文=丸山素行 写真=鈴木栄一、B.LEAGUE

2シーズン連続でスティール王を受賞

今シーズン、B1の舞台に戻ってきた秋田ノーザンハピネッツは、様々な巡り合わせもありB1残留を果たした。降格と昇格の両方の経験を持つ中山拓哉は、今シーズンのスティール王(平均2.2スティール)に輝くなど、チームの大黒柱へと成長した。中山も「いろいろな経験ができて、本当に成長できた」とシーズンを振り返った。

「プロに入ってから全然やってなかったですけど、今年はポイントガードもやりましたし、田口(成浩)選手の移籍によってチームのリーダーがいなくなって、そういう面での責任感はすごい成長できたと思います」

中山が言うように、今シーズンの秋田は田口の移籍というマイナスからスタートした。「プレーでも頼れますし、『秋田と言ったら田口選手』というのがやっぱりあって、常にチームのリーダーとして動いてくれていたので。そこがなくなったのはチームにとってすごく大きかったです」

プロスポーツにおいて、選手の移籍は日常茶飯事であり、チームを去った人間のことをいつまでも考えていても仕方がない。それでも「秋田にいなくても田口選手の話はいろんなところで挙がる」と、かつてのチームリーダーの存在感の大きさを再認識させられたという。

だからこそ、秋田には新しいリーダーが必要だった。そして、白羽の矢が立ったのが中山であり、中山もその期待をふつふつと感じていた。「秋田を背負うじゃないですけど、『お前だぞ』みたいなのはやっぱり感じました。ペップ(ジョゼップ・クラロス・カナルス前ヘッドコーチ)にも『お前が中心になっていかなきゃいけない。歳は関係ないんだ』と、言われてたので、その気持ちは常に持っていました」

「自分のレベルアップがチームの勝利に繋がっていく」

中山は58試合に出場し、1試合平均29.9分間プレーした。外国籍選手に次ぎ、日本人選手最長のプレータイムが、中山がチームの中心選手になったことを示している。

今シーズンの秋田は、一つひとつのプレーのインテンシティが高く、試合中に肩で息をするほどスタミナの消耗が激しいバスケを展開した。平日開催が増えたこともあり、相当タフなシーズンを送ったにもかかわらず、「まずは個人のスキルアップ」と、身体を休めることよりも、個人能力の向上を優先するという。

「このオフシーズンでどれだけ自分をレベルアップさせるかが大事です。自分のレベルアップが今後チームの勝利に繋がっていくと思うので、このオフで伸ばせるところは伸ばしていきます」

長いシーズンを終え、身体と心の疲れを癒すことに専念する選手も少なくない。それでも中山は、「遊ぶときはしっかり遊びますけど、本当にバスケが好きで、暇だったらバスケがしたくなるので」と、バスケ漬けの生活を自ら選んでいる。

だが、これらの行動は、単にバスケが好きだからという理由だけではない。シーズン中は試合とチーム練習が主となり、個の向上に費やせる時間はどうしても限られてくる。そのため、「このタイミングでしか個人のスキルアップは難しいです」と中山は言う。

今シーズンの秋田はB1残留を果たしたとはいえ、18チーム中15位の成績に終わった。今シーズン以上に勝ち星を伸ばすためには、チーム力の底上げに直結する中山のスキルアップは欠かせない。

「来シーズンに向けて今からしっかり準備して、もっと輝けるようにと言いますか、攻守において存在感をもっともっと発揮できるように頑張りたいです。秋田と言ったら僕と言われるように成長したいです」

リーダーとしての自覚と責任を持つ中山。来シーズンはさらなる飛躍に期待できそうだ。