Perfecta Naviをご覧の皆様、後閑信一です。
今回は5月11日〜14日に開催されていた平塚G3湘南ダービーを振り返りたいと思います。

今シリーズは地元・神奈川勢を筆頭に、南関東地区の層が厚かったために「この中から間違いなく、優勝者が出るだろう」と、大方の予想はありました。
遠征組ではグランプリチャンピオンのS級S班・三谷竜生(奈良101期)選手が別府G1全日本選抜競輪での落車で、肩鎖関節を痛めて手術。未だ完治に至っていない状況で、本来の強さが影を潜めている。そうなると、同じ近畿地区のS級S班・村上博幸(京都86期)選手も厳しい様相が伺える一方で、S級S班・清水裕友(山口105期)選手は前走の松戸G1日本選手権競輪で準優勝と、急激に復調してきている気配。このS級S班の選手らを中心に、どこまで南関勢に立ちはだかるか?という図式に。ただ、今回ばかりは南関勢は自力選手の頭数が揃っていて、とにかく強力な布陣でした。ザッと、名前を挙げただけでも神奈川は桐山敬太郎(神奈川88期)選手、郡司浩平(神奈川99期)選手、和田真久留(神奈川99期)選手、新鋭の松井宏佑(神奈川113期)選手。千葉からは中村浩士(千葉79期)選手と根田空史(千葉94期)選手の師弟コンビ。静岡からは岡村潤(静岡86期)選手、簗田一輝(静岡107期)選手と、輪界トップクラスの選手が名を連ねる。
そして、やっぱりと言うべきか、初日の一次予選からはラインを組んだ根田選手と桐山選手がワンツーで勝ち上がり。特選競走では簗田―和田―郡司―中村の強力南関4車ライン。簗田選手がシッカリ主導権を握り、ラインで上位独占しました。誰もがこの初日の流れで、南関勢の良い雰囲気は掴めたと思います。

2日目にはグランプリ王者の三谷選手が二次予選7着で敗退する中、南関勢の主力選手は順当に勝ち上がり、準決勝へ進むことに。


3日目の準決勝=10Rからは松井選手が上がりタイム10秒9の圧倒的なスピードで捲り切り、和田選手、中村選手のワンツースリーでまずは決勝へ駒を進めます。準決勝=11Rは簗田選手が惜しくも4着で敗退したものの、岡村選手が3着で決勝進出を決めたことで南関勢の順調さは変わりなし。ただ、今になって考えると、勝利の流れの雲行きが次の準決勝=12Rから怪しくなってきたように感じます。好調・根田選手が率いる地元勢が松岡健介(兵庫87期)選手―村上選手のラインに崩されたのです。私が観た限りでは、ポイントは桐山選手の追走技術にあったと、睨んでいます。普段、桐山選手と言えば、日本でも屈指の自在タイプの選手。変幻自在という言葉が似合う、時には先行も辞さない走りは気持ちが良く、私も好きな選手の1人です。


しかし、今回のレースで彼には課題が見つかったように思うのです。それはマークの時に前の選手との車間が開いてしまうこと。村上選手クラスの超一流選手ならば、郡司選手の後輪と桐山選手の前輪が僅か10cm離れただけでも入ってくるところ、約1m離れながらの追走……案の定、割り込まれてしまいましたね。根田選手のカマシていく速度が素晴らしかったとしても桐山選手ならばついていけるはずです。そこの課題さえ克服してしまえば、近い将来、タイトルに手が届く逸材だと私は信じて疑いません。


そして、いよいよ4日目の決勝戦!地元・平塚バンクからは2番手・和田選手と自力・松井選手。準地元の川崎バンクからは郡司浩平選手が平塚ホームを盛り立てる意味で3番手に回ります。さらに千葉の中村選手が初日と同様に4番手で「流石だなぁ」と、思ったのも束の間、静岡・岡村選手も別線を選択しないで5番手を固めることに。これはもう鉄壁過ぎて、展開が一つ、二つくらいしか考えられないような強固なラインとなりました。ですが、蓋を開ければ、これぞ競輪!S級S班・清水選手の貫禄に圧倒されたのか、新鋭・松井選手は前を取ったにも関わらず、残り2周半で後ろに引いてしまいます。自ら仕掛けられず、5車ラインの利を呆気なく無駄にしてしまったのです。私が抱いた疑問は「なぜ清水選手の上昇に合わせて、突っ張って先行しなかったのか?」と「引いたとしても、残り2周ですぐに叩き返さなかったのか?」です。松井選手ならば、どちらかは絶対にできたに違いありません。でも、それが競輪の不思議な深い魅力でもあるのです。
このようにS級S班の誇りを感じさせた清水選手もお見事でしたが、勝負を制したのは41歳の松岡選手!戦況を冷静に見ながら、最終BSから捲り切った脚はまだまだ健在。また、松岡選手を連日、アシストした村上選手のレースは「流石!」という言葉がふさわしいレース運びでした。


1人で走るとタイムが出ても、競輪のレースになるとなかなか勝てない。他の喩えにすれば……いつもプールで練習をしているが、本番は海である!みたいな感じになりますでしょうか!?
競輪競走では単純に速さではなく、強さが求められるのです。
今後も選手みんなの御健闘を祈っています!

【略歴】


後閑信一(ごかん・しんいち)

1970年5月2日生 群馬県前橋市出身
前橋育英高在学時から自転車競技で全国に名を轟かせる
京都国体においてスプリントで優勝するなどの実績を持つ
技能免除で競輪学校65期生入学
1990年4月に小倉競輪場でデビュー
G2共同通信社杯は2回(1996年・2001年)の優勝
2005年の競輪祭で悲願のG1タイトルを獲得
2006年には地元・前橋でのG1レース・寛仁親王牌も制した
その後、群馬から東京へ移籍
43歳にして2013年のオールスター競輪で7年ぶりのG1優勝
長きに渡り、トップレーサーとして競輪界に君臨
また、ボスの愛称で数多くの競輪ファンから愛された
最後の出走は2017年11月10日のいわき平F1
年末の12月27日に引退を発表
2018年1月に京王閣、立川、前橋でそれぞれ引退セレモニーが行われた
現役通算2158走551勝
引退後は競輪評論家やタレントとして活躍中
長女・百合亜は元ガールズケイリン選手(102期)である