「私は選手の力を、どこまでも信じる。全員に平等にチャンスを与える」 レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督は言…
「私は選手の力を、どこまでも信じる。全員に平等にチャンスを与える」
レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督は言う。正しく、公平に選手を扱う信条。それが、欧州チャンピオンズリーグを3連覇した彼の成功のベースになっているのは間違いない。
しかし、今シーズン、極度の不振に陥ったレアル・マドリードが来季も同じ陣容で戦うことはないだろう。常勝が義務づけられたクラブとして、刷新が求められる。”選手の入れ替え”は不可欠な状況なのだ。
では、ジダン監督は誰を求め、誰を切るのか?

来季のチーム編成が注目されるレアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督
「ZZプラン」
スペイン国内のスポーツ紙は、ジダンの姓名の頭文字を取って、来季のメンバー構想を日々、熱心に取り上げている。
「全体のプレー強度を高め、機転の利くプレーヤーを配し、スピードのあるカウンターで勝負を決める」
それが基本のプレースタイルで、合致する選手を組み入れることになる。
ブラジルの名門サントスからは、「ネイマール二世」と言われるロドリゴ・シウバ、ポルトからはブラジル代表DFエデル・ミリタンの入団がすでに決定。ベルギー代表MFエデン・アザール(チェルシー)、フランス代表MFポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)、セルビア代表FWルカ・ヨビッチ(フランクフルト)のように、獲得が噂される選手名が紙面を踊っている。
しかし補強を進めるには、まず”人員整理”をする必要がある。
「戦力に入っていない」
ジダンはFWガレス・ベイルを筆頭に、MFダニ・セバージョス、MFマルコス・ジョレンテの3人に「戦力外」を通達したという。
ベイルは突出したフィジカルを武器にするが、今シーズンは不調を極め、クラブやファンに対して苛立ちを示すなど、反旗を翻したに近い。9割以上のファンが、「来季は必要ない」と怒るほどだ。1700万ユーロ(約22億円)という高額年俸もネックと言える。
ベイルの代理人は「残留」を強調しているものの、ジダンの意志は固い。フランス人指揮官は温厚で物静かな人物で、選手への接し方も紳士的。しかし一度決断したら、てこでも動かず、嗜好ははっきりとしている。
「一生懸命やって、どうにかジダン監督に認めてもらうように励んだよ。でも、もう無理だな、っていう瞬間があった」
セバージョスはジダンが前回、監督を辞任した後、そう言って不満を漏らしていた。
「リーグ戦で2得点しても、その後のチャンピオンズリーグ戦の出場はわずか1分。自分は重要な選手じゃない、と感じた。(トニ・)クロースや(ルカ・)モドリッチがケガをしても、システムを変えて対処し、自分にお呼びはかからなかった」
その”批判”が影響したのかどうかはわからないが、今回の戦力外通告は必然だったと言える。
ジョレンテも、セバージョスのケースに近い。サンティアゴ・ソラーリ前監督からは厚遇され、中盤のキーマンとしてクラブW杯優勝に大きく貢献。進境著しい若手のひとりだったが、ジダンからは評価されていない。そもそも、カスティージャ(レアル・マドリードのBチーム)時代からジダン(当時監督)に冷遇され、ポジションを与えられていなかった。
ジダンは天才プレーヤーだっただけに、感覚的判断があるのかもしれない。フィーリングの合わない選手との関係ははっきりしている。
バイエルンに貸し出しているMFハメス・ロドリゲスとは周知のとおり犬猿の仲。ソラーリが好んだ”頑張る左サイドバック”セルヒオ・レギロンもお眼鏡にかなわず、期限付き移籍の公算が高い。控えに回っていたマルセロを復活させつつ、リヨンの若きフランス代表、フェルラン・メンディを獲得し、将来に備えると言われる。
ジダンは自分の感覚で選手を判断する。その点、偏見はない。出場機会に恵まれず、来季は”風前の灯火”だったDFヘスス・バジェホ、MFブラヒム・ディアスを再評価。また、MFフェデリコ・バルベルデを、「中盤はどこでもできる。質もユーティリティも高い」と賞賛している。
「君は練習生ではない。テストなどと思わず、ただプレーを楽しむように。持っているものを出せばいい」
ジダンは、そう言ってバルベルデを励ましたという。その扱いは、セバージョス、ジョレンテと比べて雲泥の差だ。
いずれにせよ、人事は不確定要素が伴う。
たとえば、「FW補強は急務」と言われている。最有力候補のヨビッチは21歳でポテンシャルは申し分ない。今シーズンはブンデスリーガで17得点、ヨーロッパリーグ(EL)も10得点で得点王を争う。しかし、70億円とも言われる移籍金は安くない。対価として適当かどうか。
やはり候補者とされるロベルト・レバンドフスキ(バイエルン)はブンデスで22得点を、パコ・アルカセル(ドルトムント)も同じく18得点を叩き出している。ただし、アルカセルはバルサ時代は完全な控えで、EL得点王もレアル・マドリードのFWとしての箔にならない。
「ラージョ・バジェカーノで14得点、サーラ賞(スペイン人得点王)を争うラウール・デ・トーマスを期限付き移籍から戻し、カリム・ベンゼマの控えに据えるのが効率的」という意見も少なくない。レアルの下部組織出身で、リーガを経験している利点もある。しかし最後は、ジダンが自らの感覚で決定するはずだ。
5月19日、ベティスとの今季最終節が終わり次第、「ZZプラン」が本格的に動き出す。