頼もしい男が帰ってきた。2位・日本ハムと4ゲーム差。3連覇に向けて、正念場を迎えているソフトバンクに、勢いをもたらすリードオフマンが戻ってきた。■復帰後、1番起用で5試合連続安打を放っている明石 頼もしい男が帰ってきた。2位・日本ハムと4ゲ…

頼もしい男が帰ってきた。2位・日本ハムと4ゲーム差。3連覇に向けて、正念場を迎えているソフトバンクに、勢いをもたらすリードオフマンが戻ってきた。

■復帰後、1番起用で5試合連続安打を放っている明石

 頼もしい男が帰ってきた。2位・日本ハムと4ゲーム差。3連覇に向けて、正念場を迎えているソフトバンクに、勢いをもたらすリードオフマンが戻ってきた。

 明石健志、30歳。1軍に復帰した7月29日の日本ハム戦(札幌D)。2位との直接対決第1ラウンドで、昇格即「1番・二塁」で先発すると、いきなりチームに勝利をもたらした。

 1点ビハインドで迎えた6回。先頭で打席に入ると、日本ハム先発の有原航平から中堅右を抜く三塁打を放ってチャンスを創出。柳田悠岐の左中間を破る二塁打で同点となるホームを踏むと、その後チームは松田の勝ち越し犠飛、長谷川の右前適時打が出て、一挙3得点。明石の一打を皮切りに一気の逆転に成功した。

 9回にも中前打を放って、6点目を生みだし、2安打2打点。この試合まで今季4戦3敗、4点しか奪えていなかった難敵の有原に初めて黒星をつけた。攻略の糸口をつかませたのは、紛れもなく、この日1軍に加わったばかりの背番号36だった。

■約4か月のファーム暮らし

 昨季はキャリア2番目となる115試合に出場した。一塁、二塁を守れ、パンチ力もあれば、小技も利く。1、2番の上位も打てれば、下位打線に置いてポイントゲッターにもなれる。打順は問わない。工藤ホークスの中でもユーティリティー性を買われている1人である。

 今季、3月25日の楽天との開幕戦(コボスタ)では5番で先発出場。ところが、開幕3連戦を終えた3月28日、春季キャンプ中にもあった右肩の痛みを訴え、出場選手登録を抹消された。そこから、約4か月のファーム暮らしが続いた。苦しいリハビリを経て、4月下旬に一度は実戦復帰したが、すぐ離脱。再びの実戦復帰を目前に控えた5月末にも痛みが再発し、リハビリ生活に逆戻りした。患部は一進一退のもどかしい状況が続いた。

 7月11日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)で再度の実戦復帰を果たし、20日には二塁の守備を解禁。打撃面は好調を続けていたこともあり、直接対決のタイミングで、満を持しての1軍復帰だった。4か月に渡るファーム暮らし。炎天下の中で実戦を積んできたことで、真っ黒に日焼けした姿は、1軍選手の中で異彩を放った。

 復帰2戦目となった同30日の同戦では4打数3安打1打点とし、続く同31日、そして、相手を西武に変えた8月2日の西武戦(西武プリ)でも1安打。

■8月は週末に上位2球団との3連戦が4カード続く

 同3日の西武戦では初回に左中間を破る二塁打を放って先制点のおぜん立てをすると、4回2死二、三塁では勝ち越しの中前2点適時打。復帰後5試合すべてで1番に座って5戦連続安打、24打数9安打、打率3割7分5厘、5得点、3打点と打ちまくっている。

 今季のソフトバンクの1番は、今宮健太が最多の32試合で起用。福田秀平、城所龍磨、本多雄一、中村晃なども務め、不振脱却のために松田宣浩も7試合で1番に入った。

 工藤公康監督の考え方としては、1、2番は特定の選手に固定しない。だが、今宮が一時期の好調から状態を落とし、本多は右腰の張りで登録を抹消されている。松田、中村晃は5、6番の中軸に座るのが本来の形であることを考えれば、現状で1番の最適任者は明石になる。

 8月は週末に日本ハム、ロッテ、日本ハム、ロッテと上位2球団との3連戦が4カード続く。3連覇に向けて、重要な意味を持つ真夏の戦い。明石の働きが、ソフトバンクの浮沈の鍵を握っている。