8月を迎え、いよいよ勝負所に突入したペナントレース。驚異的なペースでホームランを量産し、球界の話題を独り占めしているのが、DeNAの筒香嘉智である。■ラミレス監督も称賛「打席を無駄にしていない」 8月を迎え、いよいよ勝負所に突入したペナント…

8月を迎え、いよいよ勝負所に突入したペナントレース。驚異的なペースでホームランを量産し、球界の話題を独り占めしているのが、DeNAの筒香嘉智である。

■ラミレス監督も称賛「打席を無駄にしていない」

 8月を迎え、いよいよ勝負所に突入したペナントレース。驚異的なペースでホームランを量産し、球界の話題を独り占めしているのが、DeNAの筒香嘉智である。

 先月は実に16本塁打。これは王貞治(巨人=70年6月、73年8月)の15本を超え、門田博光(南海=81年7月)、江藤智(広島=94年8月)、阿部慎之助(巨人=04年4月)と並び、月間本塁打の日本人歴代最多記録。今季32号となり、7月2日に最大10本差あったヤクルト・山田を抜き去り、ホームラン王争いでも2本差を付けてトップを走っている。

 快挙の要因となったのが、固め打ちだ。19日のヤクルト戦から記録した3戦連続1試合2本塁打、29日の広島戦で記録した月間6度の1試合2本塁打は、ともに史上初。1本打っても満足することなく、次の1本が飛び出す。高い集中力を保って試合に臨んでいる。

 それを裏付けるような数字がある。本塁打ペースをさらに上げた球宴明け、12試合で受けた四球は実に13。厳しいコースを突かれる一方、カウントを悪くすると最後は勝負を避けて敬遠気味に歩かされる。そんな状況が続いても、集中を切らさず打てる球をひと振りで仕留める。背番号25の凄さが、際立っている。

 その姿勢を誰よりも評価しているのがラミレス監督だ。自身も現役時代はホームランのタイトルを争った際には勝負を避けられたこともあり、「1打席に1球は必ずストライクが来る」と助言。「勝負してくれなくても我慢して、打席を無駄にしていない」と4番の働きを手放しで絶賛している。

■打率、打点でも山田に肉薄、3冠王へ鍵となるのは

 ここで気になるのが、筒香がどこまで本数を伸ばせるのか、だ。出場90試合で32本。2.8試合で1本を打つペースで、残り44試合で換算すると47本となる。これは、松井秀喜(当時巨人)が同じプロ7年目に記録した42本を上回る「ゴジラ超え」の数字だ。もっといえば、春先より現在の方が量産ペースが上がっていることを考えると、50本到達も決して非現実的ではなくなってくる。

 しかし、机上の数字だけで話が運ぶはずもないのがプロ野球だ。課題に挙げられるのは、シーズン佳境での攻められ方の変化だろう。

 チームは現在3位。CS進出を争う立場にある。2位・巨人は首位・広島を追いながらも、DeNAとの対決ではCSファーストステージの本拠地開催となる2位を死守することに必死になる。4位以下の阪神、中日、ヤクルトは逆転を目指してDeNAの背中を追う。1勝の価値がさらに重くなり、ひと振りで試合を決める4番との勝負を避けられることが増えるのは間違いない。

 さらに筒香自身もレギュラー定着した14年以降は年間を通して出場した経験がなく、今年も5月に右脇腹の軽度の肉離れで離脱している。肉体的に消耗の激しい8月以降、怪我を防いで調子を落とさず、試合に出続けることも必要になる。

 ホームランだけでなく、打率.333、打点75でリーグトップの山田とはそれぞれ2厘、2打点差で3冠王も射程圏に捉えた。2日からは本拠地に戻り、逆転CSを目指す阪神、中日との6連戦。得意とする横浜スタジアムでどんな活躍を見せるのか、8月も主役となりそうなハマの大砲に注目が集まる。