開幕戦、東海大に惜しくも敗れた早大は本拠地である早大上井草グラウンドで2戦目を迎えた。相手は慶大を下した流通経大。強力なフィジカルを有するチームのため、今試合の要もFW陣になることが予想された。前半、キックでエリアを取り敵陣まで攻め込むと…

 開幕戦、東海大に惜しくも敗れた早大は本拠地である早大上井草グラウンドで2戦目を迎えた。相手は慶大を下した流通経大。強力なフィジカルを有するチームのため、今試合の要もFW陣になることが予想された。前半、キックでエリアを取り敵陣まで攻め込むと、早々にWTB桑山淳生(スポ4=鹿児島実)が先制トライ。ここからさらに得点を重ね、27-10で試合を折り返す。後半も流れを渡さず、開始15分で3連続トライを挙げ流通経大を突き放すと、さらにセットプレーも安定したことも加わり、終始早大ペースのまま51-24と快勝した。


スクラムでは奮闘を見せたフロントロー

 流通経大のキックオフで始まった前半、先に動いたのは早大だった。9分、相手ペナルティーから敵陣ゴール前まで攻め込むと、SO岸岡智樹(教4=大阪・東海大仰星)からのロングパスを桑山が受け取り、そのままインゴールに飛び込み先制点を奪う。続く15分にはCTB中野将伍(スポ4=福岡・東筑)のゲインにCTB長田智希(スポ2=大阪・東海大仰星)がサポート。最後はNO・8丸尾崇真(文構3=東京・早実)にパスでつなぐかたちで追加点を挙げた。さらに直後、FWの絶妙なパス回しによって抜け出したロック中山匠(教4=東京・成城学園)の大幅なゲインに丸尾が合わせ、ラストはFB河瀬諒介(スポ2=大阪・東海大仰星)が左隅にグラウンディング。これらの3連続トライで主導権をにぎる。フランカー幸重天副将(文構4=大分舞鶴)が「前半1回押されてその後に修正することができた」と語ったように、前回課題であったスクラムではペナルティーを勝ち取るなど、セットプレーの安定も加わった。そのためかミスから自陣ゴール前まで攻め込まれ、24分と前半終了間際に失点しながらも終始流れを渡すことなく、27-10で前半を終える。


この日もトライゲッターとして活躍したWTB梅津友喜(スポ4=岩手・黒沢尻北)

 後半開始直後、トライとはならなかったものの、BK陣が積極的なアタックで好機を演出する。すると、4分には相手陣ゴール前で丸尾が抜け出し、梅津がトライ。さらに9分、河瀬から桑山がパスを受け右展開し、余ったスペースに飛び込み追加点を挙げた。果敢なアタックとスクラムでまたもペナルティーを獲得するなどボールポゼッションをほぼ早大で占める試合展開に。14分、流通経大がシンビンで認定トライとなり、さらに相手を突き放した。19分にパスミスからボールを奪われて失点し流れが悪くなるかと思われたが、ボールポゼッションは変わらず、少しも主導権を譲ることがないまま試合は進む。27分に河瀬がライン際で大幅にゲインすると、岸岡がギャップを見つけ抜け出しゴール前へ。ラストはプロップ阿部対我(社2=東京・早実)が持ち前のフィジカルでねじ込みダメ押しのトライを挙げる。30分以降、勝利態勢を整えた早大は大幅にメンバーチェンジ。スタミナ万全の選手たちで試合の抑え込みを図る。その後ペナルティーから1トライを献上したが、ほぼ相手にアタックをさせない試合内容となった。そのまま試合終了まで抑え切り、ノーサイド。関東大学春季大会2戦目を勝利で収めた。

 今回の一戦は、SH齋藤直人主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が抜け、代わりにSH河村 謙尚(社2=大阪・常翔学園)が入るかたちとなったが、「試合ごとにレベルアップしているのでいいムードだ」と河村謙が語ったように完全に早大優勢の試合展開に。また、U20日本代表のメンバーが随所で圧巻の活躍を見せ、これからに期待が膨らむ試合内容だった。しかし、様々な部分で改善が見られたせいか、さらに失点が目立つ結果でもあった。4トライ全てが早大のペナルティーからトライを献上してしまっていたからだ。今後も強豪校と当たる中、この部分の修正は必須となってくるだろう。今試合のテーマでもあった『discipline』をさらに極め、今後どのようなラグビーを早大が見せてくれるか、楽しみだ。

(記事 千葉洋介 写真 馬塲貴美子、安岡菜月、山本小晴)


※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

フランカー幸重天副将(文構4=大分舞鶴)

――今回チームで意識していたことは何でしょうか

 前回の試合やっぱりペナルティーとミスのところで、自分たちのやりたいことができませんでした。今週『discipline』というところを意識してやっていました。

――意識していた部分はいかがでしたか

少しペナルティーはあったのですが、前回よりは修正することができたと思います。チームのやるべきことという意味ではできてるとこ、できていないとこありましたけど、やろうとする姿勢の部分は見えたので。それが勝利につながったのかと思います。

――ディフェンスについて振り返っていただけますか

少々FWの圧力のところ、ゴール前のところで粘り切れなかったということと。完璧にゲインされることはなかったですが、徐々に後半受けていたなという印象はありますね。

――ゴール前のラインアウトモールのディフェンスについて振り返っていただけますか

早稲田は敵チームとやると体が大きくないのでどうしてもモールを仕掛けられるので、粘りきれないと今後勝ち切ることができないと思うので。何が原因なのか練習して見つけていきたいなと思います。

――前回よりもスクラムは改善されたように感じましたが、いかがでしょうか

そうですね。相手との兼ね合いもあると思いますが、よかったなと思う点が1つあります。それは、前半1回押されてその後に修正することができたということがチームとしての収穫なのかなと思います。

――今季は昨季よりもFW間でのパスを多用する場面が多く見られますが、どのような意図でしょうか

そうですね。ハンドリングの練習もしていますし、昨季はFW間でのパスが少なくて、(相手ディフェンスに)狙いを定められていたことがありました。そのため、パスを増やしていこうとチームの中でチャレンジしています。いい成果は出ているんじゃないかなと思います。

――そのパスの精度についてはどのように捉えていますか

前向きなミスならばいいかなと思いますが、コミュニケーションしてなくミスをするのは問題です。ですが、チャレンジする中でのミスは前向きに捉えて改善していけばいいかなと思います。

――チームとしての春シーズンの目標は「チャレンジしていく」ということになるのでしょうか

そうですね。戦術面でも少し変わったことがありますし、チャレンジしていく中でやっぱり勝つことを忘れてはいけない。負けに慣れてはいけないと思うので、そこは意識していきたいです。

――次戦への意気込みをお願いします

慶応は昨季2回とも勝ちましたけど、ギリギリの勝利でした。また、伝統の一戦なので、相手も気合いを入れて臨んでくると思います。僕らとしては慶応には絶対に負けてはいけないので。まず、気持ちの面で圧倒できるようにしていきたいと思います。

SH河村謙尚(社2=大阪・常翔学園)

――初のAチームでのスタメンでしたが、どのような気持ちで臨まれましたか

 少し緊張はしていたのですが、いつもと変わらず自分のプレーをすることを心掛けていました。

――特に意識していたことはありましたか

 テンポを1番意識してやろうと思っていましたが、少しできなかった部分もありました。そこは反省点です。

――相手のプレッシャーは感じましたか

 感じましたね。でも自分が出していかないとダメなので、どんどんいこうとしました。自分のミスで相手にボールを渡してしまったり、パスの精度とかで足りていない部分があったのでそこをもっと練習してミスなくプレーできるような選手になりたいです。

――チーム状態はいかがですか

 チームの雰囲気は良くて、試合ごとにレベルアップしているのはすごく実感しているのでいいムードだと思っています。

――今後の意気込みをお願いします

 個人としては、自分のプレーのミスがあったのでそういうところをなくして、僕が勝負するのは齋藤直人主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)なのですが、越えていけるように頑張ります。チームとしては、目標は絶対に日本一なので、そこをぶらさず日々レベルアップしていいムードで達成していきたいです。

CTB長田智希(スポ2=大阪・東海大仰星)

――今試合のチームの課題は何でしたか

前回の試合と同じテーマである『discipline』。規律の部分でペナルティーをしないってことだったりがテーマとしてありました。前回よりは修正出来たんですけどそこが課題ですかね。

――前半のNO・8丸尾崇真(文構3=東京・早実)選手のトライにつなげるサポートをされましたが、その場面を振り返っていただけますか

 サポートいったところでもらって外にスペースあって放ったって感じです(笑)。サポートのところを最近意識して、誰かがゲインしたところでそこに反応してもらうっていうことをやっているので、そこでいい感じにもらえてつなげれたかなと。

――その部分いつから意識するようになりましたか

U20日本代表で海外との差をそこで1番感じて、一つ一つの反応スピードですとか、そこが課題だなと自分でも感じたので、そこを意識してやろうと思ってきょうの試合もやりました。

――流通経大のフィジカルはどうでしたか

 早大全体としては上手くボールも運べていい感じに出れてて、フィジカルの一対一の部分では個人としても課題かなと感じますね。ディフェンスよりもアタックで、正面で当たった時に中々ゲインできなかったので。CTBというポジションなので一対一は課題かなって感じました。

――相手のディフェンスのプレッシャーはどうでしたか

出てきてるってことに対するアタックの修正、ボールの運び方も出来てたので対処は出来てたかなと思います。

――春シーズンでの目標はなんですか

春シーズンは参加できる試合が少ないので、個人としてもCTB、WTBどっちでやっていくかまだわからないんですけど、周りを生かしながらディフェンスのところでハードワークしてタックルとかでチームに貢献出来たらと思います。

関東大学春季大会
早大スコア流通経大
前半後半得点前半後半
27241014
51合計24
【得点】▽トライ 梅津2、桑山2、丸尾2、阿部、河瀬 ▽ゴール 梅津(2G)

   

 
     

早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
久保 優スポ3福岡・筑紫
後半31分交代→16横山太
森島 大智教4東京・早実
後半31分交代→17中野幸
阿部 対我社2東京・早実
後半31分交代→18土田
中山 匠教4東京・成城学園
大崎 哲徳文構2東京・国学院久我山
後半32分交代→20沖野
柴田 徹社4神奈川・桐蔭学園
後半16分交代→19星谷
◎幸重 天文構4大分舞鶴
丸尾 崇真文構3東京・早実
河村 謙尚社2大阪・常翔学園
後半39分交代→21藤浪
10岸岡 智樹教4大阪・東海大仰星
11梅津 友喜スポ4岩手・黒沢尻北
12中野 将伍スポ4福岡・東筑
後半29分交代→22中西
13長田 智希スポ2大阪・東海大仰星
14桑山 淳生スポ4鹿児島実
後半34分交代→23南
15河瀬 諒介スポ2大阪・東海大仰星
リザーブ
16横山 太一スポ2東京・国学院久我山
17中野 幸英文構4東京・本郷
18土田 彬洋スポ3茨城・茗溪学園
19星谷 俊輔スポ3東京・国学院久我山
20沖野 玄商4北海道・函館ラサール
21藤浪 魁基理4東京・本郷
22中西 亮太朗商2東京・早実
23南 徹哉文3福岡・修猷館
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)
関東大学春季大会Aグループ星取表
帝京大早大慶大東海大大東大流経大
帝京大6/16 13:00帝京大G◯42-205/26 13:00山梨・中銀スタ◯60-7◯50-19
早大6/16 13:00帝京大G5/26 12:30長野U●38-406/2 13:00熊谷◯51-24
慶大●20ー425/26 12:30長野U6/16 13:00東海大G6/9 13:00慶大G●12-38
東海大5/26 13:00山梨・中銀スタ◯40-366/16 13:00東海大G◯33-296/9 13:00東海大G
大東大●7-606/2 13:00熊谷6/9 13:00慶大G●29-336/16 13:00大東大G
流経大●19-50●24-51◯38-126/9 13:00東海大G6/16 13:00大東大G

※熊谷は埼玉・熊谷ラグビー場、帝京大Gは東京・帝京大学百草園グラウンド、山梨・中銀スタは山梨県小瀬スポーツ公園、慶大Gは神奈川・慶大日吉グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、長野Uは南長野運動公園総合球技場、東海大Gは神奈川・東海大湘南グラウンド、大東大Gは埼玉・大東大東松山グラウンド、茨城・流経大Gは龍ヶ崎グラウンド

 ■順位決定方法
①順位の決定に当たり、勝ち点制を採用し、全試合終了時点で、勝ち点の多い順に順位決定を行う。
②勝ち5点、負け0点、引き分け2点とする。
③またボーナス点として、以下の勝ち点を与える。
 1)勝敗に関係なく、4トライ以上獲得したチームに、勝ち点1を追加
 2)負けても7点差以内ならば、勝ち点1を追加
④全試合終了時点で勝ち点が同じ場合、次の各号により順位を決定する。
 但し、3チーム以上が並び、各号において2チームが並んだ場合は、並んだ2チームについてそれぞれ次号により決定する。
 1)全試合の得失点差の多いチーム
 2)全試合でのトライ数が多いチーム
 3)全試合でのコンバージョンゴール数の多いチーム
 4)当該チームでの抽選