期待の新入生が実戦デビューを飾った

早慶新人戦

慶大41ー48早大

5月25日(土)12:45K .O .

@早稲田大学上井草グラウンド

明日の黒黄を担う新鋭たちが初陣を迎えた。相対するは、宿敵・早大。前半は早大のスピード感ある攻撃に苦しみ劣勢に立たされるも、後半はBK陣の奮起もあり、早大を追いつめた。勝利することこそ出来なかったものの、今年の新鋭たちは、今後の慶大蹴球部を大いに盛り上げる存在になりそうだ。


T=良塚、安西2、加登2、鈴木、我那覇
G=中楠、良塚

【Starter】
1.PR(プロップ) 朝田将多(環1・國學院久我山)
2.HO(フッカー) 渡邉泰暉(経1・慶應)
3.PR(プロップ) 鈴木悠太(政1・慶應)
4.LO(ロック) 木暮光貴(商1・慶應)
5.LO(ロック) 安西玄太郎(総1・慶應)
6.FL(フランカー) 村口遥紀(政1・ 慶應)
7.FL(フランカー) 中尾亮介(2)
8.No.8(ナンバーエイト) 今野勇久(総1・桐蔭学園)
9.SH(スクラムハーフ) 五藤隆嗣(商1・慶應)
10.SO(スタンドオフ) 中楠一期(総1・國學院久我山)
11.WTB(ウィング) 佐々木隼(総1・桐蔭学園)
12.CTB(センター) 百田啓人(政1・慶應)
13.CTB(センター) 池田大輔(文1・名古屋)
14.WTB(ウィング) 良塚元基(商1・慶應)
15.FB(フルバック) 辻田拓史(法1・慶應)
【Booster】
16. 田中慶伸(総2・桐蔭学園)
17. 原田昌武(薬2・本郷)
18. 後藤克徳(商1・國學院久我山)
19. 古野舜也(商1・慶應)
20. 山口凱(経4・学習院)
21. 鈴木龍之輔(政1・慶應)
22. 茗荷康平(経2・慶應)
23. 岩田大生(商2・茗渓学園)
24. 加登裕貴(法2・慶應)
25. 山田和歩(商1・慶應)
26. 齋藤学(総2・國學院久我山)
27. 中本竜太郎(経1・慶應)
28. 國領慎太(商2・慶應)
29. 荻田侑哉(商1・慶應)
30. 佐藤基(経1・慶應志木)
31. 良知健佑(商4・慶應NY)
32. 田中優太郎(経4・慶應)
33. 東龍太郎(商2・慶應)
34. 我那覇大志朗(総2・名護)
35. 平野創(商4・慶應)
36. 山之内颯人(法2・慶應)

30℃を超える炎天下の東京。選手たちにとっては厳しいコンディションの中、キックオフを告げる笛が鳴った。

先制したのは早大だった。5分、相手FBに敵陣から大きくゲインされると、左への素早い展開に対応しきれず、FW陣の侵入を許してしまう。慶大もゴール前の攻防で粘りを見せたが、最後は手薄になった外側にボールを運ばれ、先制トライを喫した。

すかさず慶大も反撃する。敵陣22m付近でのラインアウトからじわりじわりと前に出て、相手のペナルティーを誘う。絶好の位置でのマイボールスクラムに組み勝ち、早大ディフェンスを左に寄せるとすぐさま右に展開。ボールがSO中楠一期(総1・國學院久我山)のもとにわたると、ここでSO中楠は大外の味方へパスを飛ばす。これをWTB良塚元基(商1・慶應)が丁寧におさめ、見事大学初トライを挙げた。

SO中楠のキックも決まり、逆転に成功した慶大だったが、ここから早大のペースに呑まれてしまう。逆転のトライ直後、早大にキックオフをキープされると、ラックからのピックアンドゴーに反応できず、被トライ。21分には、ラインアウトの乱れから早大に自陣22m付近でのスクラムを与えてしまう。早大のスピード感あるアタックに立て続けにゲインを切られ、決定機を作られた。ここは早大のノックオンでピンチを脱したが、自陣で過ごす時間が長くなり、慶大にとっては苦しい展開が続く。

再びスコアが動いたのは29分だった。慶大ゴール前で早大はラインアウトを選択。このモールに押し込まれると、またもゴール前の攻防となる。早大の圧力に耐え続けたが、最後は粘り切れず、リードを2トライ差に広げられてしまう。その後も、コート中央でのキックチャージなどから2本のトライを追加され、前半を7-29で折り返した。

守りの時間が長くなった前半の慶大。ディフェンスでは、早大の左右に揺さぶる攻撃に対応しきれず、外側を突かれるシーンが目立った。アタックでも、ミスでチャンスを逃すなど、後半に向けて修正できるポイントは多かった。


慶大伝統の「魂のタックル」は健在

後半も開始から早大が高い集中力を見せる。慶大がタックルを外したと見るやいなや、周辺のプレーヤーがすぐに反応。あっという間にボールをつなぎ、インゴールへと駆け抜けた。

さらに5分には早大WTBに逆サイドまで持ち込まれると、ディフェンスラインが揃わず失点。これ以上点差を離されたくない慶大だったが、はやくも後半2本目のトライを許してしまう。この時点で7―41。勝負は決したかに思われた。しかし、慶大はここから意地を見せる。

8分、早大陣内5mでの早大ボールスクラムを完璧に押すと、SH鈴木龍之輔(政1・慶應)が持ち出しトライ。さらに15分、高い突破力で慶大を苦しめていた早大FBを仕留め、ターンオーバーに成功する。そこからBK陣が素早くボールを運び、一気にインゴールへ迫ると、LO安西玄太郎(総1・慶應)が飛び込んだ。これで17―41。


後半はスクラムでも優位に立った

20分に隙を突かれて追加点を奪われるも、慶大の勢いは止まらない。直後のディフェンスでWTB加登裕貴(法2・慶應)がパスカットに成功し、そのまま独走トライ。さらに続く攻撃では、早大のキックオフをしっかりキープすると、攻撃を切らすことなくノーホイッスルトライ。再びWTB加登がトライを決めた。WTB良塚のキックも決まり、29―48。じわじわと追い上げる。

BK陣の躍動に、FW陣も呼応した。28分、No.8齋藤学(総2・國學院久我山)が大きくゲインし、敵陣内22mでのスクラムを獲得する。このスクラムで完全に組み勝ちペナルティを得ると、足の止まった早大ディフェンスの隙を突いてクイックリスタート。FW勝負に持ち込み、最後はLO富澤友凱(経1・慶應)が決めた。

このトライで36―48と2トライ1ゴール差にまで迫った慶大は、さらに攻撃を継続する。35分、早大陣内で再びスクラムを押し込み、CTBとして出場した茗荷康平(経2・慶應)がトライ。キックは外れるも、これで7点差。同点さらには逆転のチャンスまで見えてきた。


BK陣も躍動し、後半は完全に慶大ムード

そして最後のチャンスは、40分をまわったラストプレーに巡ってきた。好守でペナルティを誘い、敵陣内22mからのラインアウト。これを丁寧に繋ぐと、左に展開し、この試合絶好調だったBK陣にボールが渡った。しかし、インゴールにあと5mと迫ったところでボールがこぼれ、ここでノーサイド。


下級生の台頭が待ち遠しい

黒黄と臙脂、今後4年間をライバルとして戦う両校の初対戦は、激戦の末早稲田に軍配が上がった。慶大も負けはしたものの、多くの収穫を得たといえる。

すでにAチームに出場しているNo.8今野とSO中楠は、チームの中心として短い時間ながら高いパフォーマンスを見せた。さらに一時逆転となるトライを挙げたWTB良塚は、攻守にわたって存在感を発揮。応援に駆け付けた上級生たちにも、強い刺激となったはずだ。

慶大の新鋭たちはチームの掲げる”Unity”にどのような影響を与えていくのだろうか。慶大蹴球部の新入生たちからも目が離せない。

(記事:野田快 写真:栗栖翔竜、竹内大志)

以下、コメント

栗原徹HC(ヘッドコーチ)

――今回の試合で、HCとして見ておきたかったポイントとは

(選手たちが)大学生になって初めてのゲームなので、どんなレベルでプレーできるのかな、といったところを見たいと思っていました。実戦で力を発揮する選手もいますし、練習ではうまくても実戦ではなかなか、という選手もいますね。

――練習と実戦での違いは出ましたか

基本的にはプレッシャーがかかるので、そのプレッシャーの中で変わらないプレーができる選手と、プレッシャーに負けて縮こまってしまう選手とがいます。この選手は縮こまってしまうタイプなのかな、この選手は臆せずプレーができるのかな、といった印象を得たことも含め、いくつか収穫はありました。

実力のある選手は、すでにB戦とかで上級生との試合に混ぜていましたが、基本的には1年生は混ぜずにやっていました。今日の試合の後、どれくらい上に上げられるかな、というところですね。

――チーム内で決まりごとなどは作っていましたか

チームと同じ練習をしているので、理解力の差は見ていました。ただそこはあまり大きく気にしないで、劣勢に立たされた時に立ち向かっていく選手がいるかな、というところを確認していました。

――この試合はまさに劣勢の展開(34点差)から追い上げましたが、要因は

早稲田も疲れていたし、うちはメンバーがたくさんいたので、そういうところ(体力面)もあると思います。ただ、後半積極的に「攻める」っていう姿勢を出したっていうのが大きかったんじゃないですかね。

――スクラムで押し込む場面もありました

スクラムもこのメンバーで合わせているわけではないので、個人がファイトして押し込んだんだと思います。ただ、自分の印象とは全く違って、押せるか押せないか分からなかった部分もあったので、スクラムに関しては強いんだな、という印象をうけました。

――今後1年生に期待したいこと

大学は1年生から4年生までいて、1年生は遠慮するんですよね。遠慮してるとあっという間に2年生になって、その惰性で3年生になって、3年生の終わりくらいから一生懸命取り組む。それは非常にもったいないので、早く手をあげてほしいですね。「自分を使って欲しい」って。もちろん、言うだけじゃなくてプレーも含めて。

ラグビーは実力の世界ですので、年が何歳だろうと、いいパフォーマンスが出せる選手が1本目(A戦)で出ます。それが全員1年生でも4年生でもおかしくありません。

だからこそ、1年生の時からちゃんと同じ土俵に乗るという気持ちをもってやってほしいなと思います。

WTB良塚元基(商1・慶應)

――炎天下での早慶新人戦、どのような気持ちで試合に臨みましたか

大学のデビュー戦ということで、自分をアピールすると意気込みました。1年であっても早稲田には負けられないという強い気持ちがありました。

―― 前半は自陣内で我慢の時間が続きました

自陣に攻め込まれることも多かったのですが、諦めない気持ちをピッチ上で共有し合って反撃に繋げました。

――そんな中でご自身のトライが決まりました

チーム全員で取った点で、たまたま外側にいた自分がトライを決めただけです。

――点差がついた中でのハーフタイムではどのような話をしましたか

自陣の中でコミュニケーションが取れてないことがあったので、そこを再確認しました。後半から代わる選手もいたので彼らとも気合を入れ直しました。

――後半は猛攻を見せたが、チームの雰囲気はどうでしたか

後半から入ったプレーヤーにも助けられ雰囲気はかなり良かったです。流れを引き込めたと思います。

――ご自身のプレーを振り返って

試合中声を出せていたのは良かったですが、試合の入りが弱かったと思います。次回は最初から100%でぶつかって行きたいです。

PR後藤克徳(商1・國學院久我山)

――今日の試合に向けてどんな準備を

高校で部活を引退してから受験勉強のためにしばらくラグビーから離れていたので、体づくりを始め、プレーも基本的なところから立て直して臨みました。

――今日の試合を振り返って

最初は早稲田さんの体格を生かした、縦に攻めるプレーに圧倒されたところがありましたが、後半に入ってからは自分たちの持ち味を発揮できたところはありました。それでも試合に敗れたところに、力の差を感じました。

――ご自身は途中出場でしたが

途中から出るということは伝えられていたので、デビュー戦ということで、自分の持っているものを出し切るつもりで準備していました。ブースターということで流れを変えることも担わなければいけないので、その役割を任された以上はそれを果たさなければいけないという思いはありました。

――後半からスクラムで押す場面が目立ちました

相手が疲れてきていたということもありますが、8人でまとまって組むということを意識して修正できたことが大きかったと思います。

――ご自身のプレーを振り返って

自分なりのプレーができたとは思いますが、できていないところ、足りないところもとても多いので、そこをしっかり修正して、これから慶應ラグビー部の一員として日本一に貢献できるようにやっていきたいです。

自分は運動量を武器にしているので、キャリーやタックルなどの持ち味を発揮していきたいですね。

――今後に向けて

まだ入部したばかりですが、慶應のラグビー部の一員としてやらなければいけないことはたくさんあります。しっかりチームと同じ方向に走っていけるように、一日一日を大切に過ごしたいと思います。