六大学を背負って白球を追うのは、硬式野球部だけではない。野球を愛し、泥臭くプレーしている大学生たちがいる。今回は8日に行われた、東京六大学軟式野球連盟春季リーグの最終戦に迫った。

硬式野球と軟式野球の大きな違いは、選手たちが使用するボール。軟式野球のボールはゴム製であり、比較的軽量(※)という特性から、打球の跳ね方や反発力が硬式野球のボールとはまったく異なる。打球の飛距離が出にくく長打が連続する可能性が低いため、軟式野球はレベルが上がれば上がるほど「いかに1点を奪い、1点を守るか」という頭脳戦が展開される。失投や失策による流れの変化や1点の重みが、硬式野球とは比べ物にならないほど選手たちにのしかかっていく。中には「2点取られたら炎上」と語る投手もいるほどだ。投手力の高さに加え、得点圏に走者がいる時に高いバウンドを打つ技術や、走塁を絡めた攻撃が勝利への鍵となる。
※公認野球規則により、重さは硬式球が141.7〜148.8g、軟式球(M号球)が136.2〜139.8gと定められている。

※笑顔が弾ける東大ベンチ。東大はこの日6-2で早大を破り、2位で春季リーグを終えた

部員の多くは高校まで硬式野球部に在籍し、大学から軟式に転向した選手たちだ。中には甲子園出場経験を持つ者もいる。故障により硬式野球ではプレーできなくても、ボールが軽く身体への負担が少ない軟式野球なら安心してプレーを続けられる。軟式野球は戦略が勝敗を分けるため、体格などで戦力差がつきにくく、2018年は春季リーグと秋季リーグで順位がほぼ逆転するという番狂わせも起こった。こうした実力の拮抗も東京六大学軟式野球の大きな魅力だ。

さらに、学生主体の運営も軟式野球連盟の特徴となっている。審判やコーチだけでなく、監督も学生がプレーしながら行う。選手と同じ立場のため距離感が難しいが、その中でも横のつながりを重視し、信頼関係を構築して選手同士が指導やアドバイスをし合える環境が作られている。

※1-9で立大に敗れ、リーグ5位に終わった慶大。秋季リーグに向けて得点力不足を解消していく

しかし、六大学といえども軟式野球連盟は課題を抱える。試合を行う球場は学生たちが予約しているが、関東近郊では競争率が非常に高く、土日に日程を組むことが難しい。授業のため試合に参加できない選手や、入部を希望していても学業との兼ね合いで断念した新入生もいる。一定の部員数やレベルを維持するために、各大学が試行錯誤を行っているのが現状だ。

※延長10回裏、劇的なサヨナラ勝利で優勝を決めた明大

硬式野球より一足先に、軟式野球の春は終わった。引退の時期は大学によって様々だが、春で引退する大学の4年生にとっては最後のシーズンとなる。学生主体のチームにとって彼らが残していくものは大きい。先輩の背中を見て、後輩たちはどのように差配していくのか。プレーと運営、二つの“戦略”について考える学生たちの戦いは秋に続く。

【明治大学軟式野球部・橋下宗士主将 優勝インタビュー】

※エースとしてリーグ戦を投げ抜いた橋下主将

今の気持ちを聞かせてください。
こんな劇的な試合で勝てると思っていませんでした。このメンバーで全国大会に行けることが嬉しいです。

今季のチームの持ち味は何ですか。
昨年度からリーグ戦に登板している投手が残っていて、投手力には自信があったので、冬は打撃練習にもこだわり、総合力が高いチームだったと思います。

今日の勝因は何ですか。
終盤はピンチが多かったので、そこを何とか切り抜けようと思っていて、守備の力が大きかったと思います。

全日本に向けて意気込みをお願いします。
六大学の代表として行くので、昨年の東日本大会ベスト8よりも良い成績を残せるように頑張りたいです。

【試合結果】
東大6-2 早大
慶大1-9 立大
法大1-2×明大

【順位表】
1位 明大
2位 東大
3位 法大
4位 早大
5位 慶大
6位 立大