「力不足と言わざるを得ない」。試合後、早大アーチェリー部をこれまで率いてきた竹内寛人主将は悔しさをにじませた。全国各地から強豪校が出場し、激戦が繰り広げられる全日本学生王座決定戦(王座)制覇を掲げて1年間努力を重ねてきた早大。しかし現実は…

 「力不足と言わざるを得ない」。試合後、早大アーチェリー部をこれまで率いてきた竹内寛人主将は悔しさをにじませた。全国各地から強豪校が出場し、激戦が繰り広げられる全日本学生王座決定戦(王座)制覇を掲げて1年間努力を重ねてきた早大。しかし現実は厳しかった。予選で12位となった早大は上位8チームが進める決勝ラウンドに進出できず。まさかの予選敗退となり、あまりにも早い幕切れとなった。

 例年2日間にわたって行われる王座。1日目の予選ラウンドで1チーム4人が72射を放ち、上位3人の合計点で順位をつける。続く2日目の決勝ラウンドでは予選の順位に応じてトーナメント表に割り当てられるという形式だ。そのため予選落ちするチームはないが、今年は違った。1日目(15日)が雨で中止となり、2日目(16日)に予選ラウンド、決勝ラウンドがまとめて行われることに。その影響で決勝ラウンドは準々決勝からとなり、半分以上のチームが予選で姿を消す厳しい戦いに。竹内は予選について、「過剰に意識はしてないのかなとは思っていたのですが、前日に何点ぐらいですかねといった話を後輩や、チームの中でよくしていたので、やっぱりみんなそれぞれ少しずつは意識していたのではないか」と振り返った。またこの日は時折強い風が吹き、射のタイミングが重要なカギとなった。「東日本大会の風よりも少しきつい風で、自分の中で修正力というか対応がうまくできなかった」と振り返ったのは、関東学生リーグ戦(リーグ戦)では点数面でチームをけん引した棚田。厳しい環境のなかでも「とにかく点数を出していこうと意気込んだ」という棚田だったが、「周りのメンバーを支えることができなかった」と反省の弁を述べた。


難しいコンディションの中奮闘した竹内

 メンバーの中で唯一3年連続出場となった市川遼治(スポ3=群馬・高崎商科大付)。「一番長く経験している身であって、かつ一番点を出さなければいけない立場ではありましたのでそういった意味では自分は点数を出すんだという気持ちで臨んだ」と話した市川だったが、「自分が思ったよりもちょっと思ったところにいかなかったということで、後半の方に気持ちが最後までもっていきことができなかった」と振り返った。王座初出場となった飛戸大知(社3=愛知)も「自身としてはあまり経験したことがなかったぐらい強い風だった」と試合を振り返り、コンディションへの対応が勝負を分ける結果となった。


チームトップの成績をマークした市川

 王座制覇を目標に戦ってきた早大アーチェリー部。この場所にたどり着くのは決して容易ではなかった。リーグ戦では王座進出が最後の1枠、5位決定戦にもつれる。しかし早大はここでチーム力を発揮、底力を見せ、掛川行きの切符をつかんだ。竹内寛人主将(スポ4=愛知・東海)は「リーグ戦、王座という流れの中で、王座制覇というものを見るには少し力不足だった」と話したが、1年間、ここまでチームを引っ張ってきた竹内の存在は大きかっただろう。例年とは異なる形式の中で、予選で戦いを終えることとなった早大。1年間、この大会にかけてきた思いが強かったからこそ、悔しさは大きかったはずだ。しかし今回出場したメンバーは竹内以外3年生。もう一度チャンス残されている。「まだ来年王座制覇するというチャンスはある」「大変な部分は多いと思うんですけど、頑張ってほしい」と後輩にエールを送った竹内。この悔しさを糧に悲願達成に向けて。早大の挑戦は新たな代でもう一度始まる。

(記事 岡秀樹、写真 岡秀樹 芦澤りさ)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません


応援も選手を盛り立てた

結果

▽予選ラウンド

早大 12位 1635点

コメント

竹内寛人主将(スポ4=愛知・東海)

――きょうの結果に対する率直な気持ちを教えてください

 そうですね。力不足と言わざるを得ないですし、棚田と市川は点数的には上位の方ではあったので、3番手がいなかったというのが、早稲田が決勝に進出できなかった原因だと思うので、それがまず非常に悔しいです。

――1日目が雨で中止となってしまって、きょうまとめて予選、決勝となりましたが、調整の面で難しい面はありましたか

 そうですね。前日、中止になった日、土砂降りになった日に公式練習というのは長くあったので、おのおの射ってはいたのですが、道具が濡れたというところで次の日に不安が出てしまったことが調整としては難しかったです。

――予選で足切りがあることでプレッシャーを感じる部分はありましたか

 そうですね。過剰に意識はしてないのかなとは思っていたのですが、前日に何点ぐらいですかねといった話を後輩や、チームの中でよくしていたので、やっぱりみんなそれぞれ少しずつは意識していたのではないかなと思います。

――きょうも風が強く吹き難しいコンディションだったと思うのですが、いかがでしたか

 そうですね。コンディションということについては厳しい環境ではあったのですが、その中で当たっている選手や、こういう環境になると外さないというのが大事になってくるので、そういうところで早稲田は外し過ぎたんじゃないかなと思っています。

――ご自身の射が終わった後もほかの選手に声を掛けていたのが印象的でした

 そうですね。僕が率いてきた代で、最後後輩3人と僕という選手で出ていますので、最後まであきらめないでほしいなと思ったので、応援しようというふうに思いました。

――主将としてチームを引っ張ってこられて、リーグ戦では苦しい状況もあったと思います。その中で王座進出を決まられました。王座が終わった今、振り返っていかがでしょうか

 そうですね。1年間やってきて僕がいない場面というのも非常に多くて、後輩たちにはかなり迷惑を掛けましたし、同期にはサポートしてもらう瞬間というのはすごく多かったんですけど、まずは王座に出ることができて、リーグ戦がぎりぎりだったということもあって、王座制覇というものを代の最初に掲げたんですけど、実際にリーグ戦、王座という流れの中で、王座制覇というものを見るには少し力不足だったなとも感じています。

――後輩たちに伝えていきたいことはありますか

 そうですね。僕はここで終わりですけど選手3人は3年生です。あと1回ありますし、後輩たちの中、2年生、1年生の中にもうまい子たちはたくさんいるので、全然まだ来年王座制覇するというチャンスはあると思うので、ここから1年間ですね、大変な部分は多いと思うんですけど、頑張ってほしいなと思います。

――最後に竹内選手自身、アーチェリーと今後どのように向き合っていきたいですか

 そうですね。僕はスポーツ推薦なので4年生の冬までは練習、試合に出るのでその中で射場にも行くので、後輩たちへの指導などの形でアーチェリーにも部活にも関わっていきたいなと思っています。

市川遼治(スポ3=群馬・高崎商科大付)

――きょうの結果に対する率直な気持ちを教えてください

 昨日、予選が中止になってしまって午前に予選、午後に決勝というなかなか特殊な形で、いつもと異なり足切りが予選で発生するとのことだったので、自分が思っていたよりも緊張した予選になりましたね。風が強い中で、最近出た試合は風が強い試合が多くてそこまで苦手意識や嫌なイメージは持たずに試合に臨めたつもりだったのですが、自分が思ったよりもちょっと思ったところにいかなかったということで、後半の方に気持ちが最後までもっていきことができなかったことが反省すべき点ですね。また来年があるので、あと1年、すぐにやってくると思うので、また新しいチームとして頑張っていきたいなと思います。

――3年連続の王座出場となりましたが、試合の中で意識されていた点はありますか

 出場歴で言えば一番長いということで、竹内寛人主将の4年と3年が3人で、一番上ではなかったのですが、一番長く経験している身であって、かつ一番点を出さなければいけない立場ではありましたのでそういった意味では自分は点数を出すんだという気持ちで臨みました。

――きょうで58代としての試合は最後になりましたが、1年間を振り返っていかがでしたか

 本当にここに来ると1年があっという間なんだなということを実感しますし、1年後もおそらくそう思えてしまうと思うので、この1年間の先輩方がどうしてきたか、正確には僕が1年生で入ったころからだったので、2年間先輩方がどういうようにやってきたのかというのが、次自分たちの代なので、よかった点、もっとこうすべきといった改善点等、自分たちの代で一つの良い形にできたらなという感じではあります。

――最後に、59代の新しいチームを引っ張っていく存在になられると思いますが、目標を教えてください

 どの代もそうだったのですが、王座制覇というのがチームとしての目標はこれで、ただ1年間試合とか、個人目標があると思いますので、その目標を一つひとつ達成していくことが王座制覇にゆくゆくはつながっていくと思いますので、チーム力であったり個人力が一体となって制覇を目指していけるようにチーム、団体の力を高めて来年の王座制覇につなげていけたらなと思います。

棚田歩(スポ3=北海道・帯広三条)

――試合を終えて、今の率直な気持ちを教えてください

 王座に出ていて、団体も射てずに終わってしまったということが情けないですし悔しいというのが率直な気持ちです。

――アーチェリー部として1年間王座にかける思いというのは強かったと思いますが、やはりそうした中で悔しさが残る結果となってしましましたか

 そうですね。やっぱり予選の段階で終わってしまったので、1年間やってきたものが出せたということではないんですけど、最後の集大成の戦いに行けなかったことがとても悔しい気持ちです。

――時折強い風が吹き、難しいコンディションの中での試合となりました

 東日本大会(5月)でも風が強くて、そこで自分の課題が見つかったので、その課題を練習して今回の王座に臨んできたのですが、東日本大会の風よりも少しきつい風で、自分の中で修正力というか対応がうまくできなかったことが反省点です。

――昨年に引き続いての王座出場となりましたが、試合の中で意識されていた点はありますか

 自分は58代のチームの中では点数を出してチームを引っ張る存在だと思っていたので、とにかく点数を出していこうと意気込んだんですけど、それが逆に自分にいっぱいいっぱいで周りのメンバーを支えることができなかったことが、きょうの悪いところだったかなと思います。

――高得点を決めた後にチームのメンバーと喜び合う場面が印象的だったのですが、意識的にされていたのですか

 早稲田大学アーチェリー部は本当に楽しく、10点を射ったらみんなで喜ぶというスタンスでやってきたので、自然にそこはできたのかなと思います。

――きょうで58代としての試合は最後になります。1年間を振り返っていかがでしたか

 この1年間は結構悔しいことが多かったのと、同時に自分の成長も両方感じることができた1年であって、今回また最後の最後でとても悔しい結果になったので、また努力はしなければいけないなということを感じた1年でした。

――最後に59代新体制での意気込みをお願いします

 これから自分たちは幹部代ということで点数とかではなく、本当にチームを引っ張っていかなければならない立場になるので、自分は主将ではないですけど、自分がチームを引っ張っていくんだという気持ちで、点数面でもチームの団結力の面でも両方引っ張っていけたらなと思います。

飛戸大知(社3=愛知)

――きょうの結果に対する率直な気持ちを教えてください

 悔しいというのと申し訳ないという2つですね。応援にいろんな方に来ていただいたのに不甲斐ない結果になってしまったので悔しい気持ちでいっぱいです。

――1年間この大会に懸ける思いはとても強かったと思いますが、その中で悔しさはありましたか

 そこを目指していますし、王座制覇というのはずっと早稲田大学として言い続けていたことなので、何としても獲りたいというのはあったので本当に悔しいですね。

――きょうは風が強く難しいコンデションだったと思いますが、その部分についてはいかがですか

 自分自身としてはあまり経験したことのないぐらい強い風だったんですけど、上位校にいる選手や本当に上手な人は、それでもしっかり点数をある程度出してきているので、そこの部分の差を埋めないと王座では勝てないというのを実感しました。

――初めての王座出場となったと思いますが、きょうの試合の中で意識していた点はありますか

 とにかく風のことはあまり気にしすぎずに、自分のことに集中して、応援に来てくださった皆さまの声を力に変えられればと思いながらやっていました。

――やはり応援の声というのは、モチベーションに繋がりますか

 本当にすごい効きました。本当に有り難かったです。

――きょうで58代としての試合は最後になると思います。1年間を振り返っていかがですか

 リーグ戦始まったときから結構苦しい時期が長く続いていて、ようやく王座出場というのに漕ぎ着けたという感じだったので、自分はまだあと1年あるのでそこを反省して、来年こそ王座を獲れればと思います。

――最後に次の59代、新体制での意気込みをお願いします

 もう負けるのは悪いので勝てるように、そこに向かって全力でやっていきたいと思います。