8月7日から夏の甲子園大会がついに開幕し、初日からいきなり熱戦が繰り広げられた。横浜高の藤平尚真投手、履正社高の寺島成輝投手ら有望な選手のプレーにも注目が高まり、試合結果だけでなく、選手個々の活躍も追っていきたいところだ。■桐光学園・松井裕…

8月7日から夏の甲子園大会がついに開幕し、初日からいきなり熱戦が繰り広げられた。横浜高の藤平尚真投手、履正社高の寺島成輝投手ら有望な選手のプレーにも注目が高まり、試合結果だけでなく、選手個々の活躍も追っていきたいところだ。

■桐光学園・松井裕樹(楽天)が奪三振ショーを展開

 8月7日から夏の甲子園大会がついに開幕し、初日からいきなり熱戦が繰り広げられた。横浜高の藤平尚真投手、履正社高の寺島成輝投手ら有望な選手のプレーにも注目が高まり、試合結果だけでなく、選手個々の活躍も追っていきたいところだ。

 現在、活躍しているパ・リーグの若手ホープたちがしのぎを削ったのが、2012年夏の甲子園だった。この年、地方大会で最も注目を集めていたのが、岩手・花巻東高の大谷翔平投手(現・北海道日本ハム)。高校歴代最速の160キロを計測したが、岩手大会決勝で盛岡大附に敗れ、甲子園出場はならなかった。

 この年の甲子園で一気に評価が高まったのは、神奈川・桐光学園2年生のサウスポー・松井裕樹投手(現・楽天)だった。神奈川大会では46回1/3を投げて68奪三振を挙げた松井裕投手は、甲子園でも速球とスライダーのコンビネーションで数々の三振を奪っていった。初戦の愛媛・今治西戦では甲子園記録となる22奪三振を記録。圧巻だったのは、6回から9回までの10者連続三振だった。松井裕投手は打っても5回に3ランを放ち、投打で存在感を発揮する。

■光星学院には田村龍弘(ロッテ)、北條史也(阪神)の強力クリーンアップ

 続く2回戦の茨城・常総学院戦で19奪三振、3回戦の沖縄・浦添商戦で12奪三振と3試合で計53奪三振。1958年に徳島商・板東英二氏が打ち立てた大会記録の83奪三振を塗り替えるかどうかに注目が集まった。

 そして準々決勝で対戦したのが、2季連続甲子園準優勝の青森・光星学院(現・八戸学院光星)。試合は7回を終え、0対0と緊迫した展開が続く。8回表、光星は2死一、三塁と先制のチャンスを作ると、打線には3番・田村龍弘選手(現・千葉ロッテ)を迎える。カウント0-1から松井裕投手の投じた内角の直球を田村選手が振り抜き、打球はレフト前へ。田村選手の一打で光星学院は先制点を奪う。

 さらに4番・北條史也選手(現・阪神)の2点タイムリーツーベースで追加点を挙げ、3-0で光星学院が勝利する。松井裕投手を打ち崩した田村選手は、続く準決勝の山梨・東海大甲府戦では本塁打を含む5打数4安打4打点と大暴れ。光星学院は9-3で勝ち、3季連続の決勝進出を決める。

■大阪桐蔭は2年生捕手・森友哉(西武)が3年生エース藤浪晋太郎(阪神)をリード

 決勝は、センバツ決勝の再現となった大阪桐蔭と光星学院の対戦。この時、大阪桐蔭の2年生キャッチャーとしてエース・藤浪晋太郎投手(現・阪神)とバッテリーを組んでいたのが、森友哉選手(現・埼玉西武)だった。森選手は2年生ながら「1番・キャッチャー」として大阪桐蔭打線をけん引。3回戦の熊本・済々黌(せいせいこう)戦、準々決勝の奈良・天理戦で本塁打を放つなど、持ち前のフルスイングで甲子園を沸かせていた。

 その決勝で森選手は1安打に終わるも、先輩・藤浪投手を好リード。光星学院打線は8回までわずか1安打に抑えられ、田村選手は2三振と精彩を欠く。そして大阪桐蔭の3点リードで迎えた9回、田村選手は藤浪投手からセンター前ヒットを放ち、意地を見せるが、無得点で試合終了。大阪桐蔭が春夏連覇を達成した。

 あれから4年。高校からプロ入りした松井裕投手、田村選手、森選手は、プロ4年目ながらそれぞれがチームの主力として活躍。プロ野球界の巨星となるべく奮闘を続けている。今年の夏の甲子園、彼らのようにパ・リーグを引っ張る将来のスター候補が登場するのか。興味は尽きない。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」編集部