11月3日に開催される全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の関東学連推薦校選考会がいよいよあす行われる。昨年の全日本で15位に沈んだ早大は2015年以来4年ぶりの参加となる。チーム内8人の1万メートルの合計タイム上位20校が出場する今大会。…

 11月3日に開催される全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の関東学連推薦校選考会がいよいよあす行われる。昨年の全日本で15位に沈んだ早大は2015年以来4年ぶりの参加となる。チーム内8人の1万メートルの合計タイム上位20校が出場する今大会。そしてエントリー選手13人のうち1万メートルのレースに1組2人ずつ出走し、全4組・計8人の合計タイムで争われる。本戦への出場枠が前回の8校から5校へと減少し、より伊勢路への道が狭まった中で、早大はその切符をつかみとることができるか、注目が集まる。


早大の核となって活躍が期待される中谷(右)、太田智(中央)、井川

 出場校のうちの自己ベストの上位8人の合計タイムで、早大は3位に位置している(表1)。その中で明大、中央学大、早大の上位3校を比較すると表3〜5のようになる。エントリー上位8人の1万メートルの自己記録の平均は、29分切りの選手を5人そろえている明大が中央学大、早大を大きく引き離しており、中央学大と早大はほぼ同タイムだ。一方で今年度のベスト記録を比較すると、3校の平均タイムの差はわずか4秒程度となっている。試合数が少ないこともあり、一概に比較することはできないかもしれないが、上位3校の力は拮抗(きっこう)していると言えるだろう。さらに、他大学に目を向けてみよう。先月の関東学生対校選手権(関カレ)の5000メートルと1万メートルの結果を見ると、1部では明大の他に中大が、2部では創価大が善戦している(表5)。さらに東京国際大は関カレ2部5000メートル優勝のY.ヴィンセントや、1万メートルで28分28秒62のタイムを持ち、ハーフマラソンでユニバーシアード競技大会に内定済みの伊藤達彦を擁している。平均タイムでは早大に劣るものの、勝負強さが発揮されれば選考会突破への大きな壁になるかもしれない。


表1:出場校上位10校一覧


表2:明大の各選手記録と1万メートル上位8人の平均タイム


表3:中央学大の各選手記録と1万メートル上位8人の平均タイム


表4:早大の各選手記録と1万メートル上位8人の平均タイム


表5:関カレ1部、2部結果(5000メートルと1万メートル)

 『総合力』が問われる。1万メートルの自己記録の上位10人(表6)に早大の選手はおらず、外国人留学生がこぞって出場が予想される最終第4組での逆転は難しい。そのためいかに3組までに貯金をつくり、4組で逃げ切ることができるかが伊勢路への切符をつかむ鍵となる。今季は中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)が5月のゴールデンゲームズinのべおかで28分50秒77の自己新記録をマークしたほか、ルーキーの鈴木創士(スポ1=静岡・浜松日体)と小指卓也(スポ1=福島・学法石川)も自己ベストを出した。また、太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)は関カレではセカンドベストで6位(日本人3位)に入賞し、持ち味の勝負強さが戻ってきている。さらに、未だ1万メートルの出走こそないが、井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)は全国高校駅伝では最長区間の1区10キロを2、3年時と2年連続で務め、共に29分台で走破している実力者。トラックにおいても強さを発揮するだろう。エース頼みにしない、一人一人の確実な走りが求められる。


表6:エントリー選手の自己記録トップ10

 最終エントリーには、4月に1万メートルの自己記録を更新して関カレの同種目にも出場(38位)した太田直希(スポ2=静岡・浜松日体)が補欠となった以外には概ね順当なメンバーといったところか。1年生3人が全員出場し、4年生は太田智ただ一人。昨年の駅伝同様下級生の割合が高い、『フレッシュなメンバー』が顔をそろえた。

 各メンバーの配置も興味深い。小指とともに1組に入った半澤黎斗(スポ2=福島・学法石川)は今季は1500メートルをメインに出場しているが、鍛えたスピードをラストで発揮されることを狙った起用だろう。また、中谷は3組に入り、同じ2年生の千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)が、太田智と4組に出走。千明はけがが長引き、復帰戦となった5月の世田谷競技会からわずか間1カ月で最終組の大役を担う。このような指揮官の采配のもとで、早大はレースを進めていくことになる。

 大会当日の天候は曇り時々雨で最高気温が26度。競技開始時刻の18時には気温は若干下がるだろうが、梅雨らしいじめっとした中でのレースとなりそうだ。さらに会場の相模原ギオンスタジアムは風が吹き荒れることが多い。高い湿度と強風の影響で比較的スローな展開となるか。序盤では風よけなどといった集団の利を生かして余力を持ってレースを進め、後半へのペースアップに対応していきたい。

 トップ通過校の記録は、4時間を切るといった具合か。まずは上位5校に入り、確実に選考会を突破することが必須条件だが、今年度の長距離ブロックは『全日本、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)3位以内、予選会トップ通過』を掲げているだけに、1位通過を果たして今後のシーズンへの弾みにしたいところだ。いざ伊勢路へ、『W』のユニホームをまとった戦士たちが躍動する――。

(記事、構成 岡部稜)

エントリー選手

1組


半澤黎斗(スポ2=福島・学法石川)

自己記録

5000メートル:13分58秒08

1万メートル  :29分25秒05


小指卓也(スポ1=福島・学法石川)

自己記録

5000メートル:14分09秒37

1万メートル  :30分03秒53

2組


吉田匠(スポ3=京都・洛南)

自己記録

5000メートル:14分07秒40

1万メートル  :29分58秒90


鈴木創士(スポ1=静岡・浜松日体)

自己記録

5000メートル:14分06秒58

1万メートル  :29分26秒34

3組


中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)

自己記録

5000メートル:13分45秒49

1万メートル  :28分50秒77


井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)

自己記録

5000メートル:13分54秒59

1万メートル  :――

4組


太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)

自己記録

5000メートル:13分58秒72

1万メートル  :28分56秒32


千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)

自己記録

5000メートル:14分02秒16

1万メートル  :29分10秒27

補欠選手


遠藤宏夢(商4=東京・国学院久我山)

自己記録

5000メートル:14分27秒43

1万メートル  :29分39秒27


新迫志希(スポ4=広島・世羅)

自己記録

5000メートル:13分47秒97

1万メートル  :29分07秒06


三上多聞(商4=東京・早実)

自己記録

5000メートル:14分38秒65

1万メートル  :29分46秒49


宍倉健浩(スポ3=東京・早実)

自己記録

5000メートル:14分04秒54

1万メートル  :29分17秒12


太田直希(スポ2=静岡・浜松日体)

自己記録

5000メートル:14分09秒43

1万メートル  :29分21秒83