19日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第2戦は大分県のオートポリスで予選&決勝を行ない、インパルの関口雄飛が16番グリッド発進からの“圧勝劇”を演じた。2位は山本尚貴、3位には大嶋和也が入っている。日曜日も朝は雨。前日から…

19日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第2戦は大分県のオートポリスで予選&決勝を行ない、インパルの関口雄飛が16番グリッド発進からの“圧勝劇”を演じた。2位は山本尚貴、3位には大嶋和也が入っている。

日曜日も朝は雨。前日から順延される格好で“1段階式”となった公式予選は8時45分から当初予定40分間で始まった(途中で5分延長)。しかしヘビーウエットといえる路面状態で視界も前走車が上げる水煙に遮られる厳しいコンディションのなか、赤旗中断となるアクシデントが連発してしまう。多くの選手がまともにはアタックできずに終わったといってもいい展開だった。

ポールポジションを獲得したのは2016年チャンピオンの#4 国本雄資(KONDO RACING/トヨタ)。予選2位には新人の#39 坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)が入り、3位にも参戦2年目でフル参戦は今季が初となる#5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)と若手が続く。

決勝が始まる午後2時には空が明るくなる。スタート後も軽くパラつく程度の降水は断続的にあったようだが、路面は確実にドライ化していっており、グリッドに着いた19台のマシンはドライ用タイヤでスタートに臨む(20台参戦だが、1台は予選のクラッシュで修復のために3周ほど遅れてピットスタート)。スタートタイヤにはミディアムを選んだマシンが多かった。いずれにせよ、レインタイヤの出番がない限り、レース中にミディアムとソフトの両方を使う義務=タイヤ交換義務が生じる。

1周を終えるところで、何台かのマシンがピットへ。ここでタイヤ交換義務を済ませ、燃費的にはその後にセーフティカー(SC)導入によるペースダウン(燃費良化)があることも期待しつつの作戦である(ここでの給油の有無に関わらず、スタート時満タンが前提)。17番グリッド発進の#1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)、11番グリッド発進の#8 大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)らがここでピットインした。

そして翌2周目、#15 D.ティクトゥム(TEAM MUGEN/ホンダ)がコース途中でストップしたためにSC導入となる。この周の終わりにも多くのマシンがピットへ。SC先導の隊列スロー走行は7周終了時まで続き、この段階ではまだピットに入っていないマシンがトップ3を占める。そのなかにいたのが、16番グリッド発進だった#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)だ。

#19 関口は、ピット作業人数規定に基づきタイヤ交換と給油を同時に行なった場合に必然的にかかる秒数分を給油する前提で、簡潔にいえば多くのライバルよりは燃料軽めでスタートしていた。SC明け後はなるべく早めにトップに出て、そこから飛ばしに飛ばし、ピットインしてもその座を守れるだけのリードを築くことが彼の勝利への道ということになった(ちなみに彼のヘルメットには「人と違う道を行け」の文字が)。

SCがコースから外れレースがリスタートすると、#19 関口は13周目に#4 国本をパスして首位に浮上。そして#19 関口は速かった。燃料軽めな分を考慮しても、陣営首脳のひとりが「速かったね」とレース後に振り返ったほどである。54周レースの40周目にピットインした#19 関口は実質のトップでコースに戻り、最終的な2位との差こそ3.6秒とはいえ、内容面とレース途中までの見た目的にはぶっちぎりの圧勝と評してもいいかたちで今季初優勝を飾った。

「朝の予選はほとんどアタックできない状況で終わってしまい、タイム的には19番手、他車のタイム抹消があって16番グリッドだったんですけど、とにかく絶対にあきらめない、優勝してやるという気持ちでした」とレース後の関口。「もちろん毎回勝ちに来ていますけど、今回は特にその思いが強かったです」とも。

なぜなら「開幕戦の鈴鹿では速さはあったけど結果が出なかった。全7戦のチャンピオンシップで2戦落とすと大きすぎる。今回勝たないとあとがない、と思っていましたから」。今年で参戦4年目、これでデビュー年からの毎年1勝以上を継続した関口。今年こそはチャンピオンの座をつかもうという強い意志が現出したような勝利だった。

関口がSFデビュー時から所属するインパルを率いるのは、元祖日本一速い男、星野一義監督。“闘将”は「今日は(グリッドが後方でもあり)勝ちを意識するというよりは『インパルらしく思い切り行け』という感じでしたね。ドライバー(の力)に尽きると思います」と、関口をベタ褒めした。印象的な勝利が多いインパル&関口の熱戦譜に、また新たな一章が書き加えられている。

2位は#1 山本、3位には#8 大嶋が続いた。表彰台の面々はいずれもフタ桁グリッドから発進した選手たちである。もちろん展開の後押しはそれぞれにあったと思うが、失地回復のための思い切った判断と、それを活かせる走りとマシンの決まり具合が彼らを表彰台へと導いた。

4位は今季新人で、開幕戦のポールシッターだった#65 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)。彼は関口と同じく序盤にピットインしなかった組で、ウイナーにこそ離されはしたが、関口のピットイン後はコース上のトップも走り、最終的に4位と結果もまとめて見せた。5位は#5 福住、6位は#64 A.パロウ(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)と、今季が初のフル参戦となる面々が占めている。7位は#3 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)。

ポール発進の#4 国本も序盤ピットインしない組だったわけだが、彼は最終結果16位。2番グリッド発進の#39 坪井(こちらは序盤ピットした組)は12位。開幕戦優勝の#37 N.キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)は8位で1ポイントを獲得したが、シリーズリーダーの座は連続2位の#1 山本に明け渡すこととなっている。目下首位の#1 山本が16点、これを#37 キャシディが11点、#19関口が10点で追う形勢だ(手元計算)。

今回は天候に振り回されたやむを得ない面もあったとはいえ、いろいろとレース運営上の問題点も噴出した印象で、トップ3会見でも選手から「批判ではないですけど」という前置きがあったうえで、今後に向けて傾聴に価する意見が聞かれるなどしている。この点は今後、関係者が鋭意改善していくべきところだろう。コース上の熱戦に頼っていてはいけない。

次戦第3戦は6月22~23日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催される。関口も言うように全7戦とラウンド数が多くはないシリーズだけに、そろそろタイトル争いの主導権を握る存在が確立されてくる可能性もありそうで、やはり重要な一戦となる。

優勝した#19 関口。《撮影 遠藤俊幸》

優勝した#19 関口。《撮影 遠藤俊幸》

優勝した#19 関口。《撮影 遠藤俊幸》

優勝した#19 関口。《撮影 遠藤俊幸》

決勝2位の#1 山本。《撮影 遠藤俊幸》

決勝2位の#1 山本。《撮影 遠藤俊幸》

決勝3位の#8 大嶋。《撮影 遠藤俊幸》

決勝3位の#8 大嶋。《撮影 遠藤俊幸》

左から優勝の星野一義インパル監督、2位の山本、優勝の関口、3位の大嶋。《撮影 遠藤俊幸》

左から優勝の星野一義インパル監督、2位の山本、優勝の関口、3位の大嶋。《撮影 遠藤俊幸》

インパル陣営は予選では不運だったが、決勝で#19 関口が見事に失地回復。《撮影 遠藤俊幸》

インパル陣営は予選では不運だったが、決勝で#19 関口が見事に失地回復。《撮影 遠藤俊幸》

決勝4位の#65 牧野。《撮影 遠藤俊幸》

決勝4位の#65 牧野。《撮影 遠藤俊幸》

決勝5位の#5 福住。《撮影 遠藤俊幸》

決勝5位の#5 福住。《撮影 遠藤俊幸》

決勝6位の#64 パロウ。《撮影 遠藤俊幸》

決勝6位の#64 パロウ。《撮影 遠藤俊幸》

ポールポジションを獲得したのは#4 国本だった(決勝16位)。《撮影 遠藤俊幸》

ポールポジションを獲得したのは#4 国本だった(決勝16位)。《撮影 遠藤俊幸》

昨年は決勝中止だった九州オートポリス戦、今年は実質ワンデーでの開催となった。次戦は東北のスポーツランドSUGOが舞台。《撮影 遠藤俊幸》

昨年は決勝中止だった九州オートポリス戦、今年は実質ワンデーでの開催となった。次戦は東北のスポーツランドSUGOが舞台。《撮影 遠藤俊幸》