東京六大学野球リーグライブ配信「BIG6.TV」 草野球マネジメントツール「teams」運営の北田純さん

 東京六大学野球の春季リーグ戦も開幕し、連日盛り上がりを見せている。そんなリーグを盛り上げようとインターネットライブ配信「BIG6.TV」や、プレー人口が増えている草野球のマネジメントツール「teams」を運営するのは倉吉東(鳥取)、明大、JFE西日本でプレーした北田純さん。最速147キロを投げる投手で、一時はドラフト候補に名前があがったこともある右腕が野球を「支える側」になる仕事選んだ理由とその過程を紹介する。そこには現役を退いても冷めない「野球熱」があった。

 かつて自分が立っていた神宮球場が今の仕事場となった。26歳の北田さんは、東京六大学野球リーグを盛り上げるため、今は「BIG6.TV」というライブ配信のディレクターを務めている。一方で、社会人野球を最後に一線は退いたが、今は草野球でプレー。「汗を流す」程度ではなく、日本一のチームを目指して本気でやっているという。草野球にも着目し「teams」というマネジメントツールの運営も行っている。

 自身の経験が今の仕事の礎になっている。

 北田さんは倉吉東高校で甲子園出場はならなかったがエースで4番。2年秋は鳥取大会を制して、中国大会に出場した。1回戦で石見智翠館(島根)と戦い、巨人でプレーする戸根千明投手と投げ合い、0-1で敗れた。その後、明大でリーグ戦にも5試合登板、プロを目指し社会人の名門・JFE西日本では都市対抗野球にも出場した。社会人野球3年を終え、プロの道を諦めたが、野球に携わる仕事がしたいと、スポーツビジネス、マネジメントに興味を持った。

「小さい頃から野球をやっていた野球を社会人までやらせてもらえました。アマチュア野球の世界で人間として成長させてもらったので、恩返しがしたいという気持ちから野球に関する仕事を探しました。できていることに幸せを感じています」

 自分自身が地方出身者で東京六大学リーグでプレーしていたからこそ、わかることもある。中継などではドラフト候補などの注目選手に目が行きがちだが、こだわりはそこだけではない。

「東京六大学野球は華やかな雰囲気ではありますが、私は試合に出るメンバーのサポートをしているメンバー外の選手や、学生コーチ、マネージャー、応援団、新聞部など影で支える人達も含めての六大学野球だと思っています。『1試合でも出場したらBIG6.TVに出れる』と思ってもらえる様に、そしてなかなか試合を見に来ることの出来ない地方出身の選手の親御さんたちに喜んでいただける様にできるだけ多くの選手たちを取り上げるように考えています」

 昨年は引退特集で試合に出た選手を紹介する中で、最後にマネージャー特集も制作。“裏方”にスポットライトを当てた企画の反響は大きかった。

 草野球に愛情を注ぐのも同じような理由だ。野球をやることにプロも社会人、一般の人も、大人も子供も関係ない。野球への熱、思いは同じだ。

「teamsでは自分たちの草野球のホームページをご提供したり、全国のチームを対象にリーグ戦を開催したりしています。元々、草野球の大会はトーナメントが多く、負けてしまうと次がないという声がありました。消化試合の少ない、緊張感のある公式戦を届けたいな思いました」

 サイトに集まったチームで草野球リーグを作り、5月に発足させる。登録チームは随時募集中。大きなリーグを展開するのが目標だ。同じような思いを持っている草野球人がたくさんいると信じる思いが、体を突き動かす。

元ロッテ事業本部長、侍ジャパン常設化に尽力した荒木氏に感銘を受ける

 いつ、どんな時も、北田さんを突き動かす原動力は野球熱だった。

「社会人野球を辞めてから、一番最初は野球選手のマネージャーになることを目指しました。どうすればなれるか考えていたところ、スポーツビジネスっていうと言葉が出てきまして……。ただ、そう聞いても漠然としていました。大学野球部時代の先輩に、スポーツに関する仕事に就きたいと相談して、紹介していただいたのが、(現職の)SPOLABoという会社の社長と知り合いで紹介していただきました」

 同社社長の荒木重雄氏はロッテの執行役員・事業本部長として球団の経営改革を行い、根強いファンを持つ人気球団にした一人。その他にも日本サッカー協会(JFA)の広報委員、文部科学省などのスポーツ関連プロジェクトなど多岐に渡り、活躍。2013年からは、NPBエンタープライズ執行役員・事業担当として侍ジャパンを常設化させるなど、野球をはじめとしたスポーツ、ファンを優先的に考えてきた。球界をリードするその考えに触れ、「こういう人の下で働きたい」と入社にこぎつけた。

「田舎の高校生が東京の大学に進学、大学から社会人野球へ、そして今と、僕の野球人生は人との出会いがなければ、実現していません。これからも大事にしていきたいですね」

 野球の仕事に就きたい--夢は漠然とした考えから生まれることだってある。忘れてはいけないのは、初心と野球への思いだという。これから同じような思いを持つ人へメッセージを送ってもらった。

「野球の仕事をしたいという思いはもちろんですが、培った人とのつながりも大切、必ず道はひろがると思います。そこに行きつくために、野球への思いを存分にぶつけてください。野球経験の有無がどうこうではなく、弊社にも経験ない社員、スタッフもいるので、野球熱を持ってやってほしいですね」

 作り手が熱く、楽しんでいなければ、面白いものは生まれない。これからも、自分にしかできない「こだわり」と野球への熱い思いを作品とツールに詰め込んでいく。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)