ハマの小さな守護神に試練の夏が訪れている。DeNA・山崎康晃。不動のクローザーは、5日の中日戦(横浜)に2点リードの9回から登板。しかし、2死から3失点で試合をひっくり返され、痛恨の逆転負け。降板後はベンチで涙を堪えるような姿が印象的だった…

ハマの小さな守護神に試練の夏が訪れている。DeNA・山崎康晃。不動のクローザーは、5日の中日戦(横浜)に2点リードの9回から登板。しかし、2死から3失点で試合をひっくり返され、痛恨の逆転負け。降板後はベンチで涙を堪えるような姿が印象的だった。

■繰り返された悪夢、真価問われるDeNA守護神

 ハマの小さな守護神に試練の夏が訪れている。DeNA・山崎康晃。不動のクローザーは、5日の中日戦(横浜)に2点リードの9回から登板。しかし、2死から3失点で試合をひっくり返され、痛恨の逆転負け。降板後はベンチで涙を堪えるような姿が印象的だった。

 その涙には、不甲斐ない己への腹立たしさがあったのだろう。今季2度目となる4日連続登板となったが、不安定な投球が続いていた。

 直前の阪神3連戦(横浜)。初戦は同点の9回に自己ワースト4失点で勝ち越され、2戦目は2点リードの9回にセーブこそついたが1失点、3戦目は2点リードの9回に2失点で同点に追いつかれた。そして、中日戦で悪夢は繰り返されてしまった。

 4試合で計3回2/3を10安打10失点。昨季は新人歴代最多の37セーブを挙げた若き守護神にとって、4試合連続の失点は2年目で初。「打たれたのが現実。その現実を受け止めたい」と話し、チームも1勝3敗と痛い星を落とした。

■まさかの乱調も指揮官の信頼は揺るがず

 まさかの乱調となり、ラミレス監督は「4連投したので、1日休ませる」と話したが「その後は山崎がクローザーだ」と配置転換は否定。常々「うちの抑えは山崎」と公言しているように、強い信頼感を口にした。

 絶対的守護神が、なぜこうも打たれてしまったのか。いくつか考えられる。

 もともと投球は直球とツーシームの2種類で組み立てている。中日戦は打たれた4本のヒットは、すべてツーシーム。いずれもストライクからボールゾーンへ沈む軌道ではなく、ストライクゾーンに残してしまい、痛打につながっていた。夏場を迎え、ボールのキレや微妙なコントロールにも狂いが生じている側面があるだろう。

 加えて、3連戦すべて失点した阪神戦は、それ以前も今季3試合3イニングで3失点、防御率9.00だ。首位・広島、2位・巨人には自責0を記録しているのに対して、阪神を唯一苦手としていた。体力的に厳しい季節にお得意様にしてやられた印象が強かった。

■守護神を支えるチームメートの存在

 昨年も夏場に疲れから調子を落としこともあり、今年はキャンプから球数を抑え、マイペース調整を貫いてきたが、再び訪れた試練。それでも、乗り越えなければいけないのが、クローザーの責務である。前述の通り、ラミレス監督は今後も抑えとして起用する方針で信頼感は少しも揺らいでいない。

 その思いは、チームメートにとっても一緒のようだ。山崎康の乱調で逆転負けした翌8日の中日戦。チームは序盤の4点差をはね返し、終盤に大逆転勝ち。それを呼び込んだ要因は、山崎康とブルペンを守る救援陣4人が無失点でつないだことだ。

 特に、2点リードのセーブ機会で回ってきた9回は田中と三上2人をつぎこみ、代役守護神として試合を締めた。須田、加賀も含めて淡々と仕事をこなし、山崎康不在を全員でカバーした。ラミレス監督が「今季、一番いい試合だった。今後のターニングポイントになる」と絶賛した劇的勝利となり、ブルペンでは最年少の守護神は奮い立ったに違いない。

 早ければ、今日7日の中日戦から9回のマウンドに上がる。チームメートに支えられ、本拠地で復活の投球が見られるか。守護神の真価が問われる。