北信越大会は春4連覇、昨秋から3季連続制覇 春の大会に限れば北信越大会は4連覇。昨春からは3季連続で北信越大会の頂点に立…

北信越大会は春4連覇、昨秋から3季連続制覇

 春の大会に限れば北信越大会は4連覇。昨春からは3季連続で北信越大会の頂点に立ち、ここ数年、北信越地域では敵なしと不動の地位を築き上げている星稜。特にメンバーが入れ替わる高校野球では何年も勝ち続けることは容易なことではない。

 特に今年はエースの奥川恭伸(3年)が大黒柱だ。1年時から注目され、昨夏の甲子園では150キロをマーク。昨秋の神宮大会では相手を全く寄せ付けないピッチングで、一気に世代ナンバーワンと称されるまでになった。今春のセンバツは初戦の履正社戦で17奪三振完封勝利を挙げるも、2回戦(習志野戦)で惜敗。最後のシーズンとなる今夏も一層熱い視線を浴びることになる。

 だが、“大エース”がいる故にチームがなかなか機能しないこともあるのが高校野球だ。エースの快投に頼らずに…とは口で言っても、打線が振るわず、良い試合をしても勝てない。センバツの習志野戦も星稜打線が相手投手を最後までとらえ切れず、接戦の末1-3で敗れた。その後、4月中旬の練習試合後に肩の張りを訴えた奥川は実戦マウンドから遠ざかった。直後に開幕した春季県大会。初戦の七尾戦では2年生左腕の安土慶-寺沢孝多(3年)のリレーで勝ち、以降も荻原吟哉、寺西成騎の両2年生右腕がマウンドを守り続けた。奥川は飲み物を運んだり、グローブの受け渡しなど選手のサポート役に回り、チームをバックアップ。ブルペンには一度も入ることはなかった。

 大黒柱が不在の中、チームはどう戦っていくか。捕手の山瀬慎之助主将は小学4年からバッテリーを組む、受け慣れたエース以外の投手陣に対し、気にかかることがあればすかさず声を掛け続けた。普段の練習では時にはチームメイトに厳しく指摘し、辛口な言葉を並べることもある。後輩はたじろぐこともあるが、山瀬は個々で自分の役割を理解し、どう戦っていくべきかを自覚して欲しかった。県大会決勝では県内のライバルでもある日本航空石川と対戦し、先発の荻原は2回に連続ホームランを浴びるも7回途中まで粘投した。

エース奥川が右肩の張りで一時離脱も安土慶、寺沢、荻原、寺西…悲願の夏制覇へ強力な豊富な投手陣

 荻原は北信越大会でも東海大諏訪戦で7回途中まで3安打2失点とまずまずのピッチングを見せた。186センチと恵まれた体格で、荻原以上に期待値の高い寺西も、準決勝の富山第一戦で7回2失点と好投。2人の口から出た言葉は、やはり「奥川さんがいなくても、自分たちで勝ち切りたかった」。秋に比べると試合を作れるようになり、結果には結びついたが、現状には満足はしていない。荻原は、昨秋から7回に失点をするケースが続き「もっと強気に攻められないと」と厳しい表情を見せ、向上心をにじませた。

 そんなチームメイトの表情を見た奥川が決勝戦でのピッチングで応えた。決して調子が良かったとは言えないが、中盤以降はストレートで押し、相手を圧倒した。奥川は「県大会もそうですが、自分じゃないピッチャーがいいピッチングをしていたので、自分もそれ以上のピッチングをしないといけないと思いました。本当はゼロに抑えたかったけれど、勝てて良かったです」とホッとした表情を見せた。

 北信越大会では慣れない人工芝とはいえ、守備のミスもあった。攻撃陣の爆発力や、連携プレーの再確認など課題はまだある。そこを詰めるための夏までの時間は限られているが、連覇の中で自分たちの欠点を浮き彫りにさせた大会でもあった。「(連覇で)喜ぶのは今日だけ。明日からは夏に向けて切り替えていかないと」と試合直後に山下智将監督代行は言った。全員がその“現状”を胸に刻み、どう前を向いていくか。もう、夏の大会はすぐそこまで来ている。(沢井史 / Fumi Sawai)