前日に行われた1回戦の国士舘大戦との試合を制した早大は、関東予選(※1)出場を懸けてこの日は2試合を戦った。準決勝は東京AC、決勝は中大を迎えての試合。両試合とも最後までもつれる展開となったが、終盤に粘り強さを発揮した早大が連勝して優勝。6年ぶりに全日本総合選手権東京都予選(全総予選)を通過することとなった。関東予選は栃木県で6月22日と23日の両日に開催されることとなる。

東京都予選
東京AC14
早大×18
松下、川上、○山内-澤
◇(二塁打)川上(1回、4回) ◇(三塁打)吉原、澤 ◇(本塁打)金子、石井、杉本
東京都予選
早 大
中 大
山内、松下、○山内-澤
◇(二塁打)梶谷、川上 ◇(本塁打)丹野、川上

 まずは初戦。先発を務めたのは松下直矢(スポ3=京都・南陽)だった。初回は三人で切り抜けたが、2回から徐々に相手打線に捉えられ始める。3回には打者一巡の猛攻で、大量6点を失った。4回からは松下を諦めて、川上卓也副将(スポ4=岡山・新見)が登板。しかし勢いに乗った相手打線を止めることはできず、4回と5回を投げて7失点を喫する。5回表終了時点で5点のビハインドを背負った状況。この試合の中で早大が最も負けに近づいた瞬間だったと言えるだろう。しかし6回から登板した山内壮起(スポ3=千葉・成田国際)が相手の流れを完全に断ち切った。「求められている役割というのは0点に抑えて流れを自分達の方へ持ってくること」と語る通りの投球で、完全に流れを取り戻した。

 対して打線は全体を通して粘りが光った。相手に得点を奪われる展開が続いたが、得点を取られた回の裏の攻撃では、必ず1点差以内に迫っていたこの日の早大。相手も継投で流れを断ち切ろうと図るが、要所要所で集中力を発揮し連打を重ねる。相手のミスにもつけこんで必死に追いすがった。特に5回・6回と、試合終盤での勝負強さが光っていた。5回は川上、丹野太郎主将(スポ4=兵庫・滝川)の適時打で1点差に。6回は下位打線が出塁し満塁に。ここで代打の杉本亮太(教3=神奈川・柏陽)が登場し、高めのライズを振り抜くと、左翼に一目で本塁打と分かる打球が飛んでいった。結局この回で4点差をつけ、勝負は決着した。


勝負を決定づける満塁本塁打を放った杉本

 続いて行われた第二戦の相手は中大。東京都大学連盟春季リーグ戦(春季リーグ戦)で完封勝利を抑えた相手との対戦だった。しかし試合は序盤から山内が打ち込まれるという予想外の展開。翌週の全日本大学選手権東京都二次予選に向けて状態を上げている相手に、「何度も対戦している相手なので、うまくタイミングを合わされてしまったという印象」。3回を終えた時点で4失点、無念の降板となった。後を受けた松下は四球で走者を出したものの、第一試合と打って変わって落ち着いた投球を披露。無失点で抑え、相手に完全な主導権を握られることは回避した。

 流れが変わったのは5回。川上・石井(スポ3=千葉敬愛)が出塁し、打席は主将・丹野に回ってきた。打球は打った瞬間に本塁打と分かるもので、丹野も一塁ベース付近で拳を突き上げる会心のガッツボーズ。他の選手も飛び跳ねたりと、チーム全体で同点に追い付いたことを喜んでいた。「ここで打たないと主将としてやっている意味がない」と責任を感じていただけに、逆転の一打は本人にとっても大きかった。6回には食い下がる中大に同点にされるが、すぐさま突き放す。直後の攻撃、走者を一人背負った展開で川上がレフト線に打球を放つ。左翼手がダイビングキャッチを試み打球へ飛び込むが、惜しくも届かずボールは転々と外野を転がった。相手が打球の処理にもたつく間に川上は本塁を陥れた。最終回は、6回から再登板した山内が力を振り絞った投球。痛みを抱えながらの投球ではあったが、見事に相手打線を無失点に封じそのまま試合終了。現体制では公式戦では初めての優勝を飾った。


最終回、優勝を決定づけるランニング本塁打を放った川上

  初めての優勝旗獲得。4年生を始め、多くの選手達は試合終了後に歓喜の輪を広げていた。丹野は最終回に川上が適時打を放った際、さらに試合終了の整列後に涙を顔に浮かべていた。「自分がメインとしてチーム作りをさせていただいているのですが、そのチーム作りがどこまでできているか毎日考えていて」。今までチームに主将として多くの時間を費やしてきたからこそ、想いが溢れたのだろう。特に決勝戦で勝負を決定づけたのは主将・副将の4年生。感極まる思いはひとしおだったに違いない。だが今回のことでチームが気を緩めてもいいかといったら、それは違う。今大会は全ての試合が僅差の展開。一歩間違えたら敗退も十分にありえた。丹野はチームを「安全に圧倒的に勝てるチームにしたい」と考えている。全日本大学選手権(インカレ)制覇を目指す早大にとって、最も警戒すべき相手は絶対王者・日体大だ。全日本総合選手権の覇者でもある日体大を破るためには、全総予選で相手を圧倒できないと勝負にすらならないかもしれない。6月に行われる関東予選、さらにその先に向けてチーム力を高めていくしかない。現状のチーム作りは極めて順調だ。これからの男子ソフト部の歩みから目が離せない。

(記事、写真 大島悠希)

※掲載が大幅に遅くなり、申し訳ありません

コメント

丹野太郎主将(スポ4=兵庫・滝川)

――優勝した今の率直な気持ちをお願いします

うれしいの一言に尽きます。大学4年間やってきて、まだ東京都予選という段階なのですが、初めて優勝旗を頂くことができたので、素直に嬉しかったです。

――試合終了後の写真撮影では、少し涙ぐんでいるように見受けられましたが、どのような気持ちの高ぶりがありましたか

涙ぐんだのは、川上がレフト線へランニングツーラン本塁打を打った時に第一波がきたのですが、良いチーム・負けないチームになってきたというのがあって。自分がメインとしてチーム作りをさせていただいているのですが、そのチーム作りがどこまでできているか毎日考えていて。どういうかたちであれチームを勝たしたい(負けないようにしたい)という中で、きょうみたいな接戦の中でしっかりと勝てたというのは、感極まるものがありました。

――2点のビハインドの中迎えた5回。同点に追い付いた打席では、どのような狙いを持って打席に入りましたか

特に狙ったとかはなかったのですが、ここで打たないと主将としてやっている意味がないなと、打席では感じていました。きょうの1試合目からそのように思う場面が多くて、一打席目から結果を出そうとチームが方針を立てている中で、凡退をしていました。東京ACの試合から、ここで打たないといけないなというのはありました。

――打った瞬間本塁打と分かる当たりでしたが、打った感触はどうでしたか

打った瞬間にいったなと思いました。打った球種は覚えていないのですが、多分ライズだったと思います。本塁打を打ったというよりは、これで負けずにすむなという思いを抱えながら、ベースを回っていました。凄い嬉しかったのですが、まだ勝てた訳ではないので。きょうもずっと苦しい試合が続くと思っていたので、あまり顔とかに出さず、次と思いながら(走って)ました。

――クリーンアップ、主に4年生が決勝戦では活躍しましたが

リーグ(春季リーグ戦)の時からクリーンアップが仕事を果たせていたのかというと疑問に残るところもあり、自分も含めてようやくクリーアップらしい仕事ができたな、4年生らしい仕事ができたなと感じていました。下級生が作ってくれたチャンスで、ここで打たなければなと、思い詰めた展開が何度もありました。

――これからの続いていく大会、さらにその先を見据えての意気込みをお願いします

今回はギリギリの中で勝てて、その部分はチームとしては収穫でしたが、自分たちが目指しているソフトボールとは違っていて。序盤にどれだけ点を取れるかがこれからの課題です。劇的でドラマチックな展開で勝つと嬉しいですが、それよりも安全に圧倒的に勝てるチームにしたいと考えているので、ここからインカレ(全日本大学選手権)まで全部の大会で優勝したいですが、1番はドラマチックな展開より無難に勝てることができるチームにしていきたいです。

川上卓也副将(スポ4=岡山・新見)

――優勝した現在の心境をお願いします

うれしい気持ちが、今は1番だなと思います。自分が入ってから優勝というタイトルが取れていなかったので、東京都予選という小さい枠組みの中ではありますが、一つ優勝というタイトルを取れてうれしく思っています。

――7回同点の場面で迎えた打席、一打が出れば勝ち越しの場面での打席に入られた際の心境をお願いします

ベンチからも監督からも、とにかくつなげという声があったので、自分で決めてやろうという気持ちはほとんどなく、つないでいこうという気持ちで打席に入りました。その結果が決勝タイムリーというかたちに結びついたので良かったです。

――自ら放った打球が、レフトの横を抜けた時の心境をお願いします

打った瞬間取られたと思い、抜けた自信はあまり無かったです。レフトがダイブを試みてボールが抜けたのを見て、自分の走る足を早め全力でホームへと帰ろうとしました。

――最終回の打席ではどのような狙いで入られましたか

強い打球を打って、次の打者へとつなげる気持ちで立ちました。

――これからの大会の目標をお願いします

最終目標はインカレというのがありますが、今回関東予選の出場権を獲得できたので、関東予選を勝ち抜いて全総への切符を獲得したいです。自分達の成長の場というのを少しでも多く獲得できればなと、その中でも結果にこだわって、一つ一つの大会でも今日のように優勝を狙っていきたいです。

山内壮起(スポ3=千葉・成田国際)

――優勝した現在の心境をお願いします

タイトルが欲しいという話を今までずっとしていたので、春季リーグ戦特別ページシステムではあと一つのところまでいってたのに自分の投球で負けてしまったので、打たせてとる投球で一つタイトルを取ることができて良かったです。

――この大会前にけがをされたそうですが状態はどうでしょうか

投げれないというほどではないですが、痛めてしまった部分があるというのは、自分の管理不足や調整の仕方のミスのところでもあるので、チームには少し迷惑をかけてしまいました。

――きょうの投球などに影響はありましたか

中大戦では痛みはありましたが、痛いと言ってられる状況ではないので、力を振り絞って投げました。

――きょうの初戦、他の投手が打ち込まれた中で登板し、リリーフとして流れを断ち切る投球となりましたが振り返ってもらえますか

あの場面で自分が登板するということは、求められている役割というのは0点に抑えて流れを自分達の方へ持ってくることだと思うので。そこは無失点で抑える、さらにランナーすら出させないという気持ちで投げました。

――続く決勝戦では、3回までで途中降板することになりましたが

ボール自体は良かったのですが、何度も対戦している相手なので、うまくタイミングを合わされてしまったという印象です。

――6、7回と再登板した際には力を振り絞った投球となりましたが、振り返ってもらえますか

本当だったらタイミングも合っていたので、上手くかわしての投球ができれば良かったです。うまく緩い球を使い切れてないところがあったので、あとは気持ちで投げました。

――最後に今後の大会への意気込みをお願いします

ここで一つタイトルを勝ち取れたことは自信とする反面、今回の大会で出た課題も多いので、そこを解消できるように練習を積んでいきたいです。

杉本亮太(教3=神奈川・柏陽)

――1回戦、6回裏に好機の場面で代打として送り込まれた時の心境は

代打と言われた時にはある程度準備をしていたのですが、前の打者が初球ファーストゴロで終わってしまって。前の打者が打って、場面が変わった状態で回ってくると思ったのですが、展開が変わらないできてしまい、とりあえず1点でもいいから点を取ろうと思って打席に入りました。監督からは強く振れと言われたので強く振ることを心掛けて打席に入りました。

――狙い球はありましたか

狙い球はなく、体が反応できる球は全部打っていこうと臨みました。

――打った球種は

多分ライズです。

――これからご自身はどのような働きをしたいですか

最近バントなどの小技にも挑戦していて、今は出番が少ない現状ですが、強打とバントなどの小技の組み合わせで、レギュラーを取っていきたいです。

――これからの試合の意気込みを

まずはチームが勝利できることが1番で、その中で自分が勝利に貢献できるように。スタメンにしろ代打にしろ、勝利に少しでも貢献できればと思います。