TEAM1Q2Q3Q4QTOTAL早大 BIG BEARS71731037慶大 UNICORNS070613  早大自慢のホットラインがエンジン全開で走り出したーー 今年で67回目を迎えた早慶対校戦。時代をまたぎ続く戦いはこれまでに数々の名…

TEAM1Q2Q3Q4QTOTAL
早大 BIG BEARS171037
慶大 UNICORNS13

 

 早大自慢のホットラインがエンジン全開で走り出したーー


 今年で67回目を迎えた早慶対校戦。時代をまたぎ続く戦いはこれまでに数々の名勝負が繰り広げられてきた。まさに伝統と呼ぶにふさわしい一戦が、今年も駒沢陸上競技場にて開催された。試合は終始早大ペース。前半、QB柴崎哲平(政経4=東京・早大学院)からWRブレナン翼(国教4=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)へのホットラインでのパスが決まり幸先よく先制に成功する。その後慶大にTDこそ許したもの、2つのTDとK/P髙坂將太(創理3=東京・国立)の44ヤードFGで大きくリードを広げ、24-7で前半を折り返す。後半は慶大のトリックプレーに翻弄(ほんろう)される場面もあったが、昨関東学生秋季リーグ戦(リーグ戦)王者としての威厳を見せつけ37-13の快勝。『平成最後の早慶戦』は早大に軍配が上がった


今シーズンを占う、伝統の一戦に臨んだ

 試合はいきなり動いた。WR小貫哲(教3=東京・戸山)へのパスとRB広川耕大(社3=東京・早実)のランを織り交ぜ敵陣へと侵攻。テンポの良いオフェンスでエンドゾーン目前まで迫ると、最後は柴崎からブレナンへのパスを決めTD。ファーストシリーズで先制点を奪うと、会場のボルテージも急上昇。試合開始早々、早大のビッグプレーメーカーが今年も大活躍の予感を漂わせる。一方のディフェンスも慶大の立て続けの反則に加え、DB高橋弘汰(法3=東京・早大学院)のロスタックルなども飛び出し得点のチャンスを与えない。そのまま試合は動かず第1クオーター(Q)を終えると、第2Q最初のシリーズは両チームともにパントで攻守交替。お互いオフェンスが攻めあぐねる展開が続く。そんな中迎えた早大のオフェンスシリーズでミスが起こる。慶大DL陣のアグレッシブなラッシュにOL陣がこらえきれず。柴崎がDL並木琢朗主将(慶大)の強烈なQBサックを受け、たまらずファンブルロスト。自陣27ヤードの地点で攻撃権を奪われる。一度変わったモメンタム(流れ)を奪い返すことはできずQB西澤巧馬(慶大)から工藤眞輝(慶大)へのパスを通され同点に。焦ってミスを続けてもおかしくない展開であったが、昨年の関東王者は冷静だった。RB吉澤祥(スポ2=東京・成蹊)の力強い2つのランで敵陣まで進むと、ブレナンがダブルカバーをものともせずロングパスをキャッチ。一気にゴール前まで進む。最後はパスプロテクション中央にできた穴へQBスクランブルで果敢に突破、そのままエンドゾーンへと駆け抜けTD。柴崎らしからぬプレーにスタンドが沸いた。勢いづいた早大は髙坂の44ヤードFGとこの日2つ目となるブレナンへのTDパスで慶大を突き放し、24-7で試合を折り返す。


この日2つ目のTDをあげ笑顔のブレナン(写真左)

 後半に入ると、早大はQBを宅和真人(政経3=東京・早大学院)にチェンジ。前半以上にプレッシャーをかけてくる慶大ディフェンスに対し、なかなか得点を奪えず試合は均衡状態に。それを打ち破ったのはDB藤崎利応(社3=東京・早実)のインターセプトだった。慶大WRのパスコースを先読みし、敵陣25ヤード付近でボールをキャッチ。得点圏内からの攻撃権を獲得。続くオフェンスシリーズはランで攻めるもDB田中瑛(慶大)のロスタックルに阻まれTDまでは届かず。FGで着実に追加点を加える。その後は慶大にトリックプレーでの一発TDを奪われる場面もあったもの、この試合何度か好キャッチを見せていたWR伊藤裕也(国教4=埼玉・早大本庄)のTDが飛び出すなど得点を加え、最終スコアは37-13。後半オフェンスはやや失速したが快勝を収め、早大としては早慶対校戦初となる5連勝を遂げた。


池田主将を中心にディフェンス陣も奮闘

 今年のBIG BEARSもオフェンスが強力だ。柴崎、ブレナンのホットラインは健在。4年生の伊藤が好キャッチを見せれば、OLは後半メンバーを大幅に変えた中で昨年まで控えに回っていた選手たちが躍動を見せた。懸念されていたRBも広川、吉澤の台頭で競争が激化、デプス(選手層)に厚みが生まれ始めた。一方のディフェンスは昨年の主力が多く抜けたDLもDL箕輪京介(社4=東京・早大学院)、DL古田泰一(法4=東京・早大学院)の早大学院コンビを中心に多くの選手が出場し、慶大にプレッシャーをかけ続けた。試合経験のあるメンバーが多く残ったLBとセカンダリーのポジションは安定したプレーを展開。2つのTDこそ許したが、良いフィールドポジションでのターンオーバーを奪うなど、要所をしっかりと抑えるディフェンスで慶大オフェンスを防いだ。TOP8の強豪・慶大に対し危なげのない勝利をあげ、新体制として上々の船出となった春の大一番。下級生の成長が著しいポジションも多く、チーム全体として昨年以上の競争の激しさが増した印象。悲願の『学生日本一』へ向け、BIG BEARSは確かな一歩を踏み出した。


柴崎が宣言通りのMVP獲得

(記事 涌井統矢、写真 林大貴、鈴木隆太郎)






得点経過
TEAMPLAYPLAYER(S)PATPLAYERG/NGスコア
早大PASS#1柴崎→#6ブレナン#96髙坂7-0
慶大PASS#1西澤→#21工藤#22山本7―7
早大RUN#1柴崎#96髙坂14-7
早大FG#96髙坂17-7
早大PASS#1柴崎→#6ブレナン#96髙坂24-7
早大FG#96髙坂27-7
慶大PASS#21工藤→#2佐藤凱/td>#22NG27―13
早大PASS#1柴崎→#19伊藤#96髙坂34-13
早大FG#96髙坂37-13
コメント


DB大西郁也(法3=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうの試合はベースで戦うというディフェンスの方針のもと、春からやってきた基礎練習を生かし、自分たちのベースというものはぶつけられたかなと思います。また、相手のパスで攻めこまれるシチュエーションもあったんですけど、粘ってロースコアに持ち込めたのは良かったと思います。また、課題としてはベースのところで相手にロングドライブされているという点では基礎の部分が足りていないのかなと感じます。

――早慶戦での勝利はやはり格別ですか

そうですね。慶大とは毎年2回試合し、その中で、1回1回の勝負が歴史に残るというか、ただのレギュラーシーズンとは違って早慶戦は何勝何敗という記録も残るので、そのような試合で勝てたのは価値が大きいかなと思います。

――慶大と実際戦ってみてどういう印象を持ちましたか

毎年、慶大は春は体格が大きいという印象がありますね。

――インターセプトで惜しい場面がありましたがそこに関してはいかがですか

あの場面は自分の練習不足でボールを落としてしまったので、そこは反省ですね。しっかりと練習していきたいなと思います。

――きょうの試合を通して意識されていたことは何ですか

きょうの試合のコンセプトはベースなので、自分たちもシンプルにいこうと頭の中をクリアにして自分のやるべきことが明確になるようにしました。例えばパスだったら自分の中でのパスの役割とは何かということを試合前にしっかりイメージして何をすべきかをクリアにして試合に臨みました。

――DBというポジションを任されていますがそこで意識していることは何ですか

リアクションですね。やはりDBというポジションはアスリートがそろうポジションで、レシーバーの動きに合わせて動くわけなので、それにいかに早くリアクションできるかということを細部までこだわってやっていますね。アジリティー、スピード、そういった中での一歩の差とか駆け出しを意識してやっています。

――今シーズン1年を通しての意気込みをお願いします。

去年自分自身も甲子園ボールに出て悔しい思いをして、その中で今シーズンは春にベースを作って、秋にいかに自分たちが築き上げてきたものを出せるかが問われると思っています。ですがまだまだ春シーズンも長いですし、夏もありますし、そこから自分の中でどんどんレベルを上げて、甲子園ボール優勝を目指したいですね。


髙坂將太(創理3=東京・国立)

――きょうの試合を振り返って

FGでは結果を残せたのでよかったのですが、最初のキックオフでアウトオブバウンズになってしまったりだとかっていうことがあったので…。FGを全部決められたことは調子が良かったかなと思いますけど、パフォーマンス的にもあまりいいキックではなかったと思うので、もう少し、関西や日本一を意識したキックでは 、パフォーマンスを出さないといけないなと思いました。

――早慶戦にどのような意気込みで臨みましたか

僕はキッカーとしての目標なんですけど、早慶戦は勝つことを第一条件にして、自分にとってどの試合の中でも一番大事な試合だと思っていました。厳しいトレーニングをしている中でも、早慶戦だけはハイパフォーマンス、ベストパフォーマンスで臨めるように準備してきたつもりでした。

――先月の対談の中で流れを作るキックが蹴りたいという言葉がありましたがその点についてはいかがですか

反省でいえば、キックオフでアウトオブバウンズになってしまった場面は流れを作るという意味では悪い流れにしてしまったと思っています。逆にオンサイドというか、自分たちがボールを確保出来た場面ではFG慶応側のミスもあったりしたんですけど、自分たちに有利なボールをそのままTDまで持っていけたので、いい流れが作れたかなと思います。でも、まだ自分が目標にしてるところには全然辿り着いてないので、これからも頑張っていかないといけないと思いました。

――44ヤードのフィールドゴールについてはいかがですか

自分の中ではヤードとかが増えても気持ちが変わることはなくて、毎回毎回同じメンタルでいつものルーティンで、いつもどおり蹴るっていうのをやっていたら入ってくれたな、という感じです。

――最後のキックのホルダーだけQB吉村さん(優、基理3=東京・早実)でした

吉村もいつも、練習でやってるので不安とかは何も無かったです。彼もめちゃくちゃちゃんと練習してくれてるので、そこに対しての心配はなかったですね。

――最後に、今シーズンと今年のご自身の目標を教えてください

BIG BEARSは日本一を目指してるので、その中で自分が日本一のキッカーにならなきゃいけないっていうのは絶対条件ですし、ライバルっていうのは自分の中でしっかり思い描いてる人がいるので、その人たちに負けないように頑張りたいと思います。


RB広川耕大(社3=東京・早実)

――どのような意気込みで試合に臨みましたか

こういうビッグゲームで初めてのスタメンだったので、TDしてやるとか、慶応に勝ってやるとかそういう気持ちで挑んだんですけど、結果的にはTDも取れなかったし、自分の実力は出せなかったかなという感じですかね。

――きょうの試合を振り返って

やっぱり慶応のタックルが強くて、自分の体の弱さを感じましたし、戸惑ったり焦ったりしたので、自分の実力が出せなかったです。

――慶応のディフェンスの印象は

低いタックルで、しっかりと足を狙ってくるので、とても良いタックルだなと思いました。

――大きな舞台で試合してみてどうでしたか

結構緊張するのかなと思っていたんですけど、割と緊張せずにできたと思うので、あとはプレーの質とか、焦らないで冷静にやるというのをしっかりやっていきたいと思います。

――オフシーズンはどのようなことに取り組んできましたか

去年から課題だったフィジカルアップというのを考えてやっていて、しっかりとその辺はできたかなと思ってきょう挑んだんですけど、足りないところがあったかなと思います。

――春シーズンと1年間の目標は

チームで掲げている「甲子園で勝つ」という目標が1番で、また、関東一、全国一のRBになるという目標でやっているので、そこを達成できるようにしたいです。


RB吉澤祥(スポ2=東京・成蹊)

――初の早慶戦出場となりましたが、どのような意気込みで臨まれましたか

こういう大きい会場でやるのが初めてだったので緊張しないようにとは思っていました。あと、TD取れたらいいなというのは思ってました。

――きょうの試合を全体的に振り返っていかがですか

1本だけいいランはできたんですけれど、それ以外が全然練習でやったことができなくて、ちょっと悔しさが残る試合ではありました。

――練習でやったことができなかった原因は緊張だったのでしょうか

最初は緊張で足が回らなかったというのもあるんですけど、やっぱり視野が狭くなったり、いつも通りとは違った走り方になってしまったなとは思います。

――実際に慶応と戦って、慶応にはどのような印象を持ちましたか

タックルが強かったなというイメージです。

――オフシーズンの間はどのような練習に取り組んできましたか

筋トレは毎日したのと、あと陸上のトレーニングを短距離が速くなるように走り方のトレーニングをしました。

――冬にやったそのトレーニングの成果は今回出すことはできたでしょうか

体の強さ的には多少は生かせたと思うんですけど、まだまだ足りていないので、この後ももっとやっていかないとなと思います。

――冬に取り組まれた練習の中で自分の強みは見つかったでしょうか

スピードには元々自信があったので、それにより磨きがかかったのはあるかもしれないです。あとは体が強くなったこと、体がちょっと大きくなったので成果は出たと思います。

――最後に春シーズンと今年一年間の目標をお願いします

このままもっといいプレーを継続して、まずは試合に出られるように。試合に出たらそのままもっと活躍できるようになりたいと思います。


(高岡監督、池田主将を含む4年生の方々のインタビューは後日掲載いたします)