佳境を迎えた東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)。第7週時点で明大が完全優勝を成し遂げた。しかし、今週末には伝統の一戦・早慶戦が控えている。今春の早慶戦は2位決定戦となったが、「早稲田の野球部である以上、慶応には負けられない」()。両校…

 佳境を迎えた東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)。第7週時点で明大が完全優勝を成し遂げた。しかし、今週末には伝統の一戦・早慶戦が控えている。今春の早慶戦は2位決定戦となったが、「早稲田の野球部である以上、慶応には負けられない」()。両校の意地がぶつかり合う。

 慶大の第1先発と予想されるのは髙橋佑樹(4年)。縦に落ちるスライダーが持ち味の左腕は、緩急をつけた投球で打者を翻弄(ほんろう)する。しかし今季の髙橋佑は立ち上がりに課題があり、先制を許す試合が多かった。それでも心強い救援陣が後ろに控える。未だ無失点の津留﨑大成(4年)や制球に自信のある増居翔太(1年)、抑えの髙橋亮吾(4年)と、多彩な顔ぶれがブルペンで出番を待つ。そして2回戦の先発は佐藤宏樹(3年)、もしくは木澤尚文(3年)が濃厚だ。両者ともに六大学屈指の球速を誇る直球が魅力だが、制球に不安を残している。甘い球を積極的に狙っていきたい。


慶大の第1先発・髙橋佑

 投手陣だけではない。つながりのある打線も慶大の大きな魅力である。1番・柳町達副将(4年)は現在リーグ戦通算99安打。早慶戦で100安打を達成する可能性は十二分にある。 柳町が出塁すれば、強力クリーンアップが得点機をものにする。3番・中村健人(4年)はここまで12打点(リーグ3位タイ)と勝負強さが光る。慶大打線のつながりの良さはこの男が一役買っているといっても過言ではない。また、4番に座る郡司裕也主将(4年)は第4カード明大戦で本塁打を放つなど復調の兆し。この男に当たりが出たら厄介だ。さらに5番・正木智也(2年)は今季からスタメンに定着したのにもかかわらず、3割7分9厘の高打率。2本の本塁打も放ち、チームに大きく貢献している。


復調の気配を見せる郡司

 役者ぞろいの宿敵・慶大を早大はどのように迎え撃つのか。まずそのカギを握るのは、第1先発・だ。現在、防御率2.29はリーグ3位。真っすぐにカットボールやツーシームなどの小さく動く球、さらにはカウント球のカーブや決め球のスライダーを効果的に織り交ぜ、着実にアウトを重ねたい。第2先発を任されるのはだろう。スピードが突出しているわけではないが、制球力に優れ、変化球でも難なくストライクを取ることができる。救援には、安定した投球を続けるや、増量に成功し球威を増したらが待機。そして最終盤には、守護神・が控えている。法大1回戦こそ失点したが、他のカードでは圧巻の投球を見せている徳山。リードした展開で柴田、今西、徳山の継投につなぎたい。


早川がしっかりと試合をつくりたい

 一方の打線。まず、今季を語るのに欠かせないのがの存在である。主将として臨む初めてのリーグ戦となった今季はまさに『復活』の二文字に相応しい活躍を見せている。打率4割3分2厘を誇るリーディングヒッターのOPSは、脅威の1.425。出塁率4割をマークする切り込み隊長・瀧澤らがチャンスメークし、主砲に回したい。そして加藤のすぐ後を打つも打撃好調。今季はここまで三振2つと選球眼の良さが際立っている。長らくの課題であった打線につながりが生まれれば、勝利へ大きく近付くはずだ。


頼れる4番の加藤は稲穂打線をけん引する

 両校共に戦力は十分。どう転んでもおかしくない試合になるだろう。しかし、チーム打率、チーム防御率は共に早大に軍配が上がっている。勝負どころで一本を生み出し、盤石の投手力で勝ち切ることはできるか。ベンチ入りした選手はもちろん、スタンドにいる部員も全員で一つになり、令和最初の早慶戦を制したい。

(記事 今山和々子、写真 望月優樹、林大貴、宇根加菜葉)