今年から5月開催となった今季メジャー第2弾の全米プロ選手権(5月16日~19日/ニューヨーク州)は、ブルックス・ケプカ(29歳/アメリカ)が大会連覇を遂げた。一方、日本期待の松山英樹は、3日目終了時点で首位と8打差の6位タイまで浮上し…

 今年から5月開催となった今季メジャー第2弾の全米プロ選手権(5月16日~19日/ニューヨーク州)は、ブルックス・ケプカ(29歳/アメリカ)が大会連覇を遂げた。一方、日本期待の松山英樹は、3日目終了時点で首位と8打差の6位タイまで浮上したが、最終日に「77」と崩れて通算3オーバー、16位タイに終わった。



全米プロ選手権は16位タイに終わった松山英樹。photo by Getty Images

 舞台となったのは、全米屈指の難コースとして知られるベスページ・ステートパーク・ブラックコース(7459ヤード、パー70)。大会前、練習ラウンドを終えた松山はその難しさについて、こう語っていた。

「(距離が)長いですね。普通のPGAツアー(の試合)ではあまりない。フェアウェーも狭くて、先週(AT&Tバイロン・ネルソン選手権/トリニティフォレストGC)の3分の1ぐらいしかないですし、ここまで深いラフでプレーするのも久しぶり。

(コース攻略のカギになるのは)ティーショットとグリーン周りじゃないですか。ショットの正確性がなければ、攻略できないと思います。この狭いフェアウェーに対して、どう打っていくか。マネジメントというより、とりあえず真っ直ぐ打つ能力、曲げながらでも(ボールを)フェアウェーに置く技術が必要で、ティーショットがすごく大事になる。

 そして、やっぱりグリーン周り。ティーショットがラフに入ると、(セカンドは)レイアップというか、グリーン周りにまで持ってこられればいい、という戦いになると思うので。とにかく、ミスを少なくしていかないと、上位にいけないと思います。(自らの調子は)少しずつよくなってきているので、自分に期待する部分もありますし、不安な部分もあります」

 迎えた初日、インスタートの松山は2オーバーでハーフを終えたが、アウトで盛り返してイーブンパーの「70」。17位タイとまずまずのスタートを切った。

「スタートの10番でパーを取れて、11番でいいバーディーがきたので、流れよくいけるかなと思ったんですけど、(14番と17番の)ショートホールでボギー。そこはちょっと予想していなかった。グリーンがちょっと速かったな、と。それで、そのあともうまくパッティングが打てなくて、(アウトの1番でも)ボギーを重ねてしまった。まあ、『アンダーパーで回りたいな』というのはありましたけど、(全体的には)悪くないと思います。」

 2日目は、3バーディー、1ボギーの「68」。ふたつスコアを伸ばして、順位も10位タイへと上がった。初日に「63」、2日目も「65」と爆発的なスコアを出して、首位を独走するケプカとは10打差ながら、順位的には好位置で決勝ラウンドへ駒を進めた。

「ショットはあまりいい感触ではなかったんですけど、それでもフェアウェーをとらえていましたし、グリーンにもそこそこ乗っていたので、よかったと思います。上(トップ)とは離れていますけど、いいプレーをすれば、そこまでいくんだな、という感じ。いいショット、いいパットを打ち続けていけばチャンスはあると思うで、少しでも(トップとの差を)縮められるようにがんばりたい」

 3日目はバーディーとボギーが交互にくる展開となったが、17番、18番と連続バーディーを奪って、2日目と同じ「68」をマーク。通算4アンダーの6位タイとし、首位ケプカとの差も8打差に縮めた。

「出だしでいいバーディーが取れたんですけど、そのあとショットがバタバタして伸ばすことができませんでした。それでも、最後に2つ(スコアを)伸ばせてよかった。(この日は)グリーンも速くなってきていて、『2打目をフェアウェーから打ちたい』という欲が出てくると、それが少なからずティーショットにも影響を与えたと思う。明日は、そういうものにも惑わされないようにしたい。

 いろいろなトラブルがありながらも、ショートゲームで何とか支えていって、この内容からしたら、これ以上ないゴルフをしていると思う。そういう意味でも明日は、もうちょっと楽にスコアを伸ばせるような展開に持っていきたい。なかなか『ビッグスコアを』とは言いにくいコースですけど、少しでも伸ばしていければ……」

 悪天候となった最終日。松山のゴルフも大荒れとなった。2番で幸先よくバーディーを奪うも、3番でボギー、5番でダブルボギーを叩いて失速。結局、1日で7つスコアを落として、16位タイでのフィニッシュとなった。

「天気が荒れて(首位の)ケプカも落としてくるんじゃないかと思っていたけど、(自分も)なかなか思うようにフェアウェーをとらえることができず、その後のリカバリーもうまくいかなくて、残念な結果になった。(パー5の)4番で(バーディーが)取れなかったのは痛かったですけど、続く5番をダブルボギーにしてしまった(のも痛かった)。上との差を考えたとき、『ちょっときついな』という感じになって、その後、気持ちをうまく持っていけなかったというか、(自らの意識が)悪いほう、悪いほうに入ってしまった。

『3つ、4つ伸ばせば……』と思っていて、結果論ですけど、やっぱり3つ、4つ伸ばしていれば、いい勝負ができていた感じがするので、そういうことができなくて、すごく残念。それでも、(優勝争いに)近い場所で、まあ差はありましたけど、久しぶりにそういう雰囲気を味わうことができたので、これからもそうした位置でどんどんやっていけるようにしたい。

 また、だいぶいいショットも打ててきているので、今日は悪いほう(の気持ち)に入ってしまったけど、それをプラスに考えて、どんな状況でもいいショットを打てるようにしたら、DJ(ダスティン・ジョンソン)みたいに追い上げることもできると思う。早く状態を上げていって、いいものを出せるようにしたいですね」

 次なるメジャーは、名門ベブルビーチゴルフリンクスで開催される全米オープン(6月13日~16日/カリフォルニア州)。上り調子にある松山が、真の優勝争いに絡んでくることを期待したい。