「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/オリンピックテニスセンター:バーハ・オリンピック・パーク/ハードコート)の女子シングルス1回戦で、第5シードのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)がキルステン・フリプケンス(ベ…

 「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/オリンピックテニスセンター:バーハ・オリンピック・パーク/ハードコート)の女子シングルス1回戦で、第5シードのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)がキルステン・フリプケンス(ベルギー)に敗れるという番狂わせが起きた。ファイナルセットのタイブレークで、ビーナスの最後のフォアハンドがラインを割ったとき、フリプケンスは地面に倒れてコート上の五輪のロゴにキスし、あたかも金メダルをつかんだかのように歓喜した。  これは世界62位のフリプケンスにとって、非常に大きな出来事だった。彼女はグランドスラム大会の準決勝に一度しか進出したことがない。

 4度にわたり、勝利まであと2ポイントと迫った36歳のビーナスは、ナイトマッチだったこの試合が3時間を過ぎていくうちに、次第に力を失い、フリプケンスは4-6 6-3 7-6(5)で勝利をものにしたのだった。  試合後、ビーナスは記者たちと話をしなかった。代わりに現れたアメリカ女子テニスチームのコーチ、メアリージョー・フェルナンデスが、ビーナスはブラジル到着前から体調を崩していたことを説明。さらに、試合後に脱水症状とケイレン、そして胃痛に苛まれていることや、何とか回復して妹セレナとのダブルスでプレーできるよう祈っているということを言い添えた。  「彼女がプレーしなかったら、私はすごく驚くわ。というのも、ふたたびオリンピックでメダルを目指すことは、ここ4年の彼女の目標だったから」とフェルナンデスは続けた。「彼女はメダルを心から欲している。ビーナスをよく知っているから言うけれど、どれほど気分が悪くても、彼女はコートに出てくるでしょうね」。  ビーナスはシングルスで5度オリンピックに出場した最初のテニスプレーヤーであり、2000年シドニー五輪で金メダルを獲得。これ以前には、最低でも3回戦に進出していた。彼女はまたダブルスでも2000、2008、2012年に金メダルを獲得し、合計4つの五輪の金メダルをその手につかんでいた。  ビーナスは先月、ウィンブルドンで準決勝に進出し、2010年以降でもっともいい成績を挙げることに成功。おかげで2011年以来の最高ランキングに到達することができた。

 2011年以降は、彼女が関節痛や疲労を引き起こす、シェーグレン症候群に苛まれてきたことは知られているが、今ではその問題を克服したと信じられている。  しかし、対フリプケンス戦でのビーナスは、ストロークでいいリズムをつかむことができず、かつて女子テニス界で最高のサービスを持つと言われた彼女だが、この試合では1本しかエースを奪えず、初五輪をプレーしたフリプケンスのほうが5本多くエースを取った。ビーナスはまた、第3セット4-1のリードを無駄にしてしまい、5-3からサービスに入ったときも、そこでブレークを許してしまった。  「これは私の人生でもっとも勇壮な試合のひとつだった」と試合後、フリプケンスは言った。  そのほかにもいくつかの番狂わせが起きている。第4シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)と第6シードのロベルタ・ビンチ(イタリア)も1回戦負けを喫した。(C)AP