『グッドなチーム』で満足せず『グレートなチーム』を目指す8月3日、アルバルク東京が記者会見を開き、新加入の竹内譲次が登場した。日本代表の主力として長く活躍し、今もなお日本最強のビッグマンの一人である竹内「移籍市場の大物」を獲得したのだから、…
『グッドなチーム』で満足せず『グレートなチーム』を目指す
8月3日、アルバルク東京が記者会見を開き、新加入の竹内譲次が登場した。日本代表の主力として長く活躍し、今もなお日本最強のビッグマンの一人である竹内「移籍市場の大物」を獲得したのだから、初年度のBリーグで優勝しようというアルバルク東京の意気込みがうかがえる。
昨シーズンは、NBLのレギュラーシーズンでは最高勝率を記録しながらプレーオフで敗れた。伊藤拓摩ヘッドコーチは再スタートについてこう語る。「セミファイナルで敗れた翌日の夜に、次のシーズンに向けたミーティングを行いました。そこで話したのは、過去最高の勝率でシーズンを終えることはできたが、優勝できなかったことには変わりなく、アルバルク東京は『グッドなチーム』で満足せず『グレートなチーム』を目指さなければならない、ということでした」
『グレートなチーム』を作るための最初の一歩が、竹内の獲得だった。伊藤ヘッドコーチは言う。「入団が決まる前に彼と話したのは、キャリアの中で彼自身が一番満足できるシーズンにしよう、ということです。これまでも活躍してきた選手ですが、それ以上に、自他ともに認める一番のシーズンにしてもらいたい」
今回の移籍について、竹内はこのように説明している。「まず背景として、日本のバスケットボール界はFIBAから国際試合禁止の制裁を科せられました。そこで川渕(三郎)キャプテンを始め、いろいろな方のご尽力でBリーグという舞台を立てていただきました。ここから先は各クラブ、そして各選手がどれだけ頑張れるかです」
「その中でアルバルク東京から話をいただき、Bリーグで絶対に成功するんだ、成功してやる、という強い熱意を感じました。サンロッカーズ渋谷には9年間お世話になって、自分自身いろいろ葛藤しましたが、アルバルク東京でバスケットをしたいという決断に至りました」
新たなチームで迎える新リーグの開幕について、竹内はこう語った。「今まで国内リーグが2つあって、選手は意識しなくても、やはりメディアやファンの方々としては『なんで2つあるの』、『どっちが強いの』という話題になって、どこが優勝しても日本一と言えないもどかしさがありました。こうして日本一のチームを決めるリーグの舞台を整えていただいたので、自分自身これまでのキャリアの中で一番開幕が楽しみです」
常勝チームを目指すだけに、プレッシャーもある。「アルバルク東京は去年の最高勝率チームですし、またBリーグで初年度だけでなく常に優勝できるチームを作っていこうとしている中で、自分は即戦力として呼んでいただいたわけですから、そこで結果を出さないといけないプレッシャーもあります。本当にいろんな思いが混ざっている状況です」
外からも中からも仕掛けるので自分のプレースタイルが生きる
兄の竹内公輔もこの夏に広島ドラゴンフライズから栃木ブレックスへと移籍した。古巣に恩義を感じながら、新たなチームでさらなる高みを目指すという決断を下した点で、この双子の兄弟は共通している。
譲次はサンロッカーズ渋谷(日立)への思いをこう語った。「9年間お世話になったチームですし、バスケットだけでなく人生においても難しい決断でした。違うディビジョンにはなりますが2試合はあります。新しいチームで良いパフォーマンスを見せることが日立にとっても恩返しになるんじゃないかと。しっかり結果を出すことで認められると思うので、いろんな感情はありますが、それを抜きにして試合に集中したいと思います」
すでに決断は下した。開幕までまだ1カ月以上あるが、チームはすでに始動しており、竹内も『アルバルク東京のバスケットボール』への適応を図る日々を過ごしている。この日もチームのシステムに合わせた個人練習をコーチとともにこなしてきたそうだ。「外からも中からも仕掛けるので、自分のプレースタイルがすごく生きると実感しています。そのおかげもあって、練習にも身が入るというか、モチベーション高くやらせてもらっています」
伊藤ヘッドコーチもこれに同調した。「我々のシステムでは彼の持っているスキルが今まで以上に生かされるのではないか。オフェンスでもディフェンスでも、遠慮なくチームを引っ張ってもらおうと思っています」
アルバルク東京は他のチームに先駆けて、9月22日と23日に開幕戦を戦う。「新たに興味を持ってくださった方、今までは他のスポーツを見ていた方に、バスケットってすごく面白いスポーツだということを開幕戦で見せていきたい」と竹内は意気込む。
普段はクールな伊藤ヘッドコーチも、Bリーグ開幕戦に向けてはどうしても力が入ってしまうようだ。「本来なら開幕戦は、力を入れずにリラックスして、『60試合あるうちの1試合』と言うんですが、今シーズンは新しいリーグの開幕ということもあり、今までにないぐらい注目されると認識しています。そのことに責任感、使命感を感じております。ヘッドコーチとしてチームを最高の状態に持っていき、素晴らしいパフォーマンスを皆さまにお見せできたらと思います」
開幕戦の相手は琉球ゴールデンキングス。「bjリーグで最も多く優勝している球団で、開幕戦に向けて強いチームを仕上げてくると思います。お互いが最高の状態で対戦ができるように、Bリーグを代表してBリーグに火をつけられるような熱い試合にしたいと思っております」
NBLとbj、2つの旧リーグが対決する構図を従来のファンは考えてしまうが、伊藤ヘッドコーチにその意識はない。「注目はされると思うんですが、僕たちに『対bjリーグ』という意識はありません。シーズンが始まったら敵にはなりますが、お互いやっと一つになったので、Bリーグを盛り上げる同士としてやっていきます」
開幕まであと7週間。多くのチームが日本人選手の編成をほぼ終え、外国人選手との契約の詰めに入っている段階。アルバルク東京も同様で、近日中には外国人選手を含めたロスターが決まる。ここから開幕までにチームとしての総合力をどこまで高められるか。勝負はもう始まっている。
左から竹内、球団代表の林邦彦、伊藤ヘッドコーチ、竹内と同じく新加入のセオン・エディ。