6月12日の広島戦(札幌ドーム)で、ついに日本ハムのドラフト1位ルーキー・吉田輝星が一軍のマウンドに上がる。

 吉田は、昨年夏の甲子園で金足農(秋田)のエースとして獅子奮迅の活躍を見せ、秋田県勢103年ぶりの決勝に進出。決勝では柿木蓮(現・日本ハム)、根尾昂(現・中日)、藤原恭大(現・ロッテ)らの大阪桐蔭に敗れたが、準優勝の立役者となった。

 当初は大学進学を希望していた吉田だったが、甲子園での活躍でプロの評価は急上昇し、一転、プロ志望届を提出。ドラフトでは日本ハムが単独で1位指名し入団した。



6月12日の広島戦でプロ初登板・初先発を果たす日本ハムの吉田輝星

 ここまで(6月10日現在)吉田はファームで9試合に登板し、0勝3敗、防御率4.15。一軍昇格前の最後の登板となった巨人戦では、3回6失点と不安を残した。それでも栗山英樹監督は「最後まで真っすぐにこだわっている姿に、こっちは(一軍で)いけると思った」と語り、昇格を決めた。

 これまで高卒ルーキーのプロ初登板で最も衝撃的だったのが、中日の近藤真一だ。享栄高校(愛知)からドラフト1位で指名された近藤は、1987年8月9日の巨人戦(ナゴヤ球場)でプロ初先発。キレのあるストレートと大きくタテに割れるカーブを武器に巨人打線を翻弄。プロ野球史上初となる初登板でノーヒット・ノーランという快挙を達成した。

 また、”平成の怪物”松坂大輔(当時・西武/現・中日)も鮮烈なデビュー戦を飾っている。1999年4月7日、日本ハム戦(東京ドーム)でプロ初先発を果たした松坂は、最速155キロのストレートを武器に5回までノーヒット・ノーランという圧巻のピッチングを披露。8回を投げて5安打2失点、9奪三振の好投で初勝利を挙げた。

 もし高卒ルーキーの吉田がプロ初先発・初勝利を挙げれば、ドラフト制度導入後では史上19人目の快挙となる。これまでの記録達成者を見てみたい。

森安敏明(東映)/1965年ドラフト1位
初登板/1966年4月13日
対戦相手/南海(後楽園球場)
内容/先発登板・完封

堀内恒夫(巨人)/1965年ドラフト1位
初登板/1966年4月14日
対戦相手/中日(中日スタヂアム)
内容/先発登板・6回2失点

太田幸司(近鉄)/1969年ドラフト1位
初登板/1970年4月19日
対戦相手/ロッテ(日生球場)
内容/リリーフ登板・2回1失点

三浦広之(阪急)/1977年ドラフト2位
初登板/1978年6月24日
対戦相手/ロッテ(西宮球場)
内容/先発登板・6回1失点

井上祐二(南海)/1980年ドラフト2位
初登板/1981年10月2日
対戦相手/西武(西武ライオンズ球場)
内容/先発登板・6回1失点

小野和幸(西武)/1980年ドラフト外
初登板/1981年10月4日
対戦相手/ロッテ(西武ライオンズ球場)
内容/先発登板・5回3失点

津野浩(日本ハム)/1983年ドラフト3位
初登板/1984年5月9日
対戦相手/阪急(後楽園球場)
内容/リリーフ登板・4回2/3無失点

近藤真一(中日)/1986年ドラフト1位
初登板/1987年8月9日
対戦相手/巨人(ナゴヤ球場)
内容/先発登板・ノーヒット・ノーラン(史上初)

野村弘(横浜)/1987年ドラフト3位
初登板/1988年10月2日
対戦相手/広島(横浜スタジアム)
内容/先発登板・完封

矢野諭(日本ハム)/1996年ドラフト1位
初登板/1997年5月31日
対戦相手/ロッテ(東京ドーム)
内容/先発登板・6回無失点

松坂大輔(西武)/1998年ドラフト1位
初登板/1999年4月7日
対戦相手/日本ハム(東京ドーム)
内容/先発登板・8回2失点

ダルビッシュ有(日本ハム)/2004年ドラフト1位
初登板/2005年6月15日
対戦相手/広島(札幌ドーム)
内容/先発登板・8回0/3 2失点

山口俊(横浜)/2005年高校生ドラフト1巡目
初登板/2006年6月29日
対戦相手/巨人(横浜スタジアム)
内容/先発登板・6回1失点

齊藤悠葵(広島)/2005年高校生ドラフト3巡目
初登板/2006年10月1日
対戦相手/巨人(東京ドーム)
内容/先発登板・5回無失点

唐川侑己(ロッテ)/2007年高校生ドラフト1巡目
初登板/2008年4月26日
対戦相手/ソフトバンク(福岡Yahoo! JAPANドーム)
内容/先発登板・7回無失点

中村勝(日本ハム)/2009年ドラフト1位
初登板/2010年8月11日
対戦相手/ロッテ(千葉マリンスタジアム)
内容/先発登板・5回1失点

武田翔太(ソフトバンク)/2011年ドラフト1位
初登板/2012年7月7日
対戦相手/日本ハム(札幌ドーム)
内容/先発登板・6回無失点

安樂智大(楽天)/2014年ドラフト1位
初登板/2015年10月5日
対戦相手/ソフトバンク(楽天Koboスタジアム宮城)
内容/先発登板・6回無失点

 ちなみに、日本ハム出身で現在はMLBのロサンゼルス・エンゼルスで活躍中の大谷翔平の投手としてのデビュー戦は、入団1年目の2013年5月23日のヤクルト戦(札幌ドーム)。最速157キロをマークするなど、5回2失点と好投するも勝敗はつかなかった。

 誰もが注目を集めるデビュー戦。吉田が挑むのはセ・リーグ3連覇中の王者・広島。しかも先発は、昨年のセ・リーグ最多勝投手・大瀬良大地だ。ハードルは高いが、それでも吉田は「点を取られないようにしないと勝利は近づかない。格上のすごい投手ですが、誰にでも負けるのは嫌。負けないという気持ちだけはしっかりと持っていきたい」と、持ち前の負けん気の強さを見せた。

 令和元年、新たな伝説をつくるのか。吉田輝星のプロ野球人生がまもなく幕を開ける。