2018年、大学水泳界の“トビウオ”が脚光を浴びた。彼の名は竹内智哉選手(早稲田大学)。ジャパンオープン男子400m個人メドレー決勝では、萩野公介選手(現・ブリヂストン)を破って2位。さらに、日本学生選手権男子400m個人メドレーで初優勝を…

2018年、大学水泳界の“トビウオ”が脚光を浴びた。彼の名は竹内智哉選手(早稲田大学)。ジャパンオープン男子400m個人メドレー決勝では、萩野公介選手(現・ブリヂストン)を破って2位。さらに、日本学生選手権男子400m個人メドレーで初優勝を飾った。躍進は止まらない。2019年7月に開催されるユニバーシアード競技大会では、日本代表として既に出場が決定している。

奥野景介監督は「持久力の高さ」を彼の武器に挙げた。前半で周囲から差をつけられても焦らない。自分の泳ぎに集中し、後半にペースを上げて強さを発揮する。なぜ最後に粘ることができるのか。秘訣は彼の経歴にある。中学までは自由形や背泳ぎに取り組んできたが、一時期調子を落としてしまい、気分転換を兼ねて出場した個人メドレーで好記録を出した。最終種目である自由形が得意だったため、終盤に追い上げるレース展開ができるようになったのだ。

※早朝からチームメイトとストレッチに取り組む竹内(写真左)

練習で意識しているのは「楽に速く泳ぐ」こと。上半身に比べると脚は筋肉の割合が高く、使えば推進力は上がるが体力の消耗が激しくなる。勝つために重要なのは、泳ぐ際に腕を使えるかどうか。一朝一夕で身につくものではない。綺麗なフォームで泳ぎ、手で水をつかむこと(キャッチ)を心がける。「練習をすることで自信や結果がついてくる」と考え、大事な試合の前ほど入念にトレーニングを行う。

水泳を始めたのは両親の影響。身体が丈夫になると勧められて、0歳からスイミングクラブに通っていたという。大学に進学し、初めての寮生活に戸惑う部分もあったが、日本代表クラスの選手たちと寝食や練習を共にすることで大きな刺激を受けた。幼い頃から競技生活を支えてくれた両親は、今も試合があると応援に来てくれる。「両親には結果で恩返ししたい。あとは自分が活躍することで、通っていたスイミングクラブの子供達が“あんな選手になりたい”と思って頑張ってもらえるような選手になりたい」。両親に表彰台の一番高い場所に立った姿を見せるため、そして水泳界の未来を担う子供たちの手本となるため、多くの思いを背負って竹内は今日もスターティングブロックに立つ。

※大学アスリート1日密着動画「THE STARS」にて、竹内選手を特集しています。
 竹内選手の「THE STARS」はこちら
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竹内智哉(たけうち・ともや)
神奈川県出身。1998年7月31日生まれ。177センチ、73キロ。湘南工科大学附属高校を経て、現在は早稲田大学スポーツ科学部3年。持ち前の持久力を武器に昨年大ブレイクを果たした。2019年に入ってからも日本選手権男子200m個人メドレーで3位入賞し、大学の先輩である瀬戸大也選手(現・ANA)らと共に表彰台に立った。