ついに迎えた関東学生春季リーグ最終節、早大は国士舘大と対戦した。前半戦、立ち上がりは伸び悩んだもののディフェンス、オフェンスの双方がうまく機能し、相手のシュートミスやパスミスも相まって12-10と2点リードとした。このままリードを保ちたい…

 ついに迎えた関東学生春季リーグ最終節、早大は国士舘大と対戦した。前半戦、立ち上がりは伸び悩んだもののディフェンス、オフェンスの双方がうまく機能し、相手のシュートミスやパスミスも相まって12-10と2点リードとした。このままリードを保ちたい早大であったが、その望みは虚しくも断ち切られてしまう。後半戦は接戦が続いていたが、攻めあぐねていた早大の隙をついた国士舘大が残りわずかな時間で連続得点を決めてしまい、22-25で敗北。春季リーグ戦の結果を踏まえ、早大は入れ替え戦に臨むこととなってしまった。

 「最初の立ち上がりがもたついていたのですが、やっぱり徐々に落ち着きを取り戻していった」と荒木進監督(平5人卒=熊本市立商)が振り返るように、前半戦、立ち上がりこそうまくいかず3失点となってしまうが、開始10分には立て直すことができた。LB阿南遼星(スポ3=大阪・大体大浪商)のポストシュートや、LW前田理玖(スポ3=福井・高志)のサイドシュート、原遼太(スポ3=岡山・総社)のポストシュートが続々と決まり最初の3点差を徐々に埋めていく。RB山本慶(スポ3=長野・屋代)は倒れこみながらもシュートを放ち点を刻み付け、19分には2回連続でRW清原秀介(商4=東京・早実)のシュートが決まり逆転に持ち込んだ。20分を過ぎるとオフェンス、ディフェンスの両面がうまく機能し、さらに相手のパスミスやシュートミスも相まって完全に試合の流れを早大が引き寄せていた。交代直後の山田和直(スポ1=群馬・富岡)が決めたポストシュートや、GK羽諸大雅(スポ4=千葉・市川)の好セーブを生かした前田の速攻で、最後まで試合の流れを相手に譲ることなく12-10と2点リードで前半戦を終えることができた。


シュートを決める前田

 前半戦で作り上げた早大ペース。あの時ワセダセブンに勝利の2文字が見えていただろう。しかし、結果としてこのリードをうまく後半戦に活かすことはできなかった。序盤は相手に7メートルスローを許してしまうが、山本や宮國が堅実にサイドシュートを刻み付けていく。だが、10分には相手選手が2分退場となり攻撃のチャンスが早大に訪れたとき、相手のディフェンスによってその2分間をつぶされてしまい好機を逃すかたちになってしまった。また、「シュートミスだったり基本的なミスが多くて、そこで流れがつかみきれないというところが敗因だった」と前田が言う通り、試合時間が進むにつれて早大側に惜しいと思わせるようなミスが目立ち始めた。羽諸のセーブやディフェンス陣の必死の守りの姿勢は光っていたが、早大は国士舘大に攻めあぐねてしまっていた。残り6分には前田の速攻やループシュートが決まるものの、すぐに相手に取り返されてしまう。そして残り時間1分を切ると、7メートルスローを皮切りに相手に3得点を許してしまった。ボールが早大に回ってきても、それがゴールに吸い込まれることはないまま、22-25と3点ビハインドで試合を終えてしまった。


好セーブが続いた羽諸

 春季リーグ最終節。僅差で負けることの多い早大はこの試合を白星で締めくくりたいところだったが、叶うことがないまま春季リーグは閉幕してしまった。今回の敗因は様々だとは思うが、「1点の重みというのが足りなかった」と荒木監督が振り返るようにシュートミスやパスミスといった防げたミスで点数を取りこぼしてしまうというのは、確かに春季リーグ全体を通して見られた。しかし、春季リーグを通して浮き彫りになった様々な弱点や自分たちの長所、伸びしろは今後に控える定期戦や関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)、全日本学生選手権(インカレ)に生かされていくはずだ。まずは来週に控える入れ替え戦。早大の意地を見せつけ勝利をつかんでほしい。

(記事、写真 栗林真子)


集合写真

関東学生春季リーグ
早大2212−10
10−15
25国士舘大
GK 羽諸大雅(スポ4=千葉・市川)
LW 前田理玖(スポ3=福井・高志)
LB 阿南遼星(スポ3=大阪・大体大浪商)
PV 中村祐貴(スポ3=北海道・札幌西)
CB 宮國義志(社4=沖縄・浦添)
RB 山本慶(スポ3=長野・屋代)
RW 清原秀介(商4=東京・早実)
最終結果
早大筑波大日体大国士舘大中大法大明大立大東海大日大
9位早大 21●32 26△26 22●2522●23 31〇2927●29 24●25 23●24 30〇28
1位筑波大 32○21 26〇25 33〇25 27△27 29○2323●2536○2027〇1732〇23
2位日体大26△26 25●26 25〇24 40○24 30○2130〇2830●3428〇2533〇32
4位国士舘大25〇22 25●33 24●2530〇2938○23 24○1825○2129●30 26〇21
3位中大 23○22 27△2724●4029●3023〇22 30〇2332〇1925〇13 24〇22
7位法大29●3123●29 21●3023●38 22●2323○2225△25 27〇25 28〇27
8位明大29○2725〇2328●30 18●24 23●30 22●23 24●27 25〇23 25●28
6位立大25〇2420●3634〇30 21●2519●32 25△2527〇24 23●28 17△17
5位東海大24〇2317●2725●28 30〇29 13●2525●27 23●25 28〇23 26〇18
10位日大 28●3023●3232●3321●2622●2427●28 28〇25 17△17 18●26
コメント

荒木進監督 (平5人卒=熊本市立商)

――惜しくも3点差で敗れるかたちになってしまいましたが、きょうの試合を振り返ってみていかがでしょうか

きょうの国士舘大戦を見ると、やっぱり勝たなきゃいけない試合に勝てないというのは自分たちの努力不足であったり、ミスに対して厳しさがなかったり、1点の重みというのが足りなかったなという印象を受けました。

――前半2点リードで折り返していたり、ディフェンスがうまく機能していた場面もありました。その点についてはいかがでしょうか

最初の立ち上がりはもたついていたのですが、やっぱり徐々に落ち着きを取り戻していったなと。うちはディフェンスからのチームなので、そこに関してはできてきているなというところはあるんですけど、やはりもう少しセットで取れない分速攻につなげて、試合の流れの中で肝心な部分で相手を畳みかけるような勝負強さといったところが欠けていたというふうに感じました。

――春季リーグを通して、チームとして得たものは監督ご自身から見られてありますか

ディフェンスはまあまあ機能はしていたけど、攻守の切り替えの早さ、ディフェンスから速攻で行くというところがまだまだ不足しているし、1点の重みであったり、ミスを練習の時から厳しく言い合うということができていないところがそのまま試合に出ているなと思いました。

――春季リーグを通していかせる部分についてはいかがでしょうか

ディフェンスは継続して、ただやっぱり考え方を変えてもらって自分たちの中でミスに厳しく、攻守の切り替えの早さを求めていきたいなと。攻守の切り替えの早さというのは速攻なので、そういったところを鍛えなおさなきゃいけないなと思いました。スポーツはどの競技も一緒だと思うんですけど、春先で行う走り込みというのが試合に生かされてきているという状況なので、これから走りこんで、春リーグでよかったところは上積みして、悪かったところは厳しくお互い言い合ってやっていかなければいけないなと思いました。

――次に控える秋季リーグやインカレに向けて一言お願いします

うちは去年のメンバーがごそっと抜けているような状況なので、長いスパンじゃなくてやはり一戦一勝といいますか、そういった1試合にかける重みというのを極めていってほしいと思います。

羽諸大雅副将 (スポ4=千葉・市川)

――試合を終えた今の気持ちをお願いします

自分たちの力で入れ替え戦を回避することができなくて、そこは悔しく感じます。

――今回3点差で敗れてしまいましたが、試合全体のプレーを振り返ってみていかがですか

試合の流れを引き寄せることができている時間もあったんですけど、最終的に勝敗を分けるというところまで相手に流れを取られてしまったというのは、自分たちの未熟さが出てしまったかなと思います。

――試合の中でセーブが決まる場面が多くみられました。ご自身のプレーを振り返ってみていかがでしょうか

前の試合や前々の試合と自分自身の調子があまりよくなかったんですけど、最終戦では頑張ろうと思って奮起して臨んだ結果、よく当たることができたのでそこは良かったです。

――今回の試合を通してディフェンスがよく機能していたところが印象的でした。ディフェンスに関してはどのように思われますか

週の初めのミーティングでしっかりチーム全体で話し合って対策していたので、そこは試合の中で出せたんじゃないかと思います。

――春季リーグを通してチームとして得たものはありますか

そうですね、経験というのが第一ですね。あとはチームワークというところで、法大戦とかもチーム一丸となって盛り上げて勝ったということがあるので、チームワークの重要性というのはチーム全体で意識があるんじゃないかなと思います。

――一方で見えてきた課題や目標というものはありますか

きょうに限って言えば、真ん中の2人が負傷して試合に出れなくなった場合に代わりになる選手がまだまだ育ってきていないので、そこは致命的な弱点だったと思いました。そういった層の薄さというのは秋季リーグとかまでには改善していくことが重要なんじゃないかと思いますね。

――これから控える秋季リーグやインカレに向けて意気込みをお願いします

勝敗にこだわるというのはもちろんなんですけど、その中でチーム全体のコミュニケーションを取り合って、終わった時にはいいチームだったなと振り返れることを目指したいと思います。

宮國義志 (社4=沖縄・浦添)

――試合を終えた今の気持ちをお願いします

入れ替え戦がかかっているなかで、シュートを外してチームに迷惑をかけてしまったので負けた責任は僕にあるのかなと。秋までにしっかり自分のコンディションを整えていきたいと思います。

――今回3点差で敗れてしまいましたが、試合全体のプレーを振り返ってみていかがでしょうか

センターというポジションで、試合をコントロールしなければいけないという立場なのに、きょうはできていなかったし自分の良いところを出せなかったので、まだ練習が必要かなと思います。

――春季リーグ中に負傷して、前回の試合あたりから復帰されていたと思うのですが、けがの具合はもう大丈夫ですか

一応大丈夫です。本当は病院の人にも春季リーグには出場しない方がいいと言われていたんですけど、先週の東海大戦から入れ替え戦がかかっていたということや、チームの人数も少なかったこともあって自分が無理をしてでも試合に出れるようになったらと思ったんですけど、試合で勝利に貢献できず迷惑をかけてしまったというところがあります。

――春季リーグを通して得たものはありますか

全体的に負けた試合とかでも、1点差や2点差だった試合が多かったと思うので秋季リーグは戦えないこともないなと感じたので、秋までにまた練習して力をつけて秋季リーグではインカレのシード権を取れるように頑張りたいと思います。

――一方で見えてきた課題や目標はありますか

チーム全体で話し合って、春季リーグは4位以内を目標にしていたんですけど程遠い結果となってしまって、自分たちの力のなさというのが出たというのが一番ですね。秋季リーグはインカレがかかってくるのでどのチームも必死にやってくると思うんですけど、早稲田も負けじと練習して頑張っていけたらなと思います。

――これから控える秋季リーグやインカレに向けて意気込みをお願いします

自分は4年生なので、最終学年として試合でも試合外でもチームを引っ張っていけるような、チームを勝利に導けるような選手になるためにも、もっと緊張感のある練習をして秋季リーグまでに成長していけたらなと思います。

前田理玖 (スポ3=福井・高志)

――試合を終えた今の気持ちをお願いします

勝てば入れ替え戦が無くなり、負ければ入れ替え戦の可能性があるという中で秋季リーグに向けても勝って終わりたかった試合だったんですけど、負けてしまったのは悔しいです。

――今回惜しくも3点差で敗れてしまいしたが、試合全体のプレーを振り返ってみていかがでしょうか

春リーグの全部の試合でもそうだったんですけど、自分を含めてシュートミスだったり基本的なミスが多くて、そこで流れがつかみきれないというところが敗因だったかなと思います。

――前半でオフェンス、ディフェンスともにうまく機能していた場面が多くみられましたが、ご自身振り返ってみていかがでしょうか

今週は国士舘のオフェンスやディフェンスに対応した練習をしてきたので、そういった面では立ち上がりはそんなに良くなかったんですけど、粘って前半は早大のペースにできたと感じました。

――春季リーグを通してチームとして得たものはありますか

ほぼ全員あまり経験がない中で迎えた春季リーグだったので、そういった面ではこの全試合というのは秋季リーグやインカレに向けてはいい経験になったと思います。

――一方で見えてきた課題や目標はありますか

ほかのチームに比べて個の力というのがあまりないので、その分もっと組織力だったり、あきらめずに個の力を伸ばしていかないと秋季リーグやインカレでは勝てないかなと感じました。

――これから控える秋季リーグやインカレに向けて意気込みをお願いします

個人的なことになるんですけど、もっとシュートの精度を上げて、点を取ることが仕事だと思うのでその役割をちゃんと果たして、チームから信頼を得ることができるような選手にならなきゃいけないなと思います。