そんなに悲観しなくてもいいのではないか。 東京五輪金メダルを目標に掲げる、陸上4×100メートルリレーの日本男子チーム。来年の本番へ試金石となるはずだった11日の陸上・世界リレー大会(日産スタジアム)で、まさかの予選落ちを喫した。上位1…

  そんなに悲観しなくてもいいのではないか。

 東京五輪金メダルを目標に掲げる、陸上4×100メートルリレーの日本男子チーム。来年の本番へ試金石となるはずだった11日の陸上・世界リレー大会(日産スタジアム)で、まさかの予選落ちを喫した。上位10チームに与えられるドーハ世界選手権(9~10月)の出場権獲得を逃した。


 予選3組に登場した日本のメンバーは多田修平(22)、山県(やまがた)亮太(26)、小池祐貴(23)、桐生祥秀(23)。3走・小池から受けようとしたバトンを4走・桐生がつかめない。宙に浮いたバトンをお手玉してなんとかキャッチして走りだし、大幅にタイムロスしたものの3着で入線。だが「バトンが手渡しされなかった」ことからレース後に失格となった。

 メディアは、こぞってミスをクローズアップし、原因を追究。五輪への課題、不安を指摘した。確かに、バトンパスは日本のお家芸。生命線ともいえるバトンでの失敗は致命傷だけに、選手スタッフは集中攻撃を受ける形となった。

 3走・小池「バトンに不安はなかったので想定外という感じです」

 4走・桐生「緩みがあった。集中しないとミスするんだと改めて感じた」

 日本代表・土江寛裕ヘッドコーチ「長い間、失敗がなかったのは奇跡に近い。リレーにミスは起こり得る。大きな財産になる」

 レースの内容はどうたったか。米国、中国が入り「死の組」といわれた予選グループで、桐生がバトンを受けるまで、日本が後続に差をつけて独走していた部分は見逃せない。今大会は、故障でケンブリッジ飛鳥、飯塚翔太が不在。代役として、コーナーのうまい18年アジア大会200メートル金メダリストの小池が抜てきされた。連係不足が響いてミスしたが、アンカー桐生が普通にゴールを駆け抜けていれば、主力不在でも圧勝していただろう。

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 東京五輪で金メダルを目指すには、個々の走力向上、そしてバックアップメンバーの底上げが課題になる。くしくも同日、米国で行われた大学選手権で、サニブラウン・ハキームが100メートルで9秒99をマーク(追い風1.8メートル)。桐生の9秒98に次ぎ、2人目の9秒台ランナー誕生に日本中が沸いた。山県も10秒00の持ちタイムで、いつ大台を突破しても不思議ではない地力をつけている。

 「これでビビらず、攻めるバトンをやっていきたい」と桐生。今大会の失敗でネジを締め直し、バトンパスに関しては徹底的に練習して精度を上げていくだろう。個人の100メートルではかなわないジャマイカや米国を相手に、技術で勝負ができるのがリレーの醍醐味。もともと勝てなくて当たり前と思えば、1度のミスで下を向くより、ベストのオーダーを組んだ時のニュージャパンへの期待の方がはるかに大きい。

◆リレーの東京五輪への道
 出場枠は16チーム。今秋のドーハ世界選手権の決勝進出8チームに出場権が与えられる。残り8チームは規定の期間に出したタイム順で選ばれる。ドーハ世界選手権への出場権は、今大会上位10チーム以外は、記録ランキングの上位6チームに与えられる。

◆近年の世界大会の成績と決勝オーダー
・16年リオ五輪(銀メダル)37秒60=日本新
1走・山県
2走・飯塚
3走・桐生
4走・ケンブリッジ

・17年ロンドン世界選手権(銅メダル)38秒21
1走・多田
2走・飯塚
3走・桐生
4走・藤光謙司

・18年アジア大会(金メダル)38秒16
1走・山県
2走・多田
3走・桐生
4走・ケンブリッジ

※世界記録
ジャマイカ36秒84(12年ロンドン五輪)

◆100メートル日本歴代10傑
①9秒98  桐生祥秀 17年9月9日
②9秒99  サニブラウン 19年5月11日
③10秒00  山県亮太 17年9月24日
③10秒00  伊東浩司 98年12月13日
⑤10秒02  朝原宣治 01年7月13日
⑥10秒03  末続慎吾 03年5月5日
⑦10秒07  江里口匡史 09年6月28日
⑦10秒07  多田修平 17年9月9日
⑨10秒08  飯塚翔太 17年6月4日
⑨10秒08  ケンブリッジ 17年6月23日

◆100メートル世界歴代10傑
①9秒58  ボルト(ジャマイカ) 09年8月16日
②9秒69  ゲイ(米国) 09年9月20日
②9秒69  ブレーク(ジャマイカ) 12年8月23日
④9秒72  パウエル(ジャマイカ)08年9月2日
⑤9秒74  ガトリン(米国) 15年5月15日
⑥9秒78  カーター(ジャマイカ) 10年8月29日
⑦9秒79  グリーン(米国) 99年6月16日
⑧9秒80  マリングス(ジャマイカ) 11年6月4日
⑨9秒82  トンプソン(トリニダード・トバゴ) 14年6月21日
⑨9秒82  コールマン(米国) 17年6月7日

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]