チャレンジすることを臆さない。北口榛花選手(日本大学)を強くしたのは、チェコでの経験と日頃のトレーニングだ。その結果、2019年5月に開催された第6回木南道孝記念陸上競技大会やり投げ種目で64m36の日本新記録をマークして優勝。彼女は名実と…

チャレンジすることを臆さない。北口榛花選手(日本大学)を強くしたのは、チェコでの経験と日頃のトレーニングだ。その結果、2019年5月に開催された第6回木南道孝記念陸上競技大会やり投げ種目で64m36の日本新記録をマークして優勝。彼女は名実ともに “女王”となった。

世界を見てみたかった。やり投げの世界記録はチェコが独占している。昨年11月の北欧遠征でチェコ人のコーチと話す機会があり、勇気を出して「行ってみたい」と伝えたという。成長した自分の姿を想像すれば、挑戦することは何も怖くなかった。3年ほど記録が伸び悩んだ中での決断。「今のままじゃダメだ」と思うことは簡単でも、行動に移すのは誰にでもできることではない。「普段はなかなか新しいチャレンジができない」北口だが、この時は「今がチャンスだ」という直感で積極的に動き、単身チェコで1ヶ月武者修行することを選んだ。また、昨冬は自分でも納得がいく練習ができ、コーチや先輩から様々な指導を受けたことが、今シーズンの好調、ひいては日本新記録樹立に繋がった。

※バーベルを使ったトレーニングに励む北口。ここでも持ち前の笑顔を見せる

北口が大切にしているのはコミュニケーション。何かあるとすぐコーチをはじめ、関わってくれているすべての教員に連絡や相談することを心がける。日頃から信頼関係を構築しているからこそ、「チェコに行きたい」と彼女が伝えた時も、宮内コーチは「競技に関係なく、彼女の将来にとって大切な経験になる」との考えから快諾してくれた。

もうひとつ、彼女が大切に実践している教えがある。両親から「笑顔でいれば、きっと良いことがある」と言われたことだ。笑顔で常に前向きに行動していると、チャンスは自ずとやってくる。そして、それを掴むためのちょっとした勇気を出すことで、どこまでも成長することができる。彼女の競技に取り組む姿勢と笑顔は、アスリートのみならず見る人すべてに勇気を与えてくれるはずだ。

※大学アスリート1日密着動画「THE STARS」にて、北口選手を特集しています。
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北口榛花(きたぐち・はるか)
北海道旭川市出身。1998年3月16日生まれ。179センチ、86キロ。旭川東高校を経て、現在は日本大学スポーツ科学部4年。高校で顧問教師に勧められてやり投げを始め、世界ユース陸上競技選手権大会では金メダルを獲得した。2019年5月に開催された第6回木南道孝記念陸上競技大会で日本新記録をマークし、日本やり投げ界を代表する選手の一人となった。