5月12日に行なわれたフォルトゥナ戦で、堂安律が25メートルの弾丸シュートを決めた。オランダリーグでは昨年12月8…
5月12日に行なわれたフォルトゥナ戦で、堂安律が25メートルの弾丸シュートを決めた。オランダリーグでは昨年12月8日以来、本当に久々のゴールだった。
試合後、フローニンゲンのデニー・バイス監督は、手放しで喜んだ。

今季のレギュラーシーズンを終えた堂安律
「堂安のゴールはワールドクラス。彼のクオリティの高さによって生まれたゴールだ。3-0の勝利に華を添えてくれた。アジアカップから戻ってからも、ずっと試合に出続けていた。彼にはむずかしい時期もあった。そして、とても若い。堂安はとってもいい奴で、本当にいい選手だ」
その前のズウォレ戦でFWカイ・シールハイスの先制ゴールをアシストした堂安は、シーズン終盤に入って、ようやくプレーがゴールに直結し始めた。
しかし、15日に行なわれたエメン戦の堂安は、前半3本のシュートを打ったものの、後半は強引な仕掛けも実らず、今ひとつの出来に終わった。
本人も、本来の実力を発揮できなかったと感じていたのか、「見ている人が、たぶん楽しくなかったゲームかなと思います。少し退屈なゲームをしてしまった、という印象です」と、0-1で敗れた試合を振り返った。
これで、オランダリーグのレギュラーシーズン34試合が終わった。今季の堂安は29試合に出場し、5ゴール・3アシスト。オランダルーキーイヤーとなった昨季、堂安は9ゴール・4アシストを記録しただけに、本人にとっても、周囲にとっても、満足できない結果だろう。
だが、バイス監督は「時折、人々は彼が20歳であることを忘れている」と、堂安のことを擁護する。
堂安は昨季も29試合に出たが、1試合当たりの出場時間は79分だった。それに対し、今季のそれは87分。堂安がベンチに下がることは滅多になかった。
堂安は「間違いなく、監督は僕のことを評価してくれていて、使ってくれている」とバイス監督の信頼を感じながらプレーしている。
フローニンゲンでクリエイティブなプレーヤーと呼べそうな選手は、堂安とMFミムン・マヒのみ。今季マミは7ゴール・6アシストを挙げたものの、ピッチでのコンディションが安定せず、バイス監督はマヒをベンチに下げて堂安を残すことが多かった。
VVVフェンロの会長を務めていたハイ・ベルデンさんが、「日本人選手はいきなりビッグクラブに行くより、VVVのような小さなクラブで欧州のキャリアをスタートするほうがいいんだ」と言っていた。
プロのサッカー選手であれば、パフォーマンスが上がらなかったり、結果を出さなければ批判される。それはVVVでも同じことだが、「ビッグクラブは、そのプレッシャーがVVVの比ではない。VVVなら試合に出続けることができるし、ミスは許されるし、欧州のサッカーを学んだり馴染んだりする時間がいっぱいある」と、ベルデンさんは常々言っていた。
本田圭佑や吉田麻也は、いいときも悪いときもVVVで試合に出続けて、それを糧にステップアップしていった。
ベルデンさんの言葉を思い起こすと、たしかに堂安にとってフローニンゲンは理想的な環境なのだと感じる。
アジアカップからオランダに戻ってきた直後のフィテッセ戦から10試合、ゴールもアシストも決めることのできなかった堂安に対し、「先発から外れるか!?」という声はあったし、批判も少しはあった。それでも、堂安に対しても、彼を起用し続けるバイス監督に対しても、過度なプレッシャーがかかることはなかった。
フォルトゥナ戦の堂安のスーパーゴールは、チャンスが生まれる予感もなかった”無”の状態から決めたものだった。まるで左足が斧になったような、切れ味の鋭い一発だった。「なるほど、堂安がピッチにいれば、こういうことも生まれるんだ」。そう納得するような、規格外のゴールだった。
しかし、後半戦で数字を残せなかったのも事実。エメン戦後、そのことを踏まえて今季を振り返ってもらった。
「そうですね。でも、シーズンはまだ終わってませんので、今、そこを振り返るのは駄目だと思います。(プレーオフの)4試合で5点獲れば、ふたケタに届く。そのぐらいの気持ちでやりたいと思います」
レギュラーシーズンを8位で終えたフローニンゲンは、プレーオフを経由して、ヨーロッパリーグ行きのチケットを掴む可能性が残されている。チームとしても、堂安個人としても、高みを目指すためにプレーオフでの活躍を期待したい。