文=丸山素行 写真=Getty Images 

復帰したデュラントに訪れた悪夢

ラプターズの3勝1敗で迎えた、NBAファイナル第5戦。もう後がないウォリアーズだったが、最終盤にステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの『スプラッシュブラザーズ』が3ポイントシュートを沈めて逆転し、106-105の辛勝で優勝に望みを繋げた。

ケガから復帰し、約1カ月ぶりの試合となるも、先発起用されたケビン・デュラントがパスカル・シアカムからトラベリングを誘発し、アーリーオフェンスから最初の3ポイントシュートを沈めるなど、試合勘の衰えを感じさせないプレーでチームを勢いに乗せる。カリーやトンプソンも続き、11本中7本の3ポイントシュートを成功させたウォリアーズが34-28とリードした。

だが、第2クォーター序盤にウォリアーズに再び悪夢が訪れる。残り9分46秒、強行出場のデュラントが1on1を仕掛ける際に右足を負傷し、その後続行不能となった。それでも、6分間で9得点を挙げるなど、デマーカス・カズンズがデュラントの穴を埋めたことで、ウォリアーズがリードを保つ。

後半に入り、トンプソンやカリーの3ポイントシュートで最大14点のリードを奪ったが、フレッド・バンブリートに3本の3ポイントシュートを許し、スピードのミスマッチからカイル・ラウリーに連続ゴールを決められる。そして、第1クォーター終了時点から変わらず、ウォリアーズが6点リードして最終クォーターを迎えた。

ここまで、ダブルチームやトラップディフェンスでカワイ・レナードを自由にさせなかったが、レナードがこの最終クォーター中盤に覚醒する。

カリーのレイアップをブロックし、オフェンスリバウンドを押し込み、3ポイントシュートを沈めるなど、ノーマン・パウエルの速攻を挟んで12連続得点を挙げて、103-97と一気に逆転した。

エースの力で逆転し、ホームの後押しも受けるラプターズの勝利で決まったかに思われたが、ウォリアーズもダブルエースに勝負を託すことで息を吹き返した。

どんなにズレができて、カリーやトンプソン以外の選手がノーマークになったとしても、そこでシュートを打たずに2人にフィニッシュさせた。その期待に応え、トンプソンとカリーが連続で3ポイントシュートを沈めて、同点に追いつく。そして、残り57秒、トンプソンがレナードをシュートフェイクでかわし、落ち着いて3ポイントシュートを沈めて3点のリードを奪った。

その後1点差に肉薄されるも、ラストプレーでレナードにシュートを打たせず、ドレイモンド・グリーンがラウリーの3ポイントシュートに触れて守り切り、ウォリアーズが逃げ切った。

ゲームハイの31得点を挙げ、勝利に大きく貢献したカリーは安堵の表情を浮かべた。「やるか、終わりかの戦いだった。試合前には、チームのみんなと1勝する方法は分かっている、というような話をしていた。とにかくシュートを打ち続けるしかなかった。第6戦に向けてしっかり準備して、今日と同じように打ち続ける。今は感傷的になっている。(第6戦では)オラクルのファンも試合に入って応援してくれる。簡単に勝てる試合ではないけれど、今日の試合に勝ってチャンスを得た。第6戦も楽しい試合になるよ」

また、「KDは、できる限りのことをしてくれた。彼の1日も早い回復を願っているよ。彼は自分を犠牲にしてくれた。申し訳ない気持ちでいる」と、強行出場の結果、ケガが再発してしまったデュラントについても言及した。

デュラントは12分間の出場で11得点を挙げるなど、チームに違いを生み出した。彼の負傷はウォリアーズにとって痛手以外の何物でもないが、今日を乗り切らなければ、第6戦が開催されることはなかったかもしれない。

再び、会場をウォリアーズのホームに移して行われる第6戦。王者が意地を見せるのか、NBAファイナルはいよいよ佳境を迎えた。