文・写真=鈴木栄一

「点を取ることしか考えていなかったです」

琉球ゴールデンキングスは、名古屋ダイヤモンドドルフィンズを撃破し、2年連続となるチャンピオンシップのセミファイナル進出を決めた。GAME3の最終スコアは67-43と大差がついたが、前半はロースコアの重苦しい展開で、全くの互角だった。

この膠着状態を打ち破った立役者が岸本隆一だ。前日の第2戦、岸本は淡白なディフェンスが災いして出場時間3分半、0得点と何もできなかった。それがこの日は第2クォーター終盤に登場すると直後にいきなり3ポイントシュートを決め、第3クォーター残り5分に再びコートインすると、このクォーター終了までに3ポイントシュート2本成功を含む10得点をマークした。

岸本の爆発もあり、琉球はリードを14点に広げて第3クォーターを終え、そのままの勢いで第4クォーターも名古屋Dを圧倒した。

「もう開き直っていました。今日プレータイムをもらえるのか、自分でも分からなかったです。ただ、出番が来たら自分らしくプレーしようと、点を取ることしか考えていなかったです」

このように岸本は、GAME3でコートに立つまでの心境を振り返る。そして、リングに弾かれながらもバウンドしてネットに吸い込まれた3ポイントシュートか2本あったことに、ホームの後押しがあったと強調する。「うまく言えないですけど、ホームの力だと思います。アウェーだったら多分外れていた。自分が決めきった感覚はなく、ファンに決めさせてもらいました」

「1年前の借りを取り返した感覚に近いです」

振り返れば名古屋Dとは昨シーズンもクォーターファイナルで激突し、GAME3での勝利と今回と同じ結末だった。しかし、一年前のGAME3は、GAME2終了直後に前後半5分と状況は違うとはいえ、岸本は勝負どころでベンチに下げられていた。

だからこそ、今回の活躍により「1年前の借りを取り返した感覚に近いです」と言い、これで満足することはなく「この良い感覚を続けていけたらと思います」と次の戦いに繋げることしか考えていない。

セミファイナルの対戦相手は、リーグ随一の堅守を誇る前年王者のアルバルク東京だ。個々の高い能力に加え、A東京は統率の取とれた一体感が大きな武器となっている。だからこそ、岸本は自身の代名詞であり、システムを無効化できる3ポイントラインの数メートル後方から放つロングシュートがより威力を発揮できるとも考えている。

「東京さんは本当にきちんとしたシステムのチームで、やることが徹底されている。そこで、強引にでも割って行かなければならない場面は絶対に出てくる。そういう時に自分の力が必要になると、自分自身を信じています。レギュラーシーズンで対戦したイメージだと、そこでアドバンテージが取れたと思っているので、自信を持ってぶつかっていきたい」

カリーとリラードから学ぶ『シューターの覚悟』

ロング3ポイントシュートと言えば、NBAのプレーオフでブレイザーズのデイミアン・リラードが、サンダーを下す劇的ブザービーターを沈めて大きな話題となった。Bリーグ随一のシュートレンジを誇る岸本も「意識はします。チームメートとは結構、あのプレーの話はしました。冗談混じりではありつつも、結構本気で自分も狙っています」と笑みを見せた。

さらに「ウォリアーズとロケッツのGAME1、ステファン・カリーが試合を通して全然当たっていないのに、最後に試合を決めるようなシュートを決めたのを見ていても、打ち続けることはすごく大事だと思います。たとえシュートが外れていてもそこはビビることなくシュートを狙い続ける気持ちを持って臨みます」とシューターとしての覚悟を明かす。

琉球とA東京は、Bリーグの『歴史的開幕戦』のカードだが、あの時はA東京が貫禄を見せて連勝を挙げている。当時の琉球で今も残っているのは岸本と金城茂之、田代直希のみ。2年前から大きく成長したことを岸本が証明できた時、琉球のファイナル進出はより現実的なものとなってくる。