全仏テニス(ローランギャロス)2回戦で、大坂なおみ(WTAランキング1位/5月27日づけ、以下同)が、ビクトリア・アザレンカ(43位、ベラルーシ)に4-6、7-5、6-3で、逆転勝ちを収めて2年連続3回目の3回戦進出を決めた。元世界ナ…

 全仏テニス(ローランギャロス)2回戦で、大坂なおみ(WTAランキング1位/5月27日づけ、以下同)が、ビクトリア・アザレンカ(43位、ベラルーシ)に4-6、7-5、6-3で、逆転勝ちを収めて2年連続3回目の3回戦進出を決めた。



元世界ナンバーワンのアザレンカを倒して、試合後の会見で笑顔を見せる大坂なおみ

 アザレンカは2012年と2013年の全豪チャンピオンで、元世界ナンバーワン。大坂は2018年USオープンと2019年全豪でチャンピオンになり、現在の世界ナンバーワン。グランドスラムを制覇した経験を持つ2人が対戦した2回戦は、大会5日目屈指の好カードとなり、スザンヌ・ランランコートの客席はほぼ満席になった。

 注目の試合は、出だしから好調なプレーを見せたアザレンカが大坂に攻勢をかけた。大坂のバックサイドにボールを集めてミスを誘い、甘い返球を見逃さずにウィナーを決めて、29歳の元女王がセットを先取する。

 だが、大坂は反転攻勢のチャンスを虎視眈々と狙っていた。

「試合中に意気消沈していたわけではありません。彼女(アザレンカ)のプレーが本当によかったんです。だから少しずつ疲れてくるのを待っていました。第2セットやファイナルセットの終盤に彼女が疲れてきたので、早くポイントが取れるように、チャージをかけました」

 その言葉どおり、第2セット第8ゲームは5回のデュースの末、大阪がサービスブレークに成功して反撃の狼煙を上げた。第12ゲームでは、3回のデュースの末、大阪が4回目のセットポイントでバックハンドのダウンザラインへのウィナーを決めて、セットオールにした。

 大坂はアザレンカとのバッククロスの打ち合いを回避しようと、勇気を持ってバックダウンザラインへのショットを打った。そして、好転してきたところで、得意とするフォアハンドストロークにトップスピンをかけ、コート深くにコントロール。これで、アザレンカは簡単に攻められなくなった。

 また、バックのドロップショットはまだ発展途上ながら、前後にゆさぶりをかけてアザレンカの体力を奪うのに有効だった。

 ファイナルット第1ゲーム、大坂は3回のブレークポイントをセーブし、センターへのサービスエースを決めてキープに成功すると、試合の流れは一気に大坂に傾いた。疲労が見え始めたアザレンカはミスが増え、大坂は第4、6ゲームでもブレークに成功。大坂は43本のミスをしたものの、52本のウィナーを決めて2時間50分におよんだ激闘を制した。

 敗れたアザレンカは、大坂を次のように評価する。

「今彼女は、明らかに自信を持ってプレーできている。彼女のショットはとても重く、フォアもバックも質の高いボールを打ってくる。安定感のあるビッグサーブを持っているし、本当にいいプレーをしている。それが、今いるポジション(世界1位)が彼女にふさわしいことを証明している」

 大坂は、世界1位になってからも挑戦者としての姿勢を忘れていない。この試合でもそれは同じだった。

「今日、私はチャレンジャーでした。彼女(アザレンカ)は、ここで(2013年に)準決勝に進出したことがありますし、私より多くの経験を積んでいます。グランドスラムでも優勝し、世界1位でもありました。私はまだまだ新参者です(笑)」

 また、1回戦、2回戦と連続でのタフな逆転勝ちは、パリでの大坂なおみの人気を押し上げる福音にもなっている。2回戦では、スタンドから「アレ!(フランス語で頑張れ)なおみ!」と何度も声援が飛び、新女王の活躍をパリっ子が歓迎しているようだった。すると大坂は、オンコートでの勝利者インタビューのあと、司会者からマイクを借りて「メルシー!(フランス語でありがとう)」と観客に感謝を伝えた。

 大坂は3回戦で、カテリナ・シニアコバ(42位、チェコ)と対戦する。過去の対戦成績は大坂の1勝0敗だ。

 接戦をモノにした大坂は、この勝利をレッドクレーでのさらなる成長へとつなげ、一戦一戦、着実に力をつけてきている。まだまだ決勝への道のりは長いが、彼女はブレることなくローランギャロスの頂点を見据えている。