レスリング国内二大大会の一つ、明治杯全日本選抜選手権(明治杯)が開幕した。初日はフリースタイル(フリー)97キロ級の山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)、グレコローマンスタイル97キロ級の松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)が出場。明治杯…

 レスリング国内二大大会の一つ、明治杯全日本選抜選手権(明治杯)が開幕した。初日はフリースタイル(フリー)97キロ級の山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)、グレコローマンスタイル97キロ級の松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)が出場。明治杯初出場の山崎は実力者相手に敗北し初戦敗退。松本は初戦を突破したものの準決勝で破れ、3位決定戦へ臨むこととなった。

 先に出番を迎えたのは1年の山崎。初戦の相手は昨年フリー92キロ級で世界選手権3位に輝いている松本篤史(警視庁第六機動隊)。山崎は開始直後から相手の足元を狙い攻め続け、2度相手にパッシブを与える。しかし、すぐに場外に押し出されてしまい、相手に1点を献上。その後、得点を重ねられ4点のビハインドで折り返す。後半になってからも低い姿勢で崩しにかかるが、相手の優勢は変わらない。「こんなに力があるんだと感じて気圧されてしまった」と試合後山崎が語ったように、相手は圧倒的なパワーを見せつけ、後半開始20秒で山崎は後ろに投げ飛ばされ4点の大技を決められてしまう。その後相手は確実に2点を決めそのまま万事休す。「体力面ですね」と今大会で見つかった課題を振り返る山崎。0―10と無得点で終わり、初めての明治杯は悔しい結果となった。


実力者相手に攻めるも体力の課題が見えた山崎

 昨年と同階級で挑んだ松本は初戦準々決勝を迎えた。始めから積極的に攻め続け、相手のパッシブを誘う。明治杯に向けて鍛えてきたのは「グラウンド技」と語った松本。その成果をしっかりと発揮し、相手をマット上に沈めるとローリングで得点。その後も相手に隙を与えず、3−0で後半を迎える。後半では相手の果敢な攻めに苦しむも耐え切り、3−2で準々決勝を突破した。続く準決勝。相手は昨年全日本選手権(天皇杯)優勝などグレコローマンスタイルで多くの白星をあげている実力者の奈良勇太(警視庁第六機動隊)。初戦と同じくグラウンド技を決めていこうと臨んだ松本。しかし、うまく受け流され、逆にマットに叩きつけられてしまう。圧倒的な力でローリングも決められ一気に点差が広がる。食い止めようと相手をつかみ投げにいくも決まらない。逆にその隙を突かれ再び相手に投げられてしまう。松本は終始流れを変えることはできず、無得点でテクニカルフォール負け。前半3分で決着をつけられてしまった。「無駄な力を使わずに最小限で動かされていたイメージだった」と試合後語った松本。王者の壁は厚かった。


グラウンド技をきっちり決めた松本

 松本は入賞を目指し、3位決定戦へと挑むこととなった。相手は天皇杯で3位入賞を果たしている岡太一(自衛隊)。明治杯は強者ぞろいの厳しい戦いだ。「自分から積極的に前に出てパッシブを取ってグラウンドを返すというのを目標に頑張りたいです」と松本は意気込む。あす、しっかりと勝利を収めて大学最後の明治杯を笑顔で終わりたい。また、「12月の全日本(天皇杯)では学生が誰も表情台に上がれなかったので、まず松本が表情台に上がって、2日目以降に弾みをつけてもらいたい」と試合後に話した太田監督。全日本の雪辱を果たし、今大会エンジが入賞を果たせるか。ついに明治杯の幕が上がった。

(記事 北﨑麗、写真 山口日奈子)

結果

男子フリースタイル
▽97キロ級
山崎 1回戦敗退


男子グレコローマンスタイル
▽97キロ級
松本 準決勝敗退(3位決定戦へ)

コメント

太田拓弥監督

――明治杯へ向けて準備してきたことは

佐藤ヘッドコーチ(吏、平17スポ卒=秋田商)が入って3月の半ばから取り組んでいることは組み手のところと、横についたり崩したりしてからタックル入る、そしてグラウンドって流れを徹底的にやってました。

――山崎選手の初戦の敗因は

タックル入るタイミングは何回かあったんですけど、そこから取りきれる力というのがまだまだ足りなくて。実際体重も92キロぐらいしかなくて、1階級下の選手なので、97キロの階級の体がまだ出来てない。なので、97キロ級の体づくりをしていかなければなと思います。そこがまず敗因の1つですね。

――松本選手に関して

1試合目はよく負けてた相手に勝ちましたし、去年のインカレで確か対戦していると思うんですけど、その時は結構差が広がった負け方をしてて。今日この試合は最後追いつかれそうになりましたけど、よく粘って勝ちましたしその点についてはよかったです。ただ、準決勝はちょっと差があったかなというような内容だったので、もう少しいい試合をしてほしかったなっていうところですね。

――松本選手と山崎選手に見つかった課題は

自分の取るかたちっていうものと自分のレスリングをどういったかたちでポイントをつないでいくかというのは課題としてやはり残ったと思うので、そこをしっかりとやっていきたいと思いますね。

――2日目以降に向けて

OBの山口剛(ブシロード)が決勝に進出しました。とにかく一人優勝して明日から出場する者が勢いづくような勝ち方をしてもらいたいなと思いますし、一人でも多く優勝者を出して、12月の全日本では学生が表彰台に上がれなかったので、まず松本が表彰台に上がって、2日目以降に弾みをつけてもらいたいなっていうのと、7月6日プレーオフがあるんですけど、そのプレーオフに進出できるように。その上で世界選手権でメダルを取れば東京五輪が内定するのでそれに向けてしっかり試合をしてもらいたいなと思います。

松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)

――明治杯まで重点を置いて練習してきたこととは

やはりグラウンド技の強化ですね。

――初戦はどのような戦略でいこうと考えてましたか

とりあえず前に出て、得意のグラウンドで。できればテクニカルフォールで勝ちたかったんですけど、まあ一回回せたので。当初の目標としては全部劣っていてクリアできてないんですが、最低限はできたかなと思います。

――初戦は戦略通りにいけたということですか

はい、そうですね。

――2回戦を振り返って

相手がリラックスしてたのか、力を抜いていたのか分からないんですけど、触った感じではそんなに力の差は感じなかったです。けど、一回技に入られるとやっぱり違うなという印象があって。攻めるときと攻めないときのオンオフがすごくはっきりしていて、そこがちょっと差があったなと、敗因だと思います。

――初戦と同様にグラウンド技に持ち込む戦略を立てていましたか

はい、そうです。

――その時に初戦の相手と準決勝の相手を比べるとその差とは

先ほども言ったように力を抜くときと抜かないときがはっきりしていて、無駄な力を使わずに最小限で動かされているようなイメージがすごくありましたね。

――3位決定戦に向けて

初戦でいいところは出せたのでそこのところを突きつめて、自分から積極的に前に出てタックルとってグラウンドを返すというのを目標に頑張りたいと思います

山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)

――明治杯に向けて取り組んできたことは

大学の試合を始めてから体幹で負けていて、相手に吹っ飛ばされるということが多かったんですけど。まず体幹の基礎トレーニングから始め直してぶれない体づくりをしてきました。

――初めての明治杯の雰囲気は

結構緊張しましたね。トップ選手が集まっていたので。

――初戦の相手は世界で結果を残す実力者の松本選手でしたが実際組んでみて思ったことは

元々押しが強い選手だとは聞いていたのでそれを意識して行ったんですけど、やっぱり想像よりも押しが強くて、こんなに力があるんだなって気圧されちゃいました。

――今大会で見つかった課題は

体力ですね。1ピリオド目は結構受けていたんですけど、やっぱり2ピリオド目で、相手が強いというのもあるんですが、体力が無くなっちゃって2ピリオド目が始まった瞬間にすぐにやられてしまった。体力を付けてかないとなって思います。

――インカレへ向けて

大学に入ってからまだそんなに勝ててないので、優勝を目指して、一から体力づくりをしていこうと思ってます。