文=神高尚 写真=Getty Images

4位以下はどんぐりの背比べ、混沌のドラフトに

ラプターズの初優勝の興奮も冷めやらぬ中で決まったアンソニー・デイビスとレイカーズの若手によるトレードは、オフシーズンが本格的に到来したことを感じさせるものでした。そして、日本時間21日にはドラフトが行われ、さらなる盛り上がりを見せてくれるでしょう。

今年のドラフトの目玉はザイオン・ウィリアムソン。間違いなく1位で指名される逸材はレブロン・ジェームス2世とも言われ、1年生ながら大学最優秀選手に選ばれるなど期待を裏切らないモンスターぶりを発揮してきました。そんなザイオンに続くのが同じデューク大学で、アンダー世代でカナダ代表を優勝に導いたフォワードのRJ・バレット、そしてNCAAトーナメントで勝負強さとオールラウンダーぶりを発揮したガードのジャ・モーラントがトップ3で指名されることが確実視されています。

日本の八村塁も1巡目での指名が有力とされ、招待されたドラフト会場で名前が呼ばれるのを待つことでしょう。しかし、実は八村の指名順位も含めて4位以降は誰がいつ指名されるのか分からない状態だと言われています。

今年のドラフト候補の中ではザイオンが圧倒的なトップ。そしてバレットとモーラントも他を大きく引き離す一方で、4位以降はどんぐりの背比べ。各ポジションに有力選手はいるものの、ここ2年間に比べると小粒だったり、この1年間で伸びてこなかったりとトップ3と比べると評価が落ちてしまいます。

ペリカンズがレイカーズとのトレードで手に入れた4位指名権は、本来は金の卵を手に入れる貴重な順位の指名権のはずなのに、ペリカンズがトレードを画策しているとの噂があるように、例年の4位ほどの価値がないとされています。そのため各チームは選手の才能よりもチームに必要なポジションを優先すると考えられ、それぞれの編成責任者は他のチームが誰を指名するのかを読みながら戦略を構築していると思われます。

その混沌をさらに深める要素がもう一つあります。3つの1巡目指名権を持つホークスとセルティックスの存在です。再建中のホークスはこの2年間で4人の1巡目指名選手をロスターに加えており、ここから3人も増えると若手が多すぎてチームのバランスが崩れます。優勝を狙うセルティックスは3人も加えるとロスターにロールプレイヤーを組み込みにくくなります。

両チームともに有望な若手を獲得したところで十分なプレータイムを与えられず、育成できない可能性があるのです。よって、いずれもトレードによって指名権の順位アップや有力選手の獲得を狙っているとされていますが、今年のドラフトが読みにくい事情もあって、なかなか具体的な話が聞こえてきません。

指名順位が読みづらく、多すぎる指名権を持つチームが複数いることで、ドラフト当日はドラマティックなものになりそうです。選手を指名する裏側でトレード話が進むNBAでは昨年も1巡目指名選手だけで3件のトレードが決まりました。また2年前にはジミー・バトラーを含んだトレードも決まっており、選手からすると指名された時点でNBA選手になることは決まっても、どのチームに所属するのかは未知数だったりします。

次々に指名されていく選手たちと、その裏で進むトレード。八村塁がどこで指名されるかを待ちながら、各チームのスカウト力と交渉力に注目する一日になりそうです。