最終節までもつれ込んだブンデスリーガの優勝争いは、首位バイエルンがフランクフルトを5-1で下したことで、自力で7連…

 最終節までもつれ込んだブンデスリーガの優勝争いは、首位バイエルンがフランクフルトを5-1で下したことで、自力で7連覇を達成した。シーズン序盤に独走したものの、後半戦に入って失速した2位ドルトムントは、勝ち点差2で追いすがったが、逆転はならなかった。バイエルンにとっては、2005年にアリアンツ・アレーナを使用するようになってから、初めてのホームでのリーグ優勝決定だった。

 この試合は、フランクフルトにとって来季のチャンピオンズリーグ(CL)もしくはヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得がかかる重要な試合だった。前節終了時点で、CL出場権が得られる4位はボルシアMGで勝ち点55。フランクフルトは勝ち点54の5位で、このままの順位ならEL出場権を得られるが、6位以下のチームも僅差で迫っていた。また、バイエルンに勝てばCL出場権を獲得できる可能性もあるが、敗れればEL予選の出場権を逃す可能性もあった。

 結果的にフランクフルトは敗れて順位を7位に下げたものの、ライバルのホッフェンハイムも敗れたため、EL予選2回戦からの出場権を獲得した(EL出場権が与えられるのはブンデスリーガ5、6位とドイツ杯優勝チームの3チーム。ただしドイツ杯の決勝に進出したバイエルンとライプツィヒはすでにCL出場権を得ているため、7位のチームに出場権が与えられた)。

 フランクフルトは先週、ELの準決勝でチェルシーに敗れている。今季の目標はリーグ戦ではCL出場権獲得を得られる4位以上であり、ELでは本気で優勝を狙っていた。



今季をバイエルン戦フル出場で締めくくった長谷部誠(フランクフルト)

「ふたつに挑戦したことへのご褒美かな」

 試合には敗れたものの、もたらされたEL予選の出場権を、長谷部誠はそう表現した。

 フランクフルトは、つい3シーズン前には2部との入れ替え戦に出場していた。その後、ニコ・コバチ(現バイエルン監督)が立て直して、昨季はドイツ杯で優勝したが、けっして豊富な戦力を抱えているチームではなく、欧州戦の常連でもない。

「よく”二兎を追うものは一兎も得ず”と言うけれど、自分たちのなかでは、チャンピオンズリーグ(出場権獲得)もヨーロッパリーグ(優勝)も、両方追っていた。そのふたつを両方とも取ることはできなかった。だけどその二兎を追わないと、やっぱり感じられなかったことがあるんです」

 長谷部は今季の自分たちの戦いを振り返った。

「なかなか(そのふたつを)追えるチームというのはないし、自分たちみたいなチームが、これだけの選手層でそういうことにチャレンジした意味というのは、やはり考えなきゃいけない。そういう意味で、最後の7位でヨーロッパリーグ予選からというのは、それに挑戦したご褒美かなと感じます」

 EL準決勝でチェルシーに敗れた直後、長谷部は「チェルシーのほうが確実にいいチーム」と認めた。だが、そのチェルシーとの第2戦は、120分間で決着がつかずPK戦にまで持ち込む接戦となった。「自分たちにもできる」という大きな自信になったし、同時に、ビッグクラブでないからこその課題も感じた。

「(選手を)ローテーションするだけのクオリティ(選手層)が、正直、なかったっていうのは感じました。ELに関しては、スタジアムの雰囲気とかもあって、いいゲームができていたんですけど、そこにかけるパワーが強すぎて、リーグ戦になると少し、なんかこうパワーが出てこないというか……。そこはたぶん、自分たちの経験不足というか、ヨーロッパの舞台に常に立っているクラブ、選手たちには、おそらく何かがあるんでしょうね。それを今回、自分たちが戦ってみて肌で感じた部分があります。自分たちは、両方を戦い抜くクオリティがまだなかったのかなという感じはあります」
 
 長谷部個人としても、今季はめざましい活躍を見せた。リーグ戦では28試合にフル出場。出場しなかったのは、序盤のメンバーが流動的だった時期と、12月にケガをした直後だけだった。アドルフ・ヒュッター監督が、名前を挙げて長谷部を称えることもあった。

「個人的にも非常に充実したシーズンでした。ふたつの大きな目標を追いかけながら、前半戦の最後の1週間をケガで休んだだけで、ほぼフルで駆け抜けて、感じるものはすごく大きかった。満足まではしてないですけど、実りあるものでした」

 2018-19シーズン、欧州でプレーする日本人選手のなかで最も活躍したのは長谷部。そう言い切っても異論はないはずだ。

 この日の試合は、アリエン・ロッベン、フランク・リベリー、ラフィーニャの3人にとって、バイエルンでの最終戦でもあった。リベリーとロッベンは、大歓声に送り出されるように後半途中から出場し、1点ずつゴールを決めた。優勝に歓喜し、ロッベンはコバチ監督の真後ろからビールをかけるいたずらをし、リベリーはテレビのインタビューを受けながら涙を流していた。王者バイエルンを支えてきた2人とチームとの、華やかな時間だった。

 

 まだ先になるだろうが、長谷部はフランクフルトでどんな風に送られるのだろうか。そんなことにも思いを馳せる光景だった。