文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

「リバウンドと速攻で走れることを強みに」

今夏のアジアカップ、そして来年の東京オリンピックを見据え、バスケットボール女子日本代表は26名の候補選手とともに本格始動した。少なくとも今年はこの中から、それぞれの大会に向けた代表選考が行われる。東京オリンピック出場の有力候補である26名のうち、唯一の学生プレーヤーが早稲田大4年の中田珠未だ。

「一番はシンプルに選ばれてうれしい気持ちですけど、ここで納得するんじゃなくて大会のメンバーに選ばれるように頑張りたいです。今はどうやってメンバーに入るかにフォーカスしています」と中田は言う。

合宿でも一つひとつのメニューに全力で取り組む姿が目立つ。183cmのサイズ以上に、走ったり跳んだりする基本動作が彼女を大きく見せる。リバウンドとボックスアウトの練習では、一人コートにダイブする姿も見られたが、「あれは足が引っかかって、ずっこけました(笑)」とのこと。「いつも気合いを入れて頑張ってますけど、代表合宿だから変に緊張することもなく、平常心でやれています。先輩がみんな優しいので、私みたいな性格でもかわいがってくれて一緒に話をしてくれるので、そんなに気負うことなくやれていると思います」

その運動能力については「自分では普通だと思うじゃないですか。でも、いろんな人に『運動能力、高いよね』とか『大きいのに走れるよね』と言われるうちに、ここが自分の強みなんだと感じられるようになりました」と語る。

代表生き残りに向けてもこう意気込む。「リバウンドと走ることを強みにしたいです。オフェンスリバウンドに飛び込んで取れれば、攻撃をもう一回増やして他の選手を生かすことができます。もう一つはファストブレイクで走れること。速攻で自分が走ることを強みにして、ドライブからのフィニッシュもバリエーションを増やしているので、それを試合で出していきたいです」

「これができたらもっとできる、そしたらすごいじゃん」

自分の強みを生かすと同時に、新たなスキル習得にも余念がない。きっかけは1年半前に行われた『女子ナショナルチーム合同キャンプ』。A代表の選手たちが指南役となり、ユニバ代表、U19代表のメンバーにトム・ホーバスのバスケットを伝えるのが目的だった。この時、ホーバスから「日本のバスケはポジションを問わず3ポイントシュートを打っていく」とのコンセプトを伝えられたのを機に、中田は3ポイントシュートを打ち始めた。

「センターだったので、それまではシューティングもしていませんでした。去年から打ち始めて、大学の試合でも打ちました。ワンハンドで3ポイントシュートは届かないという偏見があったし、独自の打ち方だったシュートフォームを改善してイチからになってしまったんですけど、最初に比べたら届くようになっています。自分のモノになったら武器になる、3ポイントシュートを打てるとなれば持ち味のドライブも生きてくる、という前向きな考えで取り組んでいます」

新しいスキルを習得し、自分のスタイルを変えていくのは簡単ではないが、「大変なことがあっても、これができたらもっとできる、そしたらすごいじゃんと考える『ポジティブ系』なんで」と中田は屈託のない笑みを見せる。そうやって見据える自分の未来像は「線が太いわけじゃないからセンターでゴツゴツ当たるのではなく、上のポジションが生きると思います。3ポイントシュートがあればドライブも生きる、リバウンドから速攻で走る、そんな選手になりたい」

A代表に入って、まだ先輩たちのすごさを感じるばかりという中田だが、それでも前向きな姿勢は変わらない。「大学とはレベルが違うので、壁にぶつかると言うか、自分の得意なプレーを止められて『悔しい!』って思うけど、それもまた楽しく感じられます。メニューの細かさ、プレーの精度はWリーグの選手はすごいし、ベテランの方も多いので勉強になります。その中で大学生らしくアグレッシブに頑張って、メンバーに入りたいと思います」

早稲田大では最終学年で『自分の代』という大事なシーズン。それと同時に代表定着、東京オリンピック出場という夢もある。令和は日本バスケ界が飛躍する時代、持ち前のポジティブさで目標に邁進する中田には、その象徴となるプレーヤーになってもらいたい。