対談は終始和やかな雰囲気で行われた

3月17日、新人戦という大舞台で弓術部女子が王者・日大を破り優勝を果たした。今回は、その大会で主力選手として活躍した藤村舞乃(薬2・慶應女子)、茂木彩音(商2・慶應女子)、小金山祐希(文2・雙葉)、森千晴(文2・雙葉)の4人の選手に、大会の振り返りと今後の試合への意気込みを聞いた。

平成31年度東京都学生弓道連盟女子部新人戦

3月17日@早稲田大学

※一回の試合で4本矢を放つ。女子団体は4人で構成され、各自20射、計80射のうち、的に中(あた)った本数の多いチームが勝利となる。

──まず、それぞれ隣の方の紹介をお願いします

藤村→茂木:長所はコミュニケーション力が高くて、誰に対しても突撃しにいけるところだと思います。プレーではたくさん皆中を出してくれるのでありがたいです。

茂木→小金山:小金山は大学から弓を始めたんですけど、冬ぐらいからの成長がすごくて。新人戦期間はトッププレーヤーとして活躍していたのですごいと思います。日常生活では誰に対しても人当たりが良くて人を嫌な気持ちにさせない神だと思います(笑)

藤村:気配りがすごいよね。

小金山:ありがとう(笑)

小金山→森:小中高ずっと学校も部活も一緒で、大学でも一緒に弓を始めたというのがあって、私の中では結構特別な存在です。弓道面では、普段はヘラヘラしている系のキャラなんですが、なんだかんだ試合に出たら活躍してくれるところがとても頼もしいです。

森→藤村:藤村は日常生活だと癒し系キャラ、妹キャラです。こんなに身長も高くて、なのに妹みたいなんです(笑)でも試合だとゴリゴリマッチョでめちゃめちゃ筋肉とかあって、最後に離す直前まで粘り続けられる、一本一本丁寧に引くことができる選手だと思います。新人戦では決勝に合わせて波を持ってきていて、最後に活躍できたっていう部分もすごいと思います。

茂木:弓道歴10年だもんね。

藤村:中等部からやってるので、今日の4人の中では最長です。

──ありがとうございます。ここからは新人戦について伺います。超強豪校である日大を破って優勝したことについて率直な感想をお願いします、まずは藤村さんから

藤村:えええ、困る…

茂木:変なこと言うとここも記事になるよ(笑)

藤村:え、それはやばい!森側からお願いします!


小柄ながら力強い射を見せた茂木

──では森さん、お願いします

森:Aチームは「優勝する」というのを最初から目標に掲げていたんですけど、まさか本当に優勝できるとは思ってなかったです。チームとして良い的中を出している自覚はあったんですけど、あの日大に勝てるとは全然思っていなくて、そもそも決勝に行けたことだけでも嬉しかったんです。私自身は決勝での的中が良くなかったので、自分の失敗が気になっていて射っている時はそれしか考えてなかったです。でも交代して、最終回の時に日大の的中を見て、自分たちの的中を見て、その時「あれ、勝てるんじゃない?」みたいな。慶應が後攻で、私たちの的中次第で勝負が決まるという状況だったので、すごくハラハラしたんですけど、勝ちが決まる1本が入った時は感動しました。

小金山:もともとAチームは優勝という目標を掲げてはいましたが、まさか本当に優勝できるとは思っていなくて。大学全体でもトップチームである日大と戦えるのが嬉しいというか、光栄なことだと思っていたので、優勝を目指すというよりは、一部に所属する大学と戦う楽しさを感じたいとその日は思っていました。でも、全部の矢を放ち終わって的中を見たら優勝したっていうことに気づいて。本当に驚いたけど、すごく嬉しかったです。

茂木:私は思ったことがそのまま的中に出てしまうタイプで、優勝できるかもしれないという気持ちが半分と、優勝なんてできるんだろうかという気持ちが半分で当日を迎えて。でも試合前の日大の練習の的中の音を聞いていたら、だいたい互角なんじゃないかなと思って。いざ試合が始まってからは相手の的中というのは全然気にしていなかったんですが、終わった後に的中を見て2中差で勝つことができたのを知った時には、今まで味わったことがないような感動を味わえました。最高に嬉しかったです。

藤村:私も試合中は相手の的中を見ていなくて、最終回が終わってから、選手みんなで勝った?勝った?って確認をしていて。勝ったって知った時にはその場で泣き出してしまって、そのくらい勝てたことが嬉しかったです。また、私個人として、決勝まではあまり活躍できていなかったので、最後にやっとチームに貢献できたという思いがありました。

──ありがとうございます。それでは大学から弓道を始めたお2人に伺います。初めて踏む公式戦の舞台、緊張はされましたか?


小学校から同級生の2人

森:意外と…

小金山:そんなに緊張しなかったよね。

茂木:肝が据わってる(笑)

小金山:緊張というよりは本当に出られるんだという喜びの方が大きかったです。全部初めてのことなので、とにかく全てが楽しかったです。

──経験者のお二人は緊張されましたか?

藤村:私は普段の立練習(実戦形式で行われる練習)の1本目からずっと緊張しているので、決勝は本当に緊張しました。だから二人のことは本当にすごいと思います。小金山になんで緊張しないのかと聞いたことがあって、その時「死なないから」と言われたのを思い出しながら引いていました。

茂木:私は大学に入ってから緊張しなくなりました。高校までは私もすごく緊張していたんですけど、大学に入ってから公式戦の数も増えて、場数を踏んだ分緊張しなくなりました。自分が引っ張ろうという気持ちはあんまりないです。

──緊張する場面で的中する自分なりのポイントなどはありますか

茂木:いやあ、知りたいですね(笑)

藤村:私あります!これは私が尊敬する先輩が仰っていたことなんですけど、今まで3本中ててきたんだから、4本目は今までの反省をして1番最高の射ができるはず、ということを仰っていて。それを聞いてからそう考えて4本目を引いています。

茂木:いやあ、考えてるつもりなんですけどね…(笑)

小金山:なかなかうまくいかないよね(笑)

森:私は、ここで抜いたらださいなあと思って、それまでよりも慎重に引けるようにしています。それでも外しちゃうことはあるんですけど(笑)

──日大戦でチームとしての目標などはあったのでしょうか

森:目標としては一応60中というのがあって。それは新人戦期間通しての目標だったので最終的に60中にたどり着きたいという思いはありました。

──昨シーズン終了後から新人戦まで、どのような点を強化してきましたか?

茂木:私は冬オフを経て筋力が低下してしまっていて、矢尺も小さくなってしまっていたので、そのリハビリのために1本1本力が行き届いているかなどを確認しながら大きく引くように練習していました。

小金山:私はもともと冬オフ入った頃の的中が5割くらいだったので、そこからとにかく的中率を上げるというところを一番の目標にして練習していました。まだ中るためのポイントとかをちゃんと持っているわけではなかったので、細かい部分を色々たくさん調整して、自分なりに正しい引き方ができるように練習していました。

茂木:私は冬オフの期間に一段階小さい弓に変えて、そうすると今までと同じように引いても掛かる負荷がより重くなったので、その弓で今まで通りの引き方ができるようにたくさん引いていました。あとは、私は射の前半、大三までをちゃんととるとそれから先が綺麗に弾けるというのが冬オフ前にわかっていたので、その部分を意識しながら練習していました。

森:私は、冬オフの時間があるときを活用して、先輩やコーチに多くの指導をもらえるようにしました。もらった指導法で100本くらい引いて、指導してくれた方にまた見てもらって、また100本引いて、とフィードバックをもらいながら練習することを意識していました。

──新人戦を通して得たものは

小金山:私は今まで試合に出たことがなくて、そういう意味では週の前半には射形を変えたり負荷の大きいトレーニングをして、週の後半は週末の試合で力を発揮できるように調整して、という一週間を通しての練習を重ねられたのが大きな経験でした。新感覚というか初めてのことで、それがすごく楽しかったです。


大前として安定した的中を出し続けた小金山

森:私は5立通して試合に出るというのが新人戦期間で初めて体験できて、5回分いかに同じ射で引き続けるか、そのためにどうしたらいいか、試合の間の過ごし方などを色々学べたかなと思います。

茂木:私は高校の頃、大会とか試合で的中がふるったことが全然なくて。いつも全然中らないで交代とか初戦敗退とかだったので、自分でもここまで出せるんだという自信がついたというか、それは大きかったと思います。

──それでは新人戦以外のことも聞いていこうと思います。全員新二年生ということで、学年としていいところ、先輩達を見習うべきと思っているところについて教えてください

茂木:誇れる部分は団結感ですかね。11人と、女子部の中では一番人数のいる学年なんですけど、団結感あるよね?

藤村:仲間!って感じがする(笑)

小金山:誰と一緒にいても別に大丈夫というか

茂木:前に学年でディズニーに行った時があって。十一人いたら普通何人かに分かれるじゃないですか。でもそれもなくすっと一緒に行動し続けてました(笑)

──その団結力は試合中でも感じたりしますか?

森:これだけ人数が多いのでお互い助け合う機会がすごく多いなと感じていて。なにかあった時に絶対誰かが声をかけてくれるのはいいところだなって思います。

──それでは逆に学年を通して先輩を見習わなければいけないと感じる部分はどこでしょうか?

茂木:筋力かな?(笑)

藤村:一番上の代が特にすごくて!

茂木:私たちの代は回を重ねるごとに的中が下がったり、真ん中で一度下がってしまうことが試合で見受けられるので、筋力というかスタミナの部分で見習うべきところがたくさんあると思います。

小金山:4年生の方の引いている背中が本当に頼もしい(笑)

藤村:そもそも練習から引いている本数が全然違くて。私たちの学年は平均60本引いているのですが、先輩方は1日100本とか引いたりしてます。

──再び大学初心者2人に伺います。高校から弓道を続けている人が多い中で、大学から弓道を始めたきっかけを教えてください

小金山:私達が1年生の時の主将の方と副将の方がお2人とも大学初心者の方で、大学から始めてもそこまで上手くなれる競技なんだなと思ったのと、もともと弓道に興味があって、かっこいいなと思っていたので。

森:新歓のときに、大学から始めても日本一を目指せる競技だよ、センスと真面目にコツコツやることができれば誰でも才能が開花し得る競技だよと言われ、希望を持ちながら入部しました(笑)

──同じ高校出身のお2人はお互い意識したりしますか

小金山:あー、意識はしちゃいますね(笑)でもお互い蹴落とすライバルというよりかは、一緒に頑張っていきたい、高め合いたいライバルという感じですね。

森:うん、そんな感じ。

──次は経験者2人に伺います。今までの弓道人生で一番嬉しかったこと、一番悔しかったことはなんでしょうか?

藤村:一番嬉しかったことだとやっぱり新人戦で優勝したことですね。辛かったことは、なんだろう

茂木:嬉しかったことは、私も新人戦で日大に勝てたことですかね、日本一なので。辛かったこと…日々辛いですね、中んなくなるとすぐ辛いし(笑)最近はそんなに辛いなあと思うことはないんですけど、強いて挙げれば去年のリーグ戦の時に部活を中る人、中らない人の2つに分けて練習した時期ですね。私はその時中る人のギリギリ瀬戸際にいて。その時は落ちたくはないけど、ここで練習していて中るようになるのか、という葛藤がすごくあって。その時が精神的にも体力的にも1番辛かったです。


決勝で勝利に大きく貢献した2人

──1人ずつ伺いたいのですが、目標としている人、またはライバルと思っている人はいますか?

藤村:1個上の先輩で、渡辺翠(看3・慶應女子)さんです。その人は4人立でよく落を務める方なんですけど。私も中っている時はよく落を務めるんですが、落って最後の一本を当てるのが大事じゃないですか。どうやったらその4本目を当てられるんですか、と同じ落としてお伺いしました。あとは、ライバルというわけではないんですけど、冬オフ中に指導をしてくれた方には早く追いつきたいなと思っています。

小金山:私が目標としている人は、私が1年生の時の4年生で副将を勤められていた方です。岡本さんという方なんですけど、その方は一年生の後半から既にすごく当たっていらして、2年生の時には部の主要選手として活躍してので、もう本当にすごい方なんです。憧れです。頑張ってます。

森:私は1人って感じではなくて、射法八節のこの部分はこの人、みたいな(笑)あと人間としてはこの人、練習態度はこの人、のような。そういう目標になる人を継ぎ接ぎして、自分の実力を向上できたらなと思っているので。

茂木;私が目標というか尊敬している方は、本郷一輝(法4・慶應湘南藤沢)さんです。本郷さんが抜いているところとか、射が崩れているところとかを見たことがないくらいによく中てる方なので、すごく尊敬しています。本郷さんにはよく射について聞かせてもらって、すごくお世話になってます。ライバルは部活の人間全員ですね。入る時に、東条(明日香・商2・慶應女子)と一緒に「入るんだったら先輩も同輩も全員蹴落とすぐらいの気持ちで行こう」と約束したので。でも私の中では同輩は高めあうというか、ダメな時はお互いに見て欲しいし見てあげたいし、そういうライバル関係になりつつあります。

──弓道の一番の魅力はなんだと思いますか


弓道歴10年目の藤村

藤村:私は、的と自分しかいないっていうのがとてもいいなと思っていて。小さい頃、ピアノにすごくハマっていたんですけど、それと似てるなと思ったことがあります。ピアノも、ピアノと向き合って、自分がどれだけ練習できるか、どれだけベストなパフォーマンスができるか。で、弓道も相手に依らない、的と自分だけで、自分がどれだけ練習して、ベストなパフォーマンスができるかという部分が好きですね。

茂木:弓道って、弓で矢を、28メートル先の的に当てるっていう単純な競技なんですけど、その分奥深いなと思って。すごく上手い人と同じ形で引いても、同じように飛ばなかったり中らなかったりということがあって。中てるために何が必要かっていう奥深いところまで行き着けた人が常に中て続けられるんじゃないかなという風に思うので、そこは魅力だと思います。どこまで行っても終わりがないみたいな。

森:閃き一つで全然違う自分になれる部分ですね。色々試行錯誤したり弄ってみても全然中らなかったりとかもあるんですけど、逆にふと、試しにこれをやってみようと思ったことがハマったりして、それでもう的中急上昇みたいな(笑)コツとかセンスとか、そういうのを模索する時間が楽しいなって思います。去年の10月くらいに全く中らない時期があって。240射 0中みたいな、急にどうした、って感じで、自分でもどうしたらいいのかわからなくて。いろんな人にどうしたらいいか聞いて、試して。でも、ある日ふと自分で試してみたことがハマって急に中るようになって。あ、こんな簡単なことで変わるんだ、みたいな。見かけ上はわからない、ちょっとした力の流し方であったりとか、それだけで全然違う矢飛びになったり。あ、形だけじゃないんだ、そういう意識で変わってしまうんだ、と。それは面白い面でもあり、怖い面でもあるんですけど、魅力だと思います。


チームを新人戦決勝まで導いた森

──それでは最後に、今シーズンの目標、意気込みをお願いします

藤村:毎回選手になって、試合に弓を持っていくというのが今シーズンの目標です。また、6月7月に公式戦があるので、それに出て、17中を出して木杯を取るというのも達成したいです。あとは、今シーズンから新人でなく旧人として、旧人の方と一緒にリーグ戦という一番大事な試合に臨むので、旧人の方に負けないようにしたいです。

──木杯とは?

藤村:公式戦で17中以上すると、慶應から出る賞みたいな感じです。

茂木:木杯って、もらうたびにどんどん大きくなっていくんですよ、小中大って。大杯だと灰皿くらいの大きさになるんですけど。

小金山:私と藤村は新人戦で17中したので今度もらえます。初めての木杯なので楽しみです(笑)

──話を戻します。小金山さん、お願いします

小金山:私の目標は、安定して的中を出して、そして今後もどんどん的中を伸ばしていって、チームから絶対にこいつは中ててくれるって信頼されるような選手に、部の勝利に貢献できるような選手になることです。

茂木:私は、的中に波がない選手になることが目標です。あとは、私も公式戦で木杯を取ることが目標です。これから全関や全日の個人戦があるので、そこで予選を突破することも目標です。あとは私も旧人の方達に負けないようにしたいですね。旧人の方は安定して中ててくるので。

森:私は、新人戦で勝つ喜びというのを知ってしまって、その中毒性がすごくて(笑)もう勝ち続けるしかないなと。新人戦は最後貢献できなかったので、自分の力で勝ちたいという気持ちが大きくて。自分が選手になって、勝つっていう経験をしたいなと思います。

──ありがとうございました!


左から茂木、森、小金山、藤村

(取材:五十右瑛士 写真:澤田夏美)

※掲載が大変遅れてしまい、誠に申し訳ございません