突然だが、アーチェリーの矢が放たれ、的を射るまでの速度をご存知だろうか。 答えは、200〜230km/h。 画像提供:全日本学生アーチェリー連盟 (アーチェリーの矢のスピードは)弓の強さにもよるが、時速200~230Km/h位とされている…

突然だが、アーチェリーの矢が放たれ、的を射るまでの速度をご存知だろうか。

答えは、200〜230km/h。

画像提供:全日本学生アーチェリー連盟

(アーチェリーの矢のスピードは)弓の強さにもよるが、時速200~230Km/h位とされている。その衝撃力は、厚さ5ミリの鉄板を射ち抜くほどだという。

安全のためマナーを守って楽しむ競技・アーチェリーは、紳士淑女のスポーツとも言われている。奥深く、哲学的なスポーツだ。

2019年6月15日・16日の二日間、静岡県掛川市の「つま恋リゾート彩の郷」で、大学アーチェリーの日本一が決まる。

その名も「2019年度王座決定戦」だ。

16日(日)に開催される「全日本学生アーチェリー王座決定戦・決勝戦」の模様は、スポーツブル内の「大学スポーツ」ページ「COLLEGE ATHLETE TV」特設ページで無料ライブ配信予定だ。

大学アーチェリー日本一の栄冠を勝ち取るのは、どの大学か?大会直前、スポーツブル編集部に気になるトピックスが寄せられた。なんと「大学生スタッフ自身」が「手作り」で「毎年」「大会」を「運営」しているという情報だ。

組織名は「全日本学生アーチェリー連盟」。スポーツブル編集部にも足を運んでくれた彼らに「2019年度王座決定戦」について聞いてみた。

「私たちにインタビューですか?」「え?僕らが?ですか?」

大会直前スポーツブルオフィスで撮影(写真左から)鈴木さん(中央)堀川さん(右)朝倉さん

 

驚きを隠せない、学連の代表者たち。それもそのはず、彼らは普段、大会運営を担うスタッフ業にコツコツと勤しむ縁の下の力持ちなのだから。アーチェリーという競技を愛し、選手をリスペクトし、大会を盛り上げる「2019年度王座決定戦」の「スペシャリスト」と例えよう。

「全日本学生アーチェリー連盟」から三名の精鋭たちに今週末に開催される「2019年度王座決定戦」の見どころについて、聞いて見た。

まずは「全日本学生アーチェリー連盟」の委員長を務める紅一点・堀川洸さんの言葉に耳を傾けよう。

「男女ともに決勝戦が行われる日曜の試合に注目ですね!土曜の予選も白熱してます」

法政大学に在籍する堀川さん。ハキハキとした大きな声と元気を振りまき、大人を交えた会議の場でも、絶妙な切り返しをこなし、クレバーな印象も残す彼女。アーチェリーの魅力に出逢ったのは、大学入学時なのだという。

「新入生歓迎会でみせられた部活紹介PVが、すごく楽しそうで入部を決めました(堀川さん)」

そんな委員長自身に「2019年度王座決定戦」への意気込みを直撃したところ、開会式の挨拶に魂を込めているようだ。それもそのはず、選手たちとの最初のコミュニケーションを重要視しているかららしい。インタビューの最中、委員長ならではのユニークな発言も飛び出した。

「開会式の委員長挨拶を原稿なしで言えるようになります!応援よろしくお願いします!(堀川さん)」

さらには、堀川委員長自身から、大学アスリートの皆さんへお願い事項があるという。その内容を原文ママで、展開しよう。

*選手の皆さんへお願い* 

「私が『選手の皆さんこんにちは』と言ったら間を開けずに『こんにちは』と返してください!皆さんからの迅速なレスポンスお待ちしております(堀川さん)」

昨年大会では、東日本大会の設営スタッフ人数が衝撃の6名だった、という苦難も乗り越え、様々な経験を生かし、2019シーズンの決勝大会へ挑む堀川さん。私たちスポーツブルも彼女の奮闘を応援せずにはいられない。

続いては、広報的役割を担う日本体育大学に在籍する、朝倉大輔さん。常に笑顔が特徴的な彼は、全日本学生アーチェリー連盟の渉外委員長を務めている。

「2019年度王座決定戦」は白熱の戦いが予想されるが、裏方にあたる大会運営にも着目したい。朝から晩まで、連日動き回る実際の大会運営や広報活動は、学生にとってハードな作業であることは間違いないだろう。勉学の合間をぬっての連盟の活動は大変な作業か?と尋ねたところ、思わぬ一言が返ってきた。

「楽しい!(朝倉さん)」

自身のアーチェリー経験も、6年というキャリアを持つ朝倉さん。体力勝負の大会運営にも自信を覗かせる。パワーフードは、ハンバーグ。特に、静岡エリアで人気のチェーン店のハンバーグがお気に入りなのだとか。つま恋への道のりでスタミナ補給は、もちろんハンバーグ。お肉パワーで、英気を養ってほしいものだ。

続いては、学生アーチェリーの大会において、Web・ITを構築する役割を担う鈴木さん。全日本学生アーチェリー連盟で普及委員長を務める鈴木さんは、筑波大学に通う学生アスリート。

昨年大会のライブ配信を成功させた功績を持ち、その腕前はプロ級だ。YouTubeライブ配信を用いて、大会の様子をテロップや大会情報なども融合させ、見事、ライブ配信を実現させている。

先輩から引き継いだライブ配信技術を駆使し、大学生アスリート達の奮闘を、カメラと機材を抱え、ファインダー越しに伝えた。現地では、なんとポケットWi-Fiを用いて配信を行ったという。そんな鈴木さんは、昨年の大会で経験した苦い思い出を糧に、今年もライブ配信にも参画するらしい。

「競技の休憩時間にカメラをテントに引っ込めたとき、YoutubeLive配信の音声をミュートにしわすれて昼食時の会話が流れてしまったことがあります。映像はOFFでしたが・・(鈴木さん)」  

なんとも微笑ましいエピソードに聞こえてしまうが、鈴木さんが語る表情は真剣そのもの。この熱意の塊こそ、大学スポーツの宝だと感じてしまう。そして、今回登場した三人の精鋭たちが、ごく一部の学生をクローズアップしていることも特筆しておきたい。

2019年6月15日、16日の二日間。静岡県掛川市の「つま恋リゾート彩の郷」で大学アーチェリーの日本一が決まる。この48時間という時間は、試合の勝敗だけではなく、アーチェリーという競技を通じて、数え切れないドラマがあるはずだ。

アーチェリーが好き、スポーツが好き、ただそれだけで、大学生という人生のわずか4年間という限られた時間の中で全力を尽くしている仲間たちが集う場所。それが「2019年度王座決定戦」だ。

大会の主役は、選手だけではない。大学スポーツを取り巻く環境と、同じ空間に集う、すべての人たちの力が集結し、光り輝く、すべての学生にスポーツブルは注目していきたい。

取材・文/スポーツブル編集部