「ゲーム、セット、クロアチア」と銘打った、マリン・チリッチ財団が主催するチャリティーイベントが、クロアチアにおけるテニスの発祥地であるサラタ複合運動施設で6月12日に開かれた。首都ザグレブに…

 「ゲーム、セット、クロアチア」と銘打った、マリン・チリッチ財団が主催するチャリティーイベントが、クロアチアにおけるテニスの発祥地であるサラタ複合運動施設で6月12日に開かれた。首都ザグレブに位置する同施設に集まったのは、クロアチア出身の名だたるスポーツ選手たち30名。チャリティーの目的は、クロアチアのトルディンチ小学校に、多目的運動場を設置すること。同小学校には現在、体育館も運動場もない状態で運営されている。

 「チャリティーのアイディアは去年の夏、コルチュラ島でトレーニングをしていた時に思いついたんです。レアルマドリードのルカ・モドリッチとプレミアリーグ・チェルシーFCのマテオ・コヴァチッチも同じ場所でトレーニングしていて、「ダブルスをするには一人足りないね」なんて冗談を言っていたんです。冗談ついでに写真をインスタグラムに投稿して、プレミアリーグ・リヴァプールFCのデヤン・ロブレンとインテルナツィオナーレ・ミラノのシメ・ヴルサリコを誘ってみたんですよ。そうしたら、沢山のスポーツ選手からメッセージが届いたんです。実は、これが事の始まりだったんです。」とチリッチは語る。

 セリエA・ユヴェントスFCで活躍するサッカー選手マリオ・マンジュキッチと、彼のダブルスパートナーである14歳のクロアチア・ジュニア選手パトリック・フリナは、決勝戦でチリッチ/モドリッチ組と対戦し勝利、その様子はクロアチア全国放送でテレビ生中継された。しかし、出場した有名テニス選手や、他のクロアチアを代表するアスリートたちにとって、最も重要だったのは、寄付金を集めて子供たちを支援することだった。

「子供たちにスポーツの喜びを体験するチャンスを与えてあげたいのです。私は、この「ゲーム、セット、クロアチア」を、できれば毎年開催して、必要とされる場所にスポーツ施設を建設したいと思っています。」と語る、なんとも博愛的なチリッチ、2016年には長い功績を称えられ、ATPワールドツアー・アワードのアーサー・アッシュ・人道貢献賞を受賞している。

 チリッチは受賞時に「テニスを通して頂いた訳ではありませんが、これは今までで一番名誉に感じる賞です。私にとって、もっとも価値がある賞になるでしょう。地域社会に貢献すること、特に子供たちを支援することは、私達みんなの願いなのです。」と話した。

 マリン・チリッチ財団は、教育、スポーツ、そして奨励プログラムを通して、青少年と子供たちに活動場所を用意し、また経済的な支援をすることで、彼らが夢をかなえるための手助けをしたいと考えている。

 チリッチのように財団を設立して社会貢献をしているATP選手は、ジョコビッチ、ナダル、フェデラー、キリオスなど有名トップ選手が名を連ねており、マレーのように、活発に慈善活動を行っている選手も少なくなく、それぞれに地元への社会貢献をしたり、発展途上国や子供たちを支援している。

日本では錦織圭らが中心となり、東日本大震災のチャリティーとして「ドリームテニス」を2011年に始めており、毎年行われている同大会には、チリッチも同郷のゴラン・イバニセビッチと共に2015年度に出場し、大いに会場を沸かせた。こうしてトップ選手が、オフコートでも多くの人々に夢と希望を与える姿を見られることは、うれしい限りである。

チャリティーに出場したアスリートは以下の通り

サッカー選手:ルカ・モドリッチ、マテオ・コバチッチ、マリオ・マンジュキッチ、アンドレイ・クラマリッチ、アンテ・レビッチ、デヤン・ロブレン、イヴァン・ペリシッチ、イヴァン・クラスニッチ、

ボート選手:ヴァレントシンコビッチ、マーティン・シンコビッチ

テニス選手:イバン・ドディグ、マテ・パビッチ、

フランコ・シュクゴール、ニコラ・メクティッチ、イバン・ルビチッチ、マリオ・アンチッチ、ロブロ・ゾフコ、マイト・デリッチ、アナ・コニュ、イバ・マヨリ、テナ・ルカス、エレナ・コスタニッチ・トシッチ

バスケットボール選手:ボヤン・ボグダノヴィッチ、ダリオ・サニカンド

他にも、やり投げのサラ・コラク、水泳のディナ・レバチッチ、体操のティン・スルビッチ、マリオ・モズニクそして水球のロフレ・ミロスが集まった。

※写真は2018年デビスカップ優勝トロフィーを手にするマリン・チリッチ

Photo by Jean Catuffe/Getty Images

ATP翻訳ニュース/ATPTour.com