4日間にかけて行われる関東学生競技大会、通称「三大大会」は、全日本学生大会(全日本学生)への切符をかけた戦いだ。早大は関東学生章典障害競技大会(障害)と関東学生章典馬場競技大会(馬場)でそれぞれ団体3位とどちらも昨年より上位に食い込み、団…

 4日間にかけて行われる関東学生競技大会、通称「三大大会」は、全日本学生大会(全日本学生)への切符をかけた戦いだ。早大は関東学生章典障害競技大会(障害)と関東学生章典馬場競技大会(馬場)でそれぞれ団体3位とどちらも昨年より上位に食い込み、団体での出場枠を獲得した。個人では山下大輝(スポ3=宮城・東北)が障害で2位となった。

 障害で山下の乗っていた稲嵐は右後ろ足を痛めており、動きに制限があったという。同じコースを2回走行する中、「どうやったら馬が楽に飛べるのか」を考えて挑んだ山下。丁寧さを意識した1回目の走行では2つ障害を落とすが、2回目では減点ゼロ。1回目の結果を踏まえてテンポを重視したことで視界が開けた。総減点を抑えて進出した2日目の個人決勝も減点なく68.85秒で走り切る。同点の二人と迎えたジャンプオフではバーを1つ落とすが、怪我の状況からは予想外の2位となった。団体順位はチーム内の上位3人の結果によって決まる。蒔苗知紀主将(国教4=東京・玉川学園)が序盤で失権する場面があったものの、「どの馬もその馬の持っている力っていうのをある程度発揮でき」ていた。吉田光佑(スポ1=東福岡)・武井梧右(スポ3=東京・東農大一)・石山晴茄副将(スポ4=茨城・つくば秀英)の健闘ぶりが支えになり、早大は第1回走行後の仮結果で4位、第2回走行後3位に浮上した。また、馬場でも馬の特徴に対応して乗りこなす姿があった。


ジャンプオフで最終障害を飛び越える山下と稲嵐

 馬場で60点台の好成績を出し順位を押し上げた下愛理彩(社4=東京・早実)は、馬や周囲の人々があってこその結果だと強調する。エーデル・シュタインは特に馬場で演技する上で「バランスを起こすこと」(重心のとり方)に課題があるが、後援会の方の調整が助けになったという。さまざまな人がよりよい結果を目指すために何ができるか考えて関わっている中、下は結果に納得していない。全日本学生に向けて。石山と過去に暴れたこともある稲隆も冷静に演技し、59.781点。吉田・カプチーノAの59.188点を合わせ、4位の慶大と0.812点差で早大は3位につき、昨年逃した表彰台に上った。


馬場の下とエーデル・シュタイン

 「三大大会」は大会ごとの団体順位に加えて3大会の総合結果が競われる。蒔苗主将によれば、2日目の時点でまとまりがあり、よい雰囲気だという早大。22日・23日に行われる関東学生章典総合競技大会では、障害・馬場に続いて全日本学生での団体枠を獲得したい。蒔苗主将はチームを導く意気込みを見せる。

(記事、写真 日野遙)

結果

関東学生章典障害競技大会

▽第1回走行

吉田・ゾビオン タイム68.06 総減点4

石山・ジョルジオ・アルマーニ タイム79.97 総減点4

武井・稲帥 タイム81.68 総減点5

山下・稲嵐 タイム79.04 総減点8

蒔苗・タニノマティーニ 2反E

▽第2回走行

山下・稲嵐 タイム73.79 総減点0

吉田・ゾビオン タイム67.79 総減点8

武井・稲帥 タイム76.09 総減点16

石山・ジョルジオ・アルマーニ タイム92.83 総減点19

▽個人決勝

山下・稲嵐 タイム68.85 総減点0

▽ジャンプオフ

山下・稲嵐 タイム36.84 総減点4

▽個人

2位 山下・稲嵐

12位 吉田・ゾビオン

22位 武井・稲帥

24位 石山・ジョルジオ・アルマーニ

▽団体

優勝 日大

2位 専修大

3位 早大

関東学生章典馬場競技大会

▽個人

12位 下・エーデル・シュタイン

14位 石山・稲隆

17位 吉田・カプチーノA

▽団体

1位 日大

2位 専修大

3位 早大

コメント

蒔苗知紀主将(国教4=東京・玉川学園)

――今回早稲田の全体の目標はありましたか

 もちろん全競技通しての団体優勝、っていうのはそうですけれども。関東学生っていうのは毎年全日本学生の切符を取りに行く大事な試合になっているので。そこでしっかり三競技、馬場、障害、総合のすべてで、秋の全学の団体の枠がしっかりとれるようにっていうのは目標にしていました。

――全体や、それぞれの選手についてどのように感じられましたか

 まだ2日目しか終わっていないんですけど、非常にまとまりといいますか、選手間でいい感じの雰囲気はでているのかなっていうのはあります。個人で見たときには、山下がすごい障害頑張ってくれましたし、昨日の一走行目は武井がエナジーですごい大金星で活躍してくれたので、障害の団体もとれたんですけれども。自分が2走行ともふがいない結果で、帰ってこられなかったので、そこは申し訳ないことをしてしまったなあという反省はしています。明日から総合が始まるので自分がひっぱっていくような…あんまり総合の経験はないですけれども、でも主将としてしっかりチームを最後まで引っ張っていって、3種目すべての団体枠をとるっていう目標が達成できたらなあと思います。

山下大輝(スポ3=宮城・東北)

――今回で3度目の出場になりますが、今大会、出場された試合の全体をふりかえっていかがですか

 自分の稲嵐が、もともと股関節とか右後ろ足とかが痛い馬で、それがまだ痛いまんま、結局関東(今大会)まで完全に治らなくて出るのもやっとか、っていう状態で実は挑んでいたんですけど。なんとか普通にやれるだけでいいよね、全日本学生をメインに考えているからとりあえず出られればいいかっていう。でも思いがけなく、なんかすごい活躍してくれてよかったな。思った以上に馬が頑張ってくれてびっくりしました。

――馬が怪我をしているときに意識されることってありますか

 足が痛いけど(馬が)出ないといけないっていうのは変わらないので。その中で同じコースを飛ぶときに、どうやったら馬が楽に飛べるのか。例えば、僕は一走行目で丁寧に丁寧に行った結果、足が痛いせいで馬がいつもみたいなキレがなかった。だから2走行目は勢いでテンポよくテンポよくっていう風に切り替えたら、そっちの方が馬が体を使えたので痛い部分を補って走行ができたという感じです。馬のいたくないように、いいパフォーマンスを考えながらやっています。

――個人決勝とジャンプオフについてはいかがでしたか

 ジャンプオフも、右後ろ脚が痛いので思うように回転とかがうまくいかないことはわかっていたので。その中でどこまでいいコース割りをするか、いいペース配分をするかっていうのが肝だった。本当に全部が思った以上によかったです。

――早大で団体で順位を上げた要因は何だと思いますか

 団体だから当たり前ですけど、稲嵐だけが成績よくても、団体としては成績が上がらない。どの馬も今回、結構調子よかったんですよね。どの馬もその馬の持っている力っていうのをある程度発揮できていて、大きな乱れっていうのもそんなになかったのかな。っていうのが3位ですけど入賞できた理由かなと思います。

下愛理彩(社4=東京・早実)

――今大会の感触はいかがでしたか

 本当はもうちょっとちゃんと調整できていたら、もうちょっとよかったかなと思います。思ったよりも自分の感覚ではあまりすごくいいなとは思わなかったので。調整をしっかりして次の全日本学生に臨めたらなと思います。

――すみません、調整ってどういったことをされるのですか…

 毎日の運動で試合に向けてきっちりスケジュールを組んで、馬の状態が良くなるように…。エーデル(・シュタイン)はバランスを起こすことが課題なのでバランスを起こせるような運動を組み込みます。バランスを起こすっていうのは…。馬が後ろ足にパワーをためて、後ろ重心になるようにすると前足が上がるようになるので、特に馬場は、より馬場としてのきれいな走り方になるんですよ。速足とかしてても、すごいピーンと足を延ばしてくれたり。そういうきれいな走り方のために、日々の練習で馬の体をほぐしたりして、バランスを起こせるように、馬がより走りやすくなるようにしています。
…今回はOGの方が来てくださって私の前に乗ってくださって、私が乗った時にすごい動きやすい・演技をしやすいように調整してくれて。私が結果を出せるように、OGさんがいろいろ考えてやってくれているので、私だけがこうやっていろいろ考えてやっているわけじゃなくて…すごく周りのOGさんとかOBのコーチの方とか、いろいろ教えてくれて。それでやっと馬が、私が60%出せるようになって、みたいな感じだったので。すごく周りの人に助けられてやってこられましたっていう感じです。

――チームのほかの選手の馬場はいかがでしたか

 石山さんの乗っている稲隆はいつも暴れちゃうこととかもあったんですけど、今回暴れることもなく、すごく落ち着いて回っていたのでよかったです。馬も人も頑張ってくれてありがとうございますっていう。本当に、馬や周囲の人に助けられています。