関カレ(関東学生対校選手権)出場へのラストチャンスとして、また関カレへ向けた調整レースとして、そして故障からの復帰レースとして、それぞれが目標を持ち臨んだ今回の法大競技会。順調な仕上がりを見せる選手がいる一方で、苦しいレースを強いられた選…

 関カレ(関東学生対校選手権)出場へのラストチャンスとして、また関カレへ向けた調整レースとして、そして故障からの復帰レースとして、それぞれが目標を持ち臨んだ今回の法大競技会。順調な仕上がりを見せる選手がいる一方で、苦しいレースを強いられた選手も見受けられた。

 3000メートル障害には森田将平(スポ3=広島・修道)が出場。関カレ出場のためには5月6日までに最低限、標準記録(9分18秒)を切らなければならないため、このレースが最後のチャンスとなった。初めの1000メートルを3分前後で通過すると、先頭のペースがやや落ち始めた2000メートル付近で森田が先頭に。久々の3000メートル障害のレースということで序盤は障害通過時にスピードが落ちてしまう場面もあったが、徐々にスムーズなハードリングを取り戻しスピードに乗り、そのまま1着でフィニッシュ。「関カレA標準(9分08秒)ぐらいのタイムでは走れる感覚があった」と悔しさ混じりに振り返ったが、9分11秒07と、最低限の目標としていた関カレのB標準を突破した。9分07秒78の自己ベストは高校時代にマークした記録。高いポテンシャルで活躍を期待されたが、度重なる故障などでここまで思うような結果を残せずに苦しんできた。しかし今季はすでに1万メートルで自己記録を大きく更新し、本人も「走りの調子が良くなってきていて高校の時よりも確実に走力はついてきている」と飛躍を予感させる。同期入学の選手たちに遅れをとるかたちになっているが、このまま終わるつもりはない。大学3シーズン目の今季、いよいよ森田の逆襲が始まった。


3000メートル障害で関カレB標準を突破した森田。大学3年目でいよいよ活躍の予感だ

 5000メートル2組には太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)と真柄光佑(スポ4=埼玉・西武学園文理)が練習の一環として出走。太田智はキロ2分55秒前後の安定したペースを刻み、先頭を引っ張った。3000メートルからは佐藤敏也(法大)がペースアップ。太田智もそれに付いていき、余裕の表情でゴールした。4組にはこの日2本目となる太田智と真柄に加えて、新迫志希(スポ4=広島・世羅)、宍倉健浩(スポ3=東京・早実)、小指卓也(スポ1=福島・学法石川)の5人が出走した。3000メートルまでと決めていた太田智はキロ2分40秒台のペースで集団を引き、「ペース通り」の走りで離脱。東京箱根間往復大学駅伝以来のレースとなった新迫は先頭集団の中でレースを進めた。しかし3000メートル以降に失速し、9着でのフィニッシュとなった。後半粘りを見せたのはルーキー小指だ。3000メートル過ぎに前を走っていた宍倉と新迫を抜き去り4番目に浮上。本人は「物足りない」と語ったが、2週間前の日体大長距離競技会に続き安定したレースを見せた。真柄はこの日の2本のレースを14分40秒台にまとめた。


新迫はけがからの復帰戦。結果を残す覚悟で早大のラストイヤーを駆け抜ける

 この日は「良かったメンバーもいれば、駄目だったメンバーもいる」(太田智)と、選手の結果は様々だった。しかし、関東学生対校選手権(関カレ)は3週間後。勝負の時は刻一刻と迫っている。関カレ、さらにはその先に控える全日本大学駅伝対校選手権の予選会を総力で戦うためには、個々のレベルアップが急務である。

(記事、写真 斉藤俊幸、宅森咲子)

結果

▽男子1500メートル

半澤黎斗(スポ2=福島・学法石川)3分51秒04(2組3着)

齋藤雅英(スポ4=東京・早実)  3分59秒64(2組11着)

飯島陸斗(スポ4=茨城・緑岡)  途中棄権

▽男子3000メートル障害

森田将平(スポ3=広島・修道)9分11秒07(1組1着)

吉田匠(スポ3=京都・洛南) 棄権

▽男子5000メートル

太田智樹(スポ4=静岡・浜松日体)  14分37秒66(2組3着)

真柄光佑(スポ4=埼玉・西武学園文理)14分47秒55(2組6着)

小指卓也(スポ1=福島・学法石川)  14分15秒77(4組4着)

新迫志希(スポ4=広島・世羅)    14分41秒15(4組9着)

真柄                 14分44秒23(4組12着)

宍倉健浩(スポ2=東京・早実)    14分50秒87(4組14着)

太田智                4組途中棄権

安田博登(スポ1=千葉・市船橋)   棄権

コメント

太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)

――現在の調子はいかがですか

ゴールデンウィークは強化期間だったので、ある程度走り込んだ上でのきょうのレースでした。少し疲れてはいたんですけど、ペース通りに走れたので、ここからあと3週間しっかり上げていければなと思っています。

――きょうのレースの位置付けは

2週間前に思ったより走れてしまったので、きょうは全力ではなく練習の一環として5000メートルと3000メートルを走りました。

――ペースは決めていたのでしょうか

そうですね。1本目も2本目もある程度決めていました。1本目は思ったより速かったですが。

――どのくらいのタイムを予定していたのでしょうか

14分50秒切りくらいだったんですけど、法大の敏也くん(佐藤)がいい感じに走ってくれたので、2人でいきました。2本目は8分30秒切りですね。なので、ペース通りです。

――実際のレースの感覚はいかがでしたか

1本目は後半の2000メートルを引っ張ってもらったのもあって楽に走れました。でもプラスの3000メートルは硬くなってしまったので、今週走り込めたのもありますがもうちょっと楽に走れたらなと思います。

――チームの結果についてはいかがですか

きのうは二人良かったんですけど、きょうは良かったメンバーもいれば、逆に全然駄目だったメンバーもいるので、チームとして見れば微妙だったのかなと思います。でもそれは客観的な見方なので、個人が主観的に振り返って反省等をしっかりしてもらえればなと思います。

――次は関東学生対校選手権でしょうか

はい。去年は2種目(1万メートルと5000メートル)に出て1種目(5000メートル)しか入賞できなかったので、まずはどちらも入賞できるように。あわよくば表彰台を狙っていければなと思っています。

新迫志希(スポ4=広島・世羅)

――狙っていたタイムや目標はありましたか

このレースは通過点でもありますが14分10秒あたり、できれば関カレ(関東学生対校選手権)の標準タイムである14分12秒あたりを狙って一桁くらいで走りたいと考えていましたが、きょうは駄目だったという感じです。

――東京箱根間往復大学駅伝(箱根)以降レースから遠ざかっていました

そうですね、箱根終わってから1カ月後くらいに故障してしまって、それを3月下旬くらいまで引きずっていました。アキレス腱なのですが、もともと箱根の期間に痛めていて、それが箱根が終わってから振り返してしまいました。その割には4月は結構いい練習ができて、きょうを迎えた感じです。

――きょうを迎えるにあたって調子はいかがでしたか

やはりベストなコンディションを持ってきたと思いますし、走れる自信はありました。

――課題を感じたのはどの辺りですか

箱根期間中から取り組んでいたところがまたゼロからではないですが、そこが課題として浮き彫りになってしまいました。スタミナが課題だと思います。スピードに関しては問題はないので、また長い距離に向けてしっかりと頑張っていきたいと思っています。

――けがの具合はいかがですか

もう大丈夫です。

――きょうの結果についてどう捉えていますか

3000メートル以降の落ち込みがかなり激しくて、完全に自分の力不足ではありますが、そこを粘って走れるようになるとタイムもついてくると思うので目標を落とさずにまたしっかり走っていきたいと思っています。

――次は世田谷記録会ということになるのでしょうか

恐らく平国大記録会の1万メートルに出場すると思います。今年は全日本の予選会もあり、そこに向けてということになるので落ち込んではいられないです。

――大学ラストイヤーの今シーズンの目標を教えてください

今年は4年生ということで、最高学年として自分の役割があるので周りに弱さを見せずにチームを引っ張っていけるようにまずは自分自身が良い結果を残さなければいければと思います。まずは予選会を突破する、そして全日本インカレ(日本学生対校選手権)もまだ可能性は残っているのでそこで結果を残せるようにラストイヤー頑張りたいと思います。

森田将平(スポ3=広島・修道)

――きょうのレースの狙いは

きょうが関カレ(関東大学対校選手権)の標準記録を狙える最後の試合だったので、その標準記録である9分18秒を最低目標にしていました。その中で途中までは余裕を持ったペースでそこからどれだけペースを上げることができるかということを狙っていました。

――ラスト1000メートル付近で先頭に立ちました

そうですね、ラスト3周あたりまではかなり余裕を持って走れていたのでそこから切り替えていこうと思っていました。ラスト切り替えができればレース中は8分台も狙えると思っていたのですが、実力不足でキレがなくてラスト1000メートルはタイムが落ち込んでしまいました。

――久々の3000メートル障害のレースでした

久々ということもあって練習で跳んでみてもなかなか良い感覚で跳べていなくてハードリングの感覚がよくなかったです。走りの感覚自体は調子が上がっている感覚はあったのですがハードルの技術的には高校の頃よりも落ちていたので、一か八かの状態できょうのレースに臨みました。

――足をかけないハードリングの利点をどのように考えていますか

足をかけないほうが歩数が増える感じでスムーズに走れる感じがするので高校3年の時から足をかけずにハードルを跳ぶようになりました。本番になれば意外と何とかなるかと思ったのですがあまりうまくいかなかったですね。

――あまり障害の練習はしないのですか

2週間くらい前から少しずつ障害を跳ぶ練習を始めるのですが、ほとんど走る練習がメインであまり障害を跳ぶ練習はせずに、基本的には走力をつけて種目に対応するという感じです。

――タイムについては振り返ってみてどう評価しますか

走りの調子が良くなってきていて高校の時よりも確実に走力はついてきているので、関カレのA標準は切れると思っていたのですが、そこまで甘くなかったなというのが素直な気持ちですね。

――これで関カレの出場が決まったということでしょうか

まだ決定ではないのですが、恐らく出場させていただけると思います。

――関カレでの目標を教えてください

昨年、岡田さん(望氏、平31商卒)が4年生の意地もあったと思うのですが日頃自分と同じBチームで練習していた選手が入賞して対校戦で得点を取って帰ってきたのを見て、すごく刺激をもらいました。僕自身、スポーツ推薦で入学しているという立場もありますし僕がBチームにいつまでもいてはいけないと思っています。また、Bチームにいる以上はそういうところで結果を残してチームに刺激を与えられるような存在になり、引っ張っていかなければいけないので関カレでは入賞を目標にしてやっていきたいと思います。

小指卓也(スポ1=福島・学法石川)

――最近の調子はいかがですか

最近は普通でしたね。良くもなく悪くもなくという感じです。

――ゴールデンウィークは強化期間だったとお聞きしました

僕はきょうの記録会があったので、そこまで練習は増やさずに、調整という感じでした。

――レースを振り返っていかがでしょうか

太田智樹さん(駅伝主将、スポ4=静岡・浜松日体)が3000メートルまで引っ張ってくれるという話だったのですが、僕は出遅れて先頭に一度もつけなくて、ほぼ単独走のような形になってしまいました。途中から諦めて1人で行くしかないと思って気持ちよく走ろうと思ったのですが、耐えられなくなってしまってラスト1000メートルくらいで急激に落ちてしまいました。前の日体大(日体大長距離競技会)よりは粘れたと思うのですが、まだまだだなと思います。

――きょうはタイムを狙っていたのでしょうか

タイムというよりは、智樹さんが引っ張ってくれるというのがあったので、何も考えずそこに付こうと考えていました。でも付けなかったので、そこが大問題だなと思います。

――後半はペースアップしたように見えましたが

後ろから来た選手が引っ張ってくれたので、そこは付いていくしかないと思いました。離れそうになった時も佐藤さん(敏也、法大)が手で合図をしてくれたんですけど、そこで耐えられなかったです。

――チーム内トップでゴールされた点についてはいかがでしょうか

良かったとは言えないのですが、大崩れせずに安定な走りをすることができたところは良かったのかなと思います。

――今後に向けて目標があればお願いします

最近のレースは普通に走って普通に終わってしまって、自分の持ち味を出せずにいます。物足りない感じばかりなので、しっかりと自分で納得できるようなレースができるようにしたいと思います。これからは練習を積んでいく期間になると思うのですが、そこで自分が何ができていなかったのかをしっかり考えていきたいです。きのうは井川(龍人、スポ1=熊本・九州学院)が13分54秒で走ったし、創士(鈴木、スポ1=静岡・浜松日体)も1万でベストを出していい感じなので、その2人に負けない意識を持って練習していきたいと思います。