今年は4会場(幕張、仙台、神戸、富山)で公演される「ファンタジー・オン・アイス2019」。その開幕となる5月24日の幕張公演初日、羽生結弦は3月の世界選手権以来2カ月ぶりとなる滑りを披露した。

 キレのある動きを見せた羽生は、オープニングのスケーター紹介でいきなり4回転トーループを跳んで観客席を沸かせるなど、平昌五輪後だった昨年より体調が良さそうだ。



約2カ月ぶりに演技を披露した羽生結弦

 昨年の幕張公演初日では、羽生は「トリプルアクセルを含め、トーループとサルコウの3回転は跳べるようになっている」と話していたが、そのときに比べればコンディションはかなり上向きと言えそうだ。

 ゲストアーティストのToshlが歌う『真夏の夜の夢』で始まったオープニング2では、羽生は途中からハビエル・フェルナンデスやジェフリー・バトル、エリザベータ・トゥクタミシェワ、エフゲニア・メドベデワ、安藤美姫、アイスダンスのアンナ・カッペリーニ/ルカ・ラノッテらとリンクに上がると、躍動感あふれる滑りを見せた。

 そして、羽生が再びリンクに登場したのは、第2部の大トリとして。今回の公演で予定されているのは、Toshlとのコラボレーションで『クリスタル・メモリーズ』と『マスカレイド』の2プログラム。この日演じたのは『マスカレイド』で、衣装は上着が赤と黒。フィギュアスケートファンにとってはお馴染みの『オペラ座の怪人』の迫力ある前奏に乗って、最初からキレのある激しい動きで、全力で滑りきった。

 羽生はトリプルアクセルをきれいに決めると、スピンやイナバウワーで観客を沸かせたあと、見せ場でもある大きさのあるシングルアクセルを跳ぶ。3分35秒間の演技を終えた羽生の滑りに、観客席からは安堵するようなどよめきがあがっていた。

 羽生は、この日のフィナーレでも観客を興奮の渦に巻き込んだ。恒例のジャンプ合戦が始まり、メドベデワが転倒して苦笑いを浮かべながら戻ってきたあとに滑り出した羽生は、最初が1回転になってしまってが、気合いを入れ直すと、4回転ルッツに挑戦したのだ。結果は回り切れずに転倒だったが、そこには、新シーズンへ向けての強い意志を感じた。

 3月の世界選手権で優勝したネイサン・チェン(アメリカ)に敗れたことで「心に火がついた」と話した羽生は、4回転アクセルへの挑戦も含め、4回転ルッツの必要性を強調していた。それをすでに跳び始めていることをここで見せたことは、新シーズンへの意欲の大きさを示すものと言える。



今季のショートプログラムを披露した宮原知子

 ほかにも、このアイスショーで、新シーズンへ向けた意気込みを見せたスケーターがいた。宮原知子と紀平梨花だ。ふたりは、ともに新しいショートプログラムを披露した。宮原は『Yalla』『Tabla & Percussion Solo』『Egyptian Disco(Buddha Bar Edit)/DJ Disse』の3曲で構成された、複雑な動きでつなげる難しいプログラム。また『Breakfast In Baghdad』を選んだ紀平は、テンポの早いボーカルに乗って難しい動作を連続させる演技構成になっていた。ともにまだジャンプは乱れていたが、新しい表現世界を切り開こうとする意欲的なプログラムだ。



昨季活躍した紀平梨花、さらなる躍進に期待がかかる

 これからのトレーニングやアイスショーで滑り込んでいくことで、ブラッシュアップされてくる各選手の新シーズンに向けた演技に注目していきたい。