オリンピックを懸けた熱戦が日本で開催されている。6月13日から始まったアジア選手権。ここで結果を残せば世界ランキングを上げることができ、ひいては五輪出場枠の獲得にもつながる。それだけに今大会の重要度、注目度は高い。大会3日目は男子エペ個人…

 オリンピックを懸けた熱戦が日本で開催されている。6月13日から始まったアジア選手権。ここで結果を残せば世界ランキングを上げることができ、ひいては五輪出場枠の獲得にもつながる。それだけに今大会の重要度、注目度は高い。大会3日目は男子エペ個人が行われ、早大からは加納虹輝(スポ4=山口・岩国工)が出場。前年は個人で日本人最高の3位に入賞し、今大会は優勝も期待された中で迎えた。


技を仕掛ける加納(右)

★奮闘も悔いの残る結果に

 この日の最初に行われたプール戦は5勝1敗で本戦であるトーナメント戦に勝ち進む。「調子はいいぐらいに調整できていた」(加納)という通り、持ち味のスピードと剣さばきを生かしたプレーその中でも加納の強さが発揮されたのが、ベスト16を懸け臨んだ3回戦。リーチを生かした攻撃をしてくる外国人選手の前に試合は膠着(こうちゃく)状態に。しかし、3-3で始まった2ゲーム目からは本領発揮。後ろに引きながら、相手の隙をつくプレーがはまると、そこからは正確な突きが決まるように。最後まで崩れることなく白星を手にした。続く試合の対戦相手となったのは、日本代表の宇山賢(三菱電機)。お互いに手の内を知ることもあり、相手の動きをうかがう慎重な立ち上がりに。1点を争う好ゲームで先にリードを奪ったのは加納。2ゲーム目を7-6で終える。しかし、最終ゲームとなる3ゲームの初めに連続失点で逆転を許してしまう。「ここで取られたあたりが決め手だった」(加納)と後から振り返ったように、この1点のビハインドは最後まで大きくのしかかった。その後はカウンターを決められるなど、接戦を演じるものの、追い付くことができない。そのまま試合は進み、日本人対決の軍配は宇山に上がった。加納はベスト16敗退となった。


日本人対決を制すことはできなかった

 加納本来の実力からすれば、物足りない結果に終わってしまった。随所に加納の強みが見て取れた一方、「どうしても守りに徹してしまう」(加納)といった立ち回りの課題もあらわになった。また加納に勝利した宇山は準優勝、同じく日本代表である山田(自衛隊)が優勝するなど、他の日本人選手の活躍が目立った今大会。五輪出場のためには、彼らに後れを取らないパフォーマンス、そして結果を、今後の大会で出していかなければならない。課題を修正し、白熱する五輪出場のレースを制すことはできるか。今こそ正念場だ。

(記事 小原央、写真 望月清香)

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

結果

▽男子エペ

加納虹輝(スポ4=山口・岩国工) 13位

2回戦:◯15ー7 VAG-URMINSKY Paul Frantisek(カンボジア)

3回戦:◯15-9 FONG Hoi Sun(香港)

4回戦:●13-15 宇山賢(三菱重工)

コメント

加納虹輝(スポ4=山口・岩国工)※試合後、記者会見より一部抜粋

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

全体としては、自分の調子が悪かったというわけではなく、調子は良いぐらいに調整はできていたと思います。

――宇山選手とは、いつも練習されていると思うのですが、対策などはありましたか

普段毎日一緒に練習をしているので、対策という対策はできなくて、向こうも僕が何をするかというのを分かっているので、これといった対策はしなかったというかできないです。

――途中、宇山選手のジャンプや、目先を変えるプレーが多かったがいかがでしたか

宇山さんの特殊なプレースタイルなので、こっちもときには相手の意表をつくようなプレーをしようというのは心掛けました。

――最初はリードしていたが、逆転されてしまったという流れで、逆転されてしまった時はどのような心境でしたか

このまま簡単に15点まで取れるとは思っていなかったので、追い付かれてここからだなと気持ちを保つようにしていました。

――今日の試合の中で、試合の勝敗を分けるポイントはどこでしたか

6−6か7−7までいって、そこで2点連続で取られたあたりが決め手だったかなと思います。

――今日の試合の中で見えた課題点はありますか

ディフェンス面の課題です。どうしても守りに徹してしまうというところがあるので、ディフェンスしながらもカウンターの攻撃を混ぜていかなければいけないんですけど、カウンターのアタックが今日は全体的に少なかったという印象です。思い切ってカウンターのアタックをもっとできたら良かったなと思います。

――次の団体戦、世界選手権に向けて

まずは、団体戦で優勝すること。これが今一番近い大きな目標です。世界選手権では、個人戦を2年連続でベスト16なので、その壁を破って、ベスト8、メダル獲得を目標に掲げてやっていきたいと思います。