カナダ・モントリオールで開催された「ロジャーズ・カップ」(WTAプレミア5/7月25~31日/賞金総額271万4413ドル/ハードコート)の女子シングルス決勝で、第5シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)が第10シードのマディソン・キーズ…

 カナダ・モントリオールで開催された「ロジャーズ・カップ」(WTAプレミア5/7月25~31日/賞金総額271万4413ドル/ハードコート)の女子シングルス決勝で、第5シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)が第10シードのマディソン・キーズ(アメリカ)を7-6(2) 6-3で下し、優勝を遂げた。  ユニプレックス・スタジアムにつめかけたルーマニア人ファンたちは、望んでいたものを見ることができた。ハレプが、多くのミスをおかしたキーズを倒し、今大会2度目の決勝でタイトルを獲得した瞬間、歓声が上がり、ルーマニアの旗がはためいた。ハレプは昨年も決勝に進出していたが、熱中症のため途中棄権を強いられていた。  「モントリオールが大好きよ」とハレプは言った。彼女はこの優勝で、月曜に発表されるランキングで3位に浮上することになる。

 「多くのルーマニアの人々の応援のおかげで、我が家のように感じることができた。毎日多くの人々が応援に来てくれ、本当に驚くべき雰囲気だったわ。コートで私たちの名前をアナウンスした男性が、ルーマニア語でふたこと言ったのだけれど、それにも大いに意欲をかき立てられた」  今年、ツアーで3度優勝を遂げ、キャリアで獲得したタイトル数がこれで「14」となったハレプは、2週間前の母国ルーマニア・ブカレストでの優勝を含め、9試合に連続で勝ったことになる。これらの勝利はハレプの調子のよさを示しているが、そのブカレストの大会のことを彼女は「小さなトーナメント」と呼んだ。  ハレプはまた、同胞のモニカ・ニクレスクと組んで女子ダブルス決勝も戦い、エレナ・ベスニナ/エカテリーナ・マカロワ(ともにロシア)に3-6 6-7(5)で敗れたものの、2000年のマルチナ・ヒンギス(スイス)以来となる2冠に挑戦した。  ハレプは、最近ここで脚光を浴びた唯一のルーマニア人アスリート、というわけではない。先週の彼女は、1976年モントリオール・オリンピックの40周年記念祭に参加できるタイミングでこの町に到着した。そして、そのイベントのゲスト・スターが、同五輪で体操競技史上初の完璧な「オール10」を出して、大会を輝かせたルーマニア人のナディア・コマネチだったのだ。  「ここに着いた初日に、彼女のための大きなイベントに行ったの」とハレプ。「そのことにモティベーションを与えられたわ。(コマネチの偉業の)40年後に、ここモントリオールで優勝できたというのは素敵なことだと感じている。ルーマニア人たちにとって素晴らしいことだわ。優勝することができてとてもうれしい」。  ハレプは、キーズに対する1時間16分の試合の中で、混乱した第1セットに競り勝ち、第2セットではキーズを圧倒した。

 21歳のキーズはパワフルなサービスの持ち主だが、この日はファーストサービスを入れるのに苦労していた。そしてそのことが、ベースラインプレーヤーで、長いラリーに強いハレプに有利に働いたのだ。ハレプが辛抱強くボールを返し続ける中、キーズは繰り返し、ラリーの末にショットをネットに引っかけた。  「サービスもよかったとは思えない。ただ違いを生んだのは、そこ、ここでの競ったポイントだったのだと思う」とキーズ。「試合全体を通してそうだった。私は少し急ぎ始めてしまっていた。一歩下がって、より安全なボールを打ってもよかったときもあったかもしれない。私は時期尚早にウィナーを狙いにいきすぎていた」。  キーズはこの大会の成績で、自己ベストとタイの9位に上昇する。彼女は3回戦で、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を倒して勝ち上がった。決勝では敗れはしたが、「私はかなりいい大会を送れたと思う」と満足感も覗かせたキーズは、このあとリオ五輪に臨むことになる。  一方、リオ五輪に行かない道を選択したハレプは、勝利を祝い、数日間リラックスしたあとに、WTAのシンシナティの大会に向けて準備をする予定だと話した。(C)AP