定していましたが、守備で意識した点はありますか

レセプションは何ともなかったんですけど、ディグがすごく調子が悪くて。なので本当に1部に通用するレシーブ練習をして、位置取りとか、〇〇の準備を早くとか、もう一回やり直さないといけないなと思いました。

――富澤主将がけがしている中で、3年生である井上選手がコート上で声を出している印象がありましたが、上級生として意識したことはありますか

キャプテンの結花さん(富澤)がけがをしていて、一番上が私たちなので、コートの中に下級生がいっぱいいてポイントを決めてくれているので、私は声で支えるしかないなと思いました。

――最後に秋リーグに向けて意気込みをお願いします

春に悔しい思いををしているので、秋は絶対勝って、入れ替え戦でも勝って、1部に行けるように頑張りたいです。

齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

1部リーグのチームということもあって、昨日のミーティングでも当たって砕けろっていう気持ちでとにかく思いっ切りやろうという話だったのですが、最初上手くはまらない場面があって相手にやられたというよりは自分たちからミスを出してしまって上手くいかったなっていうイメージがあります。

――きょうのご自身のプレーを振り返っていただけますか

事情がありこのチームでやるのが最後なのでとにかくやり切ろうという気持ちで臨んでいました。普段あまりないですがライトから決めたり自分が得意としている時間差もできたり、自分としてはミスも出してしまいましたが、なんとかやり切れたかなとは思います。

――一時チームを離れることになりますが、入学してから1年半を振り返っていただけますか

1年生から試合に出させてもらって最初は1部を経験させてもらいましたが、全然勝てなくて辛い思いをしました。それでも、色々な経験ができて、試合に出ながら1年生としてのことをやる1年間でした。今年に入ってからはひとつ学年が上がって後輩もできて自分がやるべきことも変わってくるなかで、先輩とか同期とか後輩とかに支えられていい時間を過ごしながら成長できたかなと思います。

――早稲田に入って良かったなと思うことは何ですか

まず1つは、とにかくチームのメンバーが本当にいい人ばかりで、プレーの上手い下手とかどういうバックグラウンドを持っているとかに関わらず仲もいいし色々なことが学年関係なく話せるし、そういう人たちに出会えてそういう方々の周りで自分の好きなバレーボールを一生懸命にできたというのは、本当に早稲田に入って良かったなと思います。もう1つは、個人的ではありますが春リーグ始まる前にみんなの前で「ブロック賞を取ります」って宣言して最後にその賞を取り切れて、自分の一番好きなプレーがブロックなのでそこで貢献できていたというのは本当に良かったです。

――チームメートに向けて一言お願いします

今の4年生と一緒にプレーすることは本当に無くて、チームに戻ってくる時には卒業をしてしまっているときなので・・・。チームに向けてはとりあえず感謝ですかね。本当に色々と声を掛けてもらって色々な話を聞いてもらって、一人一人にある自分の応援もすごく好きなんですよ(笑)。私のために作ってくれたり、本当に感謝ですね。先輩、同期、後輩に関わらずメンバーのことが好きで、寂しいですね・・・(笑)。今回は入れ替え戦にも行けなくて悔しい思いをしたし、私も最後1部に上げてこのチームを1回離れようと思っていたので本当に悔しい思いをみんなしていると思うので、抜けちゃうのは申し訳ないですが夏にチームを作り直して自分たちが目標としている『1部昇格』を目指して頑張って欲しいなと思います。みんなが頑張っていることを頭に入れつつ、私も自分の道を頑張ろうと思います。