文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦、B.LEAGUE

2018-19シーズンのBリーグ王者となり、初の連覇を果たしたアルバルク東京。今シーズンもまた、田中大貴と小島元基、東海大の先輩後輩のコンビは過酷なシーズンを戦い抜き、激戦のチャンピオンシップを勝ち上がるのに大きな役割を果たした。コートを離れれば絶妙な掛け合いで楽しませてくれる2人、昨年の優勝記念対談が大好評だったため、良き恒例とすべく、優勝を決めた数日後に直撃した。

田中大貴&小島元基、アルバルク東京をBリーグ王者へと押し上げた先輩後輩対談!

「本当にタフなシーズンだったなって思います」

──2018-19シーズンはどんな1年でしたか?

田中 昨シーズンは、ファイナルで点差をつけて優勝できましたが、それでも自分たちはまだまだ完成されていない、もっと上手くなれると思って終わりました。だからこそ、今シーズンは最初からぶっちぎって良い成績を残さないといけない思いがあった中で、なかなか上手くいかなかった。相手も自分たちを倒すためにいろいろと変えてきてやってきたりする中、それにアジャストできずに苦しんだシーズンだったと思います。

小島 勝てる展開で落とした試合も何度かありました。自分もケガとかいろいろあったりして、本当にタフなシーズンだったなって思います。

──優勝を決めた時は、純粋なうれしさか、あるいは安堵感か、どんな感情でしたか?

田中 去年はホッとした感じが強かったです。ただ、今年はうれしいというか。ホっとした感じはないですね。昨シーズンももちろんうれしかったですけど、今年は、よりうれしいです。

──タフなシーズンといえば、田中選手はレギュラーシーズン終盤にケガをするなど、シーズンを通してコンディションに苦しんでいる印象です。小島選手は、側で見ていてどのような感じでしたか?

小島 大変そうでしたよ。だって休んでないですからね。代表に行って、アジアチャンピオンズカップに行って、帰ってきてシーズンが始まって代表と掛け持ちしてもう今ですから。最後の方にハムストリングをピチっとやって、大変だろうなって。良くないとは言わないですけど。なかなか見ないミスがあったりして、珍しいということも多かったです。そういうレベルじゃないんで、心配はしなかったですけど(笑)

田中 心配されたら逆に気持ち悪いです(笑)。でも、心配してほしいぐらい安定していなかったなと思います。今シーズン振り返って良かったシーンがほとんど思い浮かばないです。思い描いている通りにならなかったシーズンだったイメージが強く、余裕はありませんでした。

──苦しんだ中でも、ファイナルではチームを優勝に導く活躍がありました。試合前にようやく間に合ったという感じはありましたか?

田中 そういう余裕すらなかったですね。でもチャンピオンシップに入ってみんがステップアップしているのを見て、なんとか自分も貢献しないといけないと。自分が中心とは言わないですけど、色々なことを任されてやっている中で、申し訳ないと感じながら、はやくどうにかしてチームを助けたい。そういう危機感しかなかったので、ファイナルもなんとか良いプレーがしたい気持ちだけでした。

──田中選手から見て、今シーズンの小島選手はどんな印象でしたか?

田中 去年優勝したっていう経験は、あまり目に見える形で表れないのかもしれないですけど、やっぱり余裕が心のどこかにあったと思います。近くで見ていても落ち着いているように感じます。それが上手くいっている時と、いっていない時はあったと思いますが、あまり精神的には不安定にならずにドンと構えている感じはありました。

「去年もファイナルの次の日にバスケしました(笑)」

──ルカ(パヴィチェヴィッチ)ヘッドコーチとの関係について教えてください。2年目になったことで、関係性がよりフレンドリーになったとか、変化はありましたか?

田中 長く一緒にやればやるほど、関係は親密になってきます。皆さんはコートの上でのルカを見ることが多いと思いますが、コートから離れればさらに素晴らしい人です。何かあったら声を掛けてくれますし、そういった意味では関係は深められていると自分は思っています。ルカはどう思っているか分かんないですけど(笑)。

──昨シーズン、小島選手はよく怒られたそうですが、そのあたりの変化はありますか?

田中 でも減ったよね? 確実に。

小島 そうですね、減ったと思います。それに僕も一緒で何かあったら話しかけてくれますし、それこそ本当にいろいろと支えられました。

──去年の取材では夢にも出てきて怒られる、という話でしたが……。

小島 今シーズンは夢に出てきてないですね(笑)。

──ポイントカードということもあり、小島選手は試合中、ヘッドコーチから面と向かって強い口調で何か言われている時を見かけますが、たびたび目線を合わせない気がします。あれは意図的なものですか?

田中 慣れてきているんです。昨シーズンにやっている分で、横柄になってきています(笑)。

小島 もちろん、しっかりと聞いていますよ。ただ、全部を正面から受け止めるとこっちが疲れてしまうので。ちゃんと聞きながらうまい具合にコントロールしています。

──田中選手は、代表活動まで束の間のオフになりますが、今は何をやりたいですか?

田中 ゆっくりしたいですね。できれば旅行とか行きたいです。まあ行くんですけど(笑)。優勝した後のスケジュールがどうなるのかは、去年の経験があるので分かります。どこか違うところで、少しのんびりしたいですね。

──小島選手は、ファイナルの翌日からバスケをしていたそうですね。

小島 岡本飛竜に誘われたんです。あいつに誘われたから、流されて行く感じですね。

田中 でも、これファイナルで逆に負けていたら、たぶんやってないと思うんですよ。

小島 そりゃそうです。去年もファイナルの次の日にバスケしました(笑)。

田中 勝ったからこそのそういう何かが、あるんじゃないですかね(笑)。

──例えばルカは「私はいくら勝っても常にハングリーだ」というふうに言っています。大学時代を含めて、たくさんの勝利を経験していますが、それでも勝ちへの飢えがなくなることはありませんか?

田中 勝ち足りないとはあまり思わないです。ただ、去年優勝したことで、今年に負けることがすごく嫌になる。今年も勝たないと去年の優勝が忘れ去られる気がします。それが嫌ですね。

小島 僕も別に勝ち足りないとかは思わないです。勝負事は負ければ悔しいので、とりあえず勝ちたい。そこが楽しいです。

「もう少しボールもらいに来いよ」「いやいやいや」

──シーズンを振り返ってみて小島選手が『ここが一番成長できた』と感じているところは?

小島 なんだろう、難しいですね。総合的にレベルアップできたと思います。

田中 肉の焼き方じゃないですか(笑)。

小島 カルビなんかを焼く時間とかはこう……。

田中 結構、こちらもお金を落としているので、やっぱりそのところで焼き慣れている感では成長したなと思いますよ(笑)。何も言わなくても俺が食べたいものを察知して、勝手に注文してスムーズにやってくれます。焼肉の焼き方が一番成長したと書いてください(笑)。

──小島選手、その自覚はありますか?

小島 焼肉を焼くのは上手です。大事なのはミディアムレアです(笑)。ホント、技術もメンタルも総合的にレベルアップした感じはあります。

──そのあたり小島選手は去年に比べても諸先輩方にも司令塔として物応じせずに指示できるようになったのか、そういう変化はありますか?

小島 プレーのコールはしますけど、あれこれをやってほしいとは言わないですね。だってもう、コールしたプレーをしっかりできる人たちの集まりですから。

──もう少し、こういうふうに動いてほしいとかいうことも感じることはなく?

小島 時々、もう少しボールもらいに来いよと思うときはあります。

田中 いやいやいやいや(笑)。

──去年に続き小島選手が田中選手を、田中選手が小島選手を10点満点で評価してほしいです。小島選手から見て、今年の田中選手はどうですか?去年は3点でした。

小島 1点ですね。全然ダメです。もっとやれるというか、すごい活躍ができると思います。あんま上手くいっていなかったシーズンと言っていたので、それも含めて1点ですね。

──田中選手から見た今シーズンの小島選手は? 去年は10点でした。

田中 去年のあれがありますし、今年はそれを踏まえて2点ですかね(笑)。お互いね、チャンピオンシップに入ってからも酷かったですし、シーズン中もやっぱりケガをして本当に抜けている2人なので。今年は自己採点で1点だと思います。自分の1点に比べて2点というのは、プライベートもそうですけど色々あって精神的にも落ちていてそのままズルズルいってもおかしくない。その中でもチームに戻ってきて、自分ができることをしっかりやってくれたのは、やっぱり精神的に強いなと思います。そういうところの1点をプラスして2点です。