今季けがで出遅れながらも、勝ち継投の一人として定着した今西拓弥(スポ3=広島・広陵)。走者を背負う場面で何度も登板し、チームの窮地を救ってきた。そんな今西に今季の振り返りや上級生になっての意識の変化、そして目前に迫った早慶戦への意気込みなどについて伺った。

※この取材は5月21日に行われたものです。

けがから明けて


取材に応じる今西

――開幕前にけがをされていましたが、時期や原因は何でしたか

 11月の新チームが始まってすぐの練習の、50メートルのタイム測定で普段走らないぐらいのダッシュをしてしまって、やっちゃいましたね。

――けがをしている間にトレーニングや増量をされていたとうかがいましたが、具体的にはどのようなことをされていましたか

 足をけがしていたので、走ったりなど下半身のトレーニングは全くできませんでしたが、上半身のトレーニングはできたので、ウエートトレーニングやインナー(インナーマッスル)のトレーニングはやるようにしていました。

――体重も100キロに到達しました

 ずっと細いと言われてきていたので、増やしたいとは思っていましたね。増やしたのは良かったかなと思っています。

――トレーニングや増量の成果は、どのように投球に表れていますか

 去年に比べてがむしゃらに投げなくても球速が出るようになったりだとか、安定している感じは自分の中にあります。そういうのにはウエートとかが影響しているのかなと思います。

―—ここまでの投球に点をつけるとすると何点ですか

 点をつけるとなると、結構低いかなと。30点いくのかな。自責点は付いていないですが、一つ一つのプレーを見るとあまり良くないのかなと自分では感じます。

――明大1回戦は久しぶりの公式戦登板となりましたが、メンタルや体調面はいかがでしたか

 あんまり緊張はなかったです。今まで投げさせてもらってきた経験はあったので、そういうのはなかったかなと思います。結構(体調も)いい感じで迎えられていたのかなと思います。

――アンケートでは広島・広陵高の先輩の喜多真吾副将(4年)に打たれたのが悔しかったとうかがいましたが、同じ高校出身の選手は意識されますか

 先輩だったので、この人には打たれたくないなというのはありましたが打たれちゃったので、2回戦では何がなんでも抑えてやるという気持ちで臨めたので良かったのかなと思っています。

――気持ち以外の面で1回戦から2回戦に向けて変えられたことはありましたか

 1回戦もボールが悪かったわけではないので、気持ちの切り替えだけで2回戦に臨めたというのはあります。

――小藤翼副将(スポ4=東京・日大三)と配球についてのお話はされますか

 小藤さんが相手チームの映像を見たりして(配球を)考えてくれているので、小藤さんの考えを聞いて自分も合わせられるようにしています。自分でここはこうしたいという意見は言うようにして、小藤さんとはいいコミュニケーションがとれているのかなとは思います。

――現在今西選手と柴田迅選手(社3=東京・早大学院)、徳山壮磨選手(スポ2=大阪桐蔭)で、勝ち継投が確立されています

 自分と柴田が相手チームの打順によって前後することはありますが、後ろに徳山がいてくれて、下級生ですがすごく頼れる選手ではあるので、そこにつなげると勝てるというのはあるので、そこにつなぐことだけを考えて今シーズンはやっています。

――昨年までに比べると役割がはっきりされていると思いますが、やりやすさはありますか

 今までだと、どのタイミングで投げるかが分からなかったので、(肩を)つくるタイミングも難しかったのですが、ここに合わせてつくればいいというのができているのは、そういう面では楽なのかなと思います。

――開幕前の時点で、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から自分の役割については聞いていたのですか

 自分は東大の時は(ベンチに)入っていなかったので、入ってから投手コーチの嵯峨さん(悠希、商4=東京・早大学院)に「きょうはこういう流れでいくから」と伝えられていました。でも(春季)オープン戦から徳山が一番最後に投げるというのは分かっていたので、そんなに気負うことなくできているのかなとは思います。

――ブルペンで柴田選手や徳山選手と何か話されますか

 いろんなことを共有はしているつもりではあります。審判のストライクゾーンであったりだとかの共有はしています。

――先発投手が伝えにくるのですか

 それもありますし、ブルペンにモニターがあるので、そこで自分でも確認しながらやっています。

――5回ぐらいまではリラックスして過ごされているのですか

 そうですね、野手みたいに初回から緊張感を張り詰めてというよりかは、自分が出てくるのは後半になってくるので、そこに合わせて試合の前半はリラックスするようにはしています。

――今季で一番印象に残っていたり、自分の中でターニングポイントになった試合はありますか

 やっぱり明治1回戦の喜多さんに打たれたところが自分の気持ちをもう一度引き締めさせてくれた試合でもあったので、気持ちを前面に出せば2回戦のようにしっかり抑えられるというのは今シーズンでも確認できて、そういう面では明治の1回戦がターニングポイントだったのかなと思います。

――現時点での一番の課題は何だと考えていますか

 きのうの試合(法大3回戦)でピンチの場面で登板した時に、ストライクを取り切れなかったというのがあって、今シーズン四球が多い感じがあるので、今週と来週で早慶戦までにしっかりと合わせていかないといけないなと思っています。

――四球が多い要因は何だとお考えですか

 慎重になり過ぎているのかなと。コントロールは安定して投げられるというのが自分の中でもできているので、逆にコースを投げ過ぎている分、それが外れてしまっているのが多いのかなと思います。

――2年生まではそういうのはなかったのですか

 そうですね、2年生のころはどちらかというとがむしゃらに投げていたのかなと思います。

――体重が増えて体が安定してきた影響もありますか

 どうなんですかね。でも安定してきた分ブルペンでも狙ったところに投げられているので。自分が投げるのはどうしてもピンチの場面が多くなるので、そういうときにもっと大胆に攻めてもいいのかなというのは投げていても感じています。

――けがが治ってから、小宮山監督に何か指導されたことはありますか

 特にはないですね。でもマウンドに上がったときに「頼んだ」とは言ってもらったりはしているので、任せてもらえているんだなというのは、小宮山さんの少ない一言で伝わっているのかなと思います。

――ピンチの場面からの登板と、回の頭からの登板で変えていることはありますか

 特にないかなと思っていて。ピンチであってもなくても自分が投げるのは試合終盤で、1点でも取られたらまずい状況もあったりするので、そこの気持ちは変えずに、「絶対に抑えてやる」と。そこはピッチャー陣の中でもこういう心持ちはしっかり持とうというのがあって、絶対に抑えるという気持ちを持ってマウンドには上がっています。

「一つにはまとまっている」

――今のチームの雰囲気はいかがですか

 優勝はなくなっちゃいましたが、それでも勝ち点4を取ってこのシーズンをなんとか終えようというのが小宮山監督からもありまして。早慶戦というのは特別な試合でもあるので、そこは絶対勝てるようにしようということで、一つにはまとまっているかなと思います。

――投手陣は3年生以下の選手が主体だと思いますが、そこの雰囲気はいかがですか

 去年からずっと投げさせてもらっていて、自分や早川(隆久、スポ3=千葉・木更津総合)が経験として一番積んでいると思うので、自分たちが引っ張っていくという気持ちを持ちながらやるようにはしています。

――アンケートで、上級生になってチームでの役割を考えて必要なことを取り組むようになったと書かれていましたが、具体的にどのようなことに取り組まれていますか

 練習メニューに関しても自分に合っている、合っていないというのがだいぶ分かるようになってきたので、必要ないなと思う練習をやらないわけではないですが、合っていて自分の技術を磨くために必要な練習はより量を増やすようにしています。

――下級生にアドバイスされることはありますか

 あまり自分から言うことはありませんが、やっているメニューを聞かれたら答えて、教えたことが合っていると思えば「続けたらいいんじゃない」と言うことはしています。あとはリリーフで田中星流(スポ1=宮城・仙台育英)が緊張していたら、「落ち着いていけよ。後ろで準備しているから思い切っていけ」という言葉が3年生になって出るようになったのかなというのはあります。

――法大3回戦などでしょうか

 その日もそうです。あとは投げてはいなくても投げそうな雰囲気があるときに、そういうふうに声を掛けたりするようにはしていました。

――話は少し変わりますが、用具へのこだわりはありますか

 基本的にはグローブもスパイクも軽いのが好きなのかな。今季のグローブをオーダーする時も、できるだけ軽い素材を選ぶようにはしていました。大き過ぎてもあまり好きではないので、どちらかというと苦手な部分があるフィールディングをしやすいグローブを選ぶようにはしています。

――最近オフの日にどこかに遊びに行かれたりしましたか

 小藤さんと西垣(雅矢、スポ2=兵庫・報徳学園)と『おふろの王様』という花小金井にある銭湯に行きましたね。「なんか疲れたから行こうか」と三人で行きましたね(笑)。

――ゲームが好きだとおっしゃっていましたが、最近はされていますか

 いや、3カ月ぐらいやっていなかった練習を急にやるようになったのですごく疲れがきていて、部屋にいたら寝ることが多いですね。

――ゼミには入られていますか

 入っています。コーチングということで、水泳の奥野先生(景介総監督、昭63教卒=広島・瀬戸内)のゼミに入れてもらっています。そこでいろんなスポーツのことを聞いたり、コーチ側のことを理解することで、選手としてやっていてもこういうことをコーチの人が伝えてくれているんだなということが理解できるようになればより練習も良くできるようになるのかなと思ったので、そういうコーチングを学んでみるのもいいかなと思いまして、今のゼミに入りました。野球に生かさせてもらっています。

――今までで面白かった授業はありますか

 面白いなと思うのは、今水曜日の5限に取っているグラウンドゴルフを所沢のクラブの高齢者の方とやるという授業ですね(笑)。それはすごく楽しいなと思います。

「早慶戦は特別な試合でもある」


今季も重要な局面での登板が多い今西

―—早慶戦の話に移ります。チームとして慶大にはどんな印象がありますか

 チームが一つになって戦ってくるという印象があるので。あとバッティングがいい選手が多いチームだと思うので、早慶戦に勝つためにはピッチャー陣がどれだけ抑えられるかが大事になってくるんじゃないかなと思います。

――打線が強いという印象なのですね

 そうですね、柳町選手(達副将、4年)や中村選手(健人、4年)、郡司選手(裕也主将、4年)には警戒しなければならないと思います。

――投手陣の印象はいかがですか

 ピッチャー陣もすごくいいので、そう簡単に点を取れるような相手ではないと思います。そこは野手の人が点を取ってくれることを期待して、ピッチャー陣がどれだけ粘れるかが大事になると思います。

――早慶戦での今西選手個人の目標はありますか

 リリーフなので投げるか投げないかは試合が始まらないと分かりませんが、投げたら点は取られずに絶対に抑えたいです。

――最後に早慶戦への意気込みをお願いします

 リーグ戦自体の優勝はなくなりましたが、早慶戦は特別な試合でもあると思うので、慶応だけには絶対に負けられないし、何としてでも2連勝して勝ち点4を取って、リーグ戦を終えられるようにしたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 宇根加菜葉)


早慶戦でもチームをピンチから救います!

◆今西拓弥(いまにし・たくみ)

1998(平10)年6月22日生まれ。200センチ、100キロ。広島・広陵高出身。スポーツ科学部3年。投手。左投左打。東京六大学史上屈指の高身長である今西選手。自分に合う服を見つけるのも大変だそう。その身長を生かした投球で、早慶戦でも打者を切って取ります!