猛暑の江ノ島で、関東学生個人選手権(関東個選)の470級レースが開催された。18位以内に入ると全日本学生個人選手権(全日本個選)への出場権を得ることができる今大会。早大からは5艇が出場し、全艇がこの狭き門をくぐり抜けた。

 微風の中、1日目に3レース、2日目は5レース、計8レースが行われたハードな試合だった。関東春季学生選手権(春関東インカレ)で個人成績トップだった田中美紗樹(スポ4=大阪・関大第一)・新井健伸(商2=東京・筑波大付)組は今大会では4位。1日目は2位で折り返したが、第5レースでは思うようなスタートが切れず、25位。「5レース目からカットすることができるので切り替えて」(新井)続くレースに臨み、第7レースではフィニッシュ直前で慶大の船をかわしてトップを取る。だが5着でフィニッシュした最終レースでBFD(※1)を犯したと判定され、優勝を逃した。早大内2番手は倉橋直暉(スポ1=福岡・中村学園三陽)・吉村大(人4=埼玉・県浦和)組。第1レースで39位と大幅に出遅れたが、以降は3レース続けて一桁順位でフィニッシュ。第5レース、第6レースで17位、30位とやや順位を落としたが、最後は盛り返し、総合10位でレースを終えた。2日間通して終始安全圏をキープする上々の走りだった。


10位に入った倉橋・吉村組

 11位に入ったのは西村宗至朗(社2=大阪・清風)・松本健汰(政経2=東京・早大学院)組。1日目は3レースとも上位でフィニッシュし、暫定5位で折り返す順調な滑り出し。特に第2レースではトップフィニッシュを果たし、「公式な大会での久しぶりのトップフィニッシュだったので嬉しかった」(西村)と笑顔を見せた。一転して2日目は、微風でかつ杯数が多いため、スタートで失敗すると取り返しづらいという状況に苦しむ場面が見受けられたが、カットレースとなった(※2)第4レース以外大きく崩れることなく粘り切った。全日本個選の切符を懸けて手に汗握る展開を見せたのは、小泉凱皇(スポ2=山口・光)・嶋田篤哉(文構4=神奈川・鎌倉学園)組と佐香将太(スポ3=岩手・宮古)・上園田明真海(スポ2=大分・別府翔青)組。小泉・嶋田組は1日目を19位と1点差の18位で折り返すと、2日目は右肩上がりに順位を上げ、総合14位に入った。佐香・上園田組は第3レースで3位に入った一方、2日目は大きく順位を落とすレースも。だが第8レースを11位でフィニッシュし、総合16位で接戦をものにした。佐香は昨年、一昨年のこの大会で全日本個選出場を逃しており、雪辱を果たす結果になった。


16位に滑り込んだ佐香・上園田組

 過去に全日本学生選手権で3連覇の偉業を成し遂げている早大ヨット部といえども、470級レースに出場した全艇が全日本個選の出場権を獲得するというのはなかなか達成できない目標だった。「チーム自体の底上げができている」(西村)と選手は手ごたえを感じている。だが春関東インカレで競り合った慶大や日大からは今大会も3艇ずつが10位以内に入っており、ともに充実の陣容だ。秋にライバルたちを打ち破るために、激しい部内競争の中で個々がさらに腕を磨いていきたい。

(記事、写真 町田華子)

※1 ヨットの反則の一つ。黒色旗が掲げられた場合に、スタート1分前以降にスタートラインを出た船は失格となるというルール。
※2 得点の悪いレースを除外して総合得点を計算すること。

結果

田中・新井組 4位 42点

倉橋・吉村組 10位 85点

西村・松本組 11位 86点

小泉・嶋田組 14位 109点

佐香・上園田組 16位 125点

コメント

470級スキッパー西村宗至朗(社2=大阪・清風)

――今大会の目標を教えてください

全日本学生個人選手権の出場権をかけた大会になっていたので、個人ではとりあえず全日本への切符を取ることを目標にしていて、チームとしても5艇全艇が通る(出場権を得る)ていうことを目指していました。

――春インカレ(関東学生春季選手権)のご自身のレースを振り返っていかがですか

去年もずっとレースに出させてもらっていて、今年の春インもレギュラーになって、でも調子自体が冬季練習の時からあまり良くなくて、3月以降の練習を通して徐々に戻ってきているんですけど、春インの時は自分が足引っ張っちゃったかなって思っています。470級が2位で総合も準優勝というかたちで、チームとしての課題もあるんですけど、僕自身が頑張ればもうちょっと何とかなったかなっていうのは正直思っています。

――春インカレから今大会まで特に重点的に取り組んできたことはありますか

11月のインカレ(日本学生選手権)でも想定される微風コンディションがちょっと苦手なので、その克服を重点的にやっていて、春インカレ終わってからこの大会まではレースが続いていて練習の機会があまりなかったんですけど、レースの中でいろんな大学とかと走って自分の腕を磨くことをしてきました。

――ご自身の今回のコンディションはいかがでしたか

先週のレース、その前の週の春インカレを通して、クルーと自分たちの強いところ弱いところをしっかり話し合って今回も微風のコンディションがある程度予想されていたのでその中でこうしようっていうのを話し合って臨めていたので、その点に関しては良かったかなと思います。でも新しい課題も出てきたので、また11月の全日本学生個人選手権に向けてまた練習していきたいです。

――1位を取った第2レースを振り返っていかがですか

内容としてはまずスタートがきれいに決まって、コースの外側に自分の船をうまく出せて、そこからはすごく簡単な展開で、コース云々考えずにしっかり自分たちのスピードで前に出していこうっていうことができたレースでした。公式な大会での久しぶりのトップフィニッシュだったので嬉しかったです。

――第4レースはいかがでしたか

この大会自体が、予報通りそんなに風が吹いていないコンディションで、杯数も多かったのでスタートラインがすごく長くて、しっかりスタートを出ないと追い越す展開も難しいし順位が伸びない傾向にありました。その中で、第4レースはスタートを失敗してしまって第2レースとは反対に集団の中に埋もれてしまって、そのまま大きく外にも出せずに追い上げもできなかったという感じです。

――レース中に特に意識していた選手はいますか

杯数が多かったのでレース中はあまりチェックしてないんですけど、早稲田の中ではリーダー艇の田中・新井組については、練習の時からどういう動きをしているのかを見て、いろいろ技術を盗もうとしてました。他大は、主には日大と慶大の船ですかね。春インカレでも戦って今後も多分上位争いしていくので、意識して走っていました。ただやっぱり技術的に、僕もクルーも日大や慶大には劣っているところがあるので、そこをもうちょっと詰めていければいいんじゃないかなと思います。

――今回見つかった課題や、日大や慶大の選手に比べ劣っていると感じる点は具体的にどのような部分ですか

心理的な面もあるんですけど、練習で出てるすごくいいスピードをレースで発揮できないっていうところがあって、今回の悪かったレースもそこがちょっと目立ってしまったという感じです。なので、今後の課題にもなるんですけど、練習のいいスピードをレース本番でも出すという再現性をもっと高めていかないといけないなと思いました。

――松本くんとペアを組み始めたのは今シーズンに入ってからですか

冬合宿の期間にいろんなクルーと乗って、自分が一番いいなと思ったクルーを470級のリーダーに一応リクエストしたかたちで、それで試しに乗ってみてそんなに悪くないのでそのまま頑張っていこうとなりました。

――今のペアには慣れてきましたか

去年今の主将の秦さん(秦和也・基理4=東京・早大学院)と乗っていたので、秦さんがどういうことをしていたかというのを今のクルーに還元していってるかたちなんですけど、まだ全然足りていない部分もあるので、そこは僕が一応経験は長いので共有していければいいかなと思います。

――今大会の結果についてはどのようにとらえていますか

昨日は第2レースのトップフィニッシュをはじめ、自分としてはすごくいい感触で終われたんですけど、逆に今日はうまくいかなかった部分が多かったかなと思っています。最後のレースを除いてすごく風が弱いレースになって、自分の苦手意識が出てしまったかなという感じです。まず苦手意識をなくすことと、あとは細かい動作をもっと練習していかないといけないなと思います。

――今年は同期の2年生が多くレギュラー入りし活躍を見せていますが、昨年からレギュラーだった立場としてどのように感じていますか

今年同期とか後輩の倉橋が入ってきてくれて、チーム自体の底上げができているのかなと感じています。あんまり上から言える立場じゃないんですけど、今回早稲田の全5艇が全日本学生個人選手権に進める18艇のうちに入れたのも、底が他大に比べて高いからかなと思います。レベルが高い中でみんなどんどんうまくなっていくことができているので、レギュラー争いもバチバチですけど、恵まれているなと思います。

――最後に今シーズンの意気込みをお願いします

僕自身の目標は11月の西宮でのインカレにもう1回レギュラーとして出してもらって優勝に貢献することです。チームとしても2連覇に向かっているので。個人選も今回出場権を獲得して出られるのでそれなりに頑張りたいなと思います。

470級クルー新井健伸(商2=東京・筑波大付)

――25位に沈んだ第5レースを振り返っていかがですか

5レース目はそれまでのレース同様、スタートは安全にアウター側からスタートしようと思ったんですけど、直前に風が振れてしまって、スタートラインを切れないところから始まって、風がそれからずっと振れた状態になり、上マーク時点で順位が悪いことはお互いわかってました。О旗が上がっている状況だったので必死に漕いで挽回をはかったんですけど、トップ集団も同様に漕いでいて、トップ集団と後続集団だと掴める風の質も変わってなかなか差が縮められなかったです。でも、5レース目からカットすることができるのでレース後も切り替えていこうっていう気持ちにすぐなれました。

――第7レースではトップフィニッシュを果たしましたが振り返っていかがですか

7レース目は、風が上がって田中さんにとって得意な風速になったので自信を持ってレースを展開できました。1上マークではトップではなかったんですけど、ランニングで一つ一つの波にうまく乗れて順位を上げれたことがトップフィニッシュにつながったと思います。最後のフィニッシュマークに向かう下マークで、慶應の柳内さん(柳内航平)の船とトップ争いをしていたんですけど、そこのジャイブからリーチングに行く動作が自分は苦手意識があって、6レース目でもそこの動作で日大の新谷くん(新谷唯斗)に抜かれてしまったので少し緊張しましたが、ミスなく動作を終えられてトップに躍り出れたのが良かったです。フィニッシュ直前までトップ争いをしていたのでフィニッシュ後は素直に嬉しい気持ちが強かったです。