写真:松平賢二(協和発酵キリン)/撮影:ラリーズ編集部

23日まで愛知県豊田市で行われた日本卓球リーグ(以下、日本リーグ)前期大会は、男子1部は東京アート、女子1部は十六銀行の優勝で幕を閉じた。日本リーグとは、主に企業に所属する実業団選手が参加する団体戦の卓球リーグだ。2017年にはすでに創立40周年を迎えており、日本の卓球界の屋台骨を支えてきた。

そんな日本リーグに、2019年4月、日本卓球界初となる「選手会」が誕生した。

スポーツ界の「選手会」と言えば、プロ野球を思い浮かべる方も多いだろう。

日本プロ野球選手会は、個人事業主であるプロ野球選手の年俸や肖像など選手の権利を守るための活動を行う組織だ。全12球団所属の全ての日本人選手が会員となっており、2004年には古田敦也選手会長(当時ヤクルト)率いる選手会が球団合併に反発し、日本プロ野球史上初のストライキを決行して世間を騒がせた。

一方で、日本卓球リーグは、主に企業に所属する会社員で選手が構成されており、すでに年俸などの権利は会社に守られている。

では日本リーグ選手会は、何のための組織なのか?選手会会長の松平賢二(協和発酵キリン)選手にお話を伺った。

「集客」のための選手会 立ち上げの狙いとは




写真:松平賢二(協和発酵キリン)/撮影:ラリーズ編集部

――どうして選手会を立ち上げたのでしょうか?
松平賢二(以下、松平):僕は社会人8年目になります。その間、日本リーグに良い選手が結構いるのにも関わらず、お客さんが少ないというのが一番引っかかっていて、どうにかできないかと思っていました。今は卓球ブームも来ているので、今までとは違った視点でお客さんを集められないかなと思い、選手会を立ち上げました。

――今までと同じやり方だと観客が集まらない。だから集客のために選手会を発足したと。
松平:そうですね。特に今はSNSがかなり流行っているので、SNSを使ってお客さん、特に若い世代の人にもっと日本卓球リーグを認知してもらい、選手を知ってもらいたいと思ってます。僕らの世代とか僕らのもっと下の子たちのほうがSNSは使ってるんで、そのスピード感を出せたらなと。

選手は個人でもみんなSNSをやっているので、いろいろわかるんですよね。ファンの人がどう思っているか、もっとこうしてほしいとか。意見を聞いて吸収できるところはして、改善していかなきゃいけないところはいっぱいあるので、観客目線と選手目線をうまく取り入れながらリーグ側に僕らが伝えられれば一番いいなと。

――逆に言うと今までそういう意見はリーグ側に伝わってなかった?
松平:伝わっていないというか(選手が)あまり発信しようと思っていなかったですし、全部リーグに任せっきりだったので。

でも選手会を作ることによって、もっとリーグ側と意見も交わせるようになるので、それが狙いの一つとしてはありますね。

ほとんどの選手が直接言えないので、それを僕が仲介じゃないですけど、選手側の意見を聞いてリーグに伝えたり、逆にリーグの意見を聞いて選手側に伝えることもやりたい。今のところ、うまく機能していると思いますね。

日本卓球リーグの選手をもっと知ってもらうために




写真:松平賢二(協和発酵キリン)/撮影:ラリーズ編集部

――選手会は日本リーグ所属の全選手が加入しているんでしょうか?
松平:そうですね。ありがたいことにみんな協力してくれてて、その中に会長や副会長がいます。副会長は1部と2部で男女2人ずつ出してもらって、1部男子が御内健太郎(シチズン時計)で女子が土`田美佳(中国電力)で、2部が北村祐馬(信号器材)と玉石美幸(エクセディ)です。

――日本リーグの選手全体で盛り上げていこうということですね。
松平:去年4月のビッグトーナメントの時に選手たちに選手会の構想についてきちんと説明をし、その時点で理解と賛同を得られました。

これをもし勝手に1部リーグ所属の選手だけがやっていてもたぶんバラバラになってしまうし、2部の選手の力が必要。一緒にやらないと成功しないので、一番気を付けながらやっているところです。

――SNSでの新人紹介動画も2部の選手でも面白い人がいるなと知るきっかけになりました。
松平:やっぱりお客さんを動員するためには選手を知ってもらうことが一番。日本リーグ1部の強い選手は知られてますけど、日本リーグの1部の選手以外はどうしても露出が少なくてあまり知られていない部分もある。なのでいろいろ情報を発信していって、「日本リーグは身近だよ」とアピールできれば、応援に来てくれる人も増えるかもしれない。

――SNS以外でもどんどん仕掛けていくんですか?
松平:まだ僕の勝手な構想ですけど、日本リーグの選手が作った大会だったり、今よりももっと内容の濃い講習会やイベントもやりたいと思っています。もちろん一番の目的は、日本リーグの選手をもっと知ってもらうということです。

集客にこだわる選手会を立ち上げたもう1つの狙い




写真:松平賢二(協和発酵キリン)/撮影:ラリーズ編集部

松平:あとは日本リーグの選手自体もちょっとモチベーションを上げたいというか。勝手な思いですけど。

――モチベーション?
松平:特に2部がやってる時って平日の木金がメインなんです。土曜日は1部も入っちゃうんで2部の一番面白いところが1部と一緒になって一斉にやっちゃうので、結局あんまり見られていない。やっぱり最後の方だと結構面白いんですよ。1位2位争いとか。

――選手にとっては一番面白いところが見られてないと思うのはキツイですね。
松平:そこでまずお客さんに入ってもらって、みんな見てもらってるっていう環境をつくるのがモチベーション上げるには一番大事かなと思って。最初に選手会を作る段階でアンケートをとったときに、お客さんが少ないというのがみんな共通で思っていることでしたし。そこでお客さんが増えたらモチベーションも一緒に上がってくるんで。実際、試合を見てもらわないと面白さはわからないと思うので、そこまで持っていくことが大事だなと思っています。




写真:松平賢二(協和発酵キリン)/撮影:ラリーズ編集部

日本リーグ全体を盛り上げるため奮闘する初代選手会長・松平賢二。集客を通した選手会の活動で、リーグ全体の活性化から選手個々人のモチベーションの向上までも広く見据える。日本リーグの観客動員と所属選手たちの情報発信に注目だ。

文:山下大志(ラリーズ編集部)
撮影地:協和発酵キリン卓球場