東京六大学リーグ春季リーグ戦 対慶大 2回戦 2019年4月28日(日) 神宮球場 昨日の1回戦では終盤に逆転を許し、敗戦を喫した法大。明日につなげるため、何としても勝利したい今日の一戦は緊迫した戦いとなった。初回、リーグ戦初先発の鈴木昭…

東京六大学リーグ春季リーグ戦 対慶大 2回戦
2019年4月28日(日)
神宮球場

昨日の1回戦では終盤に逆転を許し、敗戦を喫した法大。明日につなげるため、何としても勝利したい今日の一戦は緊迫した戦いとなった。初回、リーグ戦初先発の鈴木昭汰(キャ3)がテンポよく抑えると、その裏に打線が奮起。相馬優人(営4)の右翼線適時二塁打と安本竜二(営4)の2試合連続本塁打となる左越え3ランで4点を先制する。5回には宇草孔基(営4)の左中間ソロも飛び出し、法大ペースで試合が進んだが、終盤、中村建人の左中間適時二塁打で1点差に。すると、8回からは昨日先発した三浦銀二(キャ2)がマウンドへ。法大のエースが疲れを感じさせない投球で慶大打線を寄せ付けず、5-4で辛くも勝利。勝ち点の行方は明日の第3回戦へと委ねられた。

試合結果

      123 456 789 計H E
慶 大 000 110 200 4 8 0
法 大 400 100 000 5 8 0

(慶大)●木澤、森田晃、石井、増居、佐藤–郡司
(法大)○鈴木、朝山、三浦–渡邉
[本塁打] 安本2号3ラン(1回=木澤) 嶋田1号ソロ(4回=鈴木) 宇草2号ソロ(4回=石井)

戦評

昨日の敗戦から一夜明け、迎えた第2戦。絶対にこのカードを落とせない法大は、第2先発を昨秋、フレッシュリーグトーナメント1回戦で参考記録ながら無安打無得点試合を達成した左腕・鈴木昭汰(キャ3)に託した。

リーグ戦では初先発となった鈴木は初回をきれいに三者凡退に抑えるとその裏、打線が応える。四球2つで2死一、二塁と好機を作ると、打席には7番から5番に打順が上がった相馬優人(営4)。右翼線に強烈な先制適時二塁打を放つと、さらに6番・安本竜二(営4)も続いた。「できすぎな形で鈴木を援護できた」と試合後に納得のいく表情で語ったように、甘く入った真っすぐを左翼席へ持っていき、2試合連続の本塁打となる3ランで慶大先発・木澤尚文の出鼻をくじく。

左越え3ランを放ち、相馬(左)と伊藤(右)に出迎えられる安本

4点の援護をもらった鈴木は走者こそ出すものの、要所を抑える投球を見せる。3回表にはピンチを招くも変化球と真っすぐを巧みに駆使して二者連続三振を取ってみせた。4回表には5番・嶋田翔に抜けた変化球を左中間本塁打にされ、嫌な空気が漂うも、その裏に宇草孔基(営4)も負けじと左中間にソロ本塁打を放つ。しかし、5回表にも2死から四球を出し、代打・鶴岡嵩大に左越え適時二塁打を打たれてしまう。

なんとかもう1点が欲しい法大は6回、渡邉雄太(キャ3)が右前打で出塁すると、鈴木、宇草は打ち取られるも、昨日4三振と悔しさの残る舩曳海(キャ4)が右前へ運び、2死一、二塁とし、主将・福田光輝(人4)が打席へ。しかし、4番手・増居翔太の投じた外角の変化球に手が出てしまい、空振り三振。追加点を挙げることはできない。

最大のピンチは7回表だった。8番から始まる慶大打線に安打、四球で塁を埋められる。1番・柳町達の痛烈な打球を今季から一塁手にコンバートされた伊藤寛士(文4)が好捕し、続く代打・福井章吾を鋭く曲がるスライダーで三振を奪う。ここで、好投を続けていた鈴木に代えて、朝山広憲(法4)がマウンドへ。

粘投を見せた鈴木(左手前)は7回途中でマウンドを降りた

しかし、中村健人に外へ逃げる変化球をうまく左中間に運ばれ、2点適時二塁打を許してしまう。調子の上がらない朝山は続く打者を四球、そして暴投も絡み2死二、三塁と一打出れば逆転のピンチに。高めの真っすぐでなんとか中飛に抑えると、ほっと胸をなでおろした。

8回表からは昨日の1回戦で7回・101球を投じた、三浦銀二(キャ2)が今カード2試合目のマウンドに上がった。連投による疲れが心配されたが、「自分が思っていたよりも疲労はない」と語ったようにテンポの良い投球で慶大打線を0に抑える。9回表も完璧な投球を披露し、試合終了。勝ち点の行方を明日以降に持ち越し、先発した鈴木はリーグ戦初白星を手にした。

なんとか投手陣が踏ん張り、序盤の好機を逃すことなく点を重ね、勝利した法大。しかし、昨日、今日の試合で痛感したように、慶大打線は上位、下位どこからでも得点を取りにいける隙のない打線だ。明日の試合ではこの強力打線をいかに封じ込めるかが鍵となるだろう。2連覇へ向けて負けられない戦いは続く。 (加瀬航大)

クローズアップ:鈴木昭汰

「ホッとしています」。試合後、ウイニングボールを片手に笑顔を見せたのは先発の鈴木昭汰(キャ3)だ。

負ければ優勝が一歩遠のく今日の一戦。リーグ戦初先発のこの男が粘りの投球でゲームメイクし、白星をつかんだ。 立ち上がりの悪さを課題とする鈴木だが、3回までは無失点で抑えた。中盤には2点を失ったものの、要所を締めて慶大に勢いを与えない投球を続ける。7回にピンチの場面で代打・福井章吾を空振り三振に斬り、2番手の朝山広憲(法4)とグラブタッチを交わして降板。その後、チームは追い上げを図る慶大から逃げ切り、自身はリーグ戦初勝利を挙げた。高校時代まで絶対的エースだった鈴木にとって、ここまでの道のりは長かった。法大入学以降はベンチ入りもかなわない時期が続き、上級生となるこの春に感じていたのは「焦り」。そんな中でもオープン戦では自分の投球を貫いてコツコツと結果を出し、大一番での先発を任されるまではい上がってきた。

昨季とは異なり、第2先発の座が埋まっていない今季の法大。かねてから「先発で投げたい」と語る鈴木にとって、神宮で躍動する大きなチャンスだ。2年間の悔しさを晴らすべく、ここから逆襲してみせる。 (渡辺詩織)

選手インタビュー

宇草 孔基 副将
—今日の試合を振り返って
1戦目を落としてしまったので、なんとか全員で勝とうと思い、試合に入りました。

—初戦を落とした中で今日を迎えましたが、試合前の雰囲気は
1戦目もそんなに悪い形で負けたわけではなく、どっちに転ぶか分からない状態で向こうにいったので、いい意味でいつも通りにやろうと。気持ちが入りすぎて空回りするのではなくて、やるべきことをしっかりやろうという形で試合に臨みました。

—今日は打順が1番での出場でした
自分の中で1番と2番は準備の仕方であったり、考え方も全然違うので、しっかり心と頭を整理して試合に入りました。

—昨日、8回の場面で郡司裕也捕手に盗塁を刺された中で、今日は成功しました
昨日のスチールも結果的にアウトになりましたけど、全然僕の中では悪いスチールじゃなかったので、正直アウトになったときはすごく悔しかったですけど、もう一度冷静にいけるときはいこうとした結果、成功しました。それが自分の中で自信になったというか、そこでやっぱり、引いてしまったら駄目だと思うので、ちゃんと冷静に根拠を持っていけたということがつながると思います。

 —4回に逆方向へ本塁打、6回にもあわや本塁打という当たりでした
調子はいつも通りです。コツコツ続けている継続の力が要因だと思います。

—明日に向けて意気込みをお願いします
本当に大事な試合というのは誰もが分かっていて、チームもすごく良い形なので、気持ちが空回りすることなく、やるべきことをやるということに徹底して、それが勝ちにつながればと思います。


鈴木 昭汰 投手
—リーグ戦初勝利おめでとうございます。率直なお気持ちは
ホッとしています。(初勝利までの)道のりは長かったです。 —先発することはいつ伝えられ、どう思ったか 東大の2回戦の途中で言われました。東大戦は僕だけ投げなかったので、その時点で「先発かな」と。金光(興二、監督代行)さんにも先発と言われて、やるしかないなと思いました。

—勝ち点奪取にあたり大事な一戦でしたが、どんな意識でいたか
そこ(先発)を任せてもらえるということで、その期待にしっかり応えたいなと思いました。自分のためにもチームのためにも、本当に勝ちを付けたいなと思っていました。

—慶大対策は
打線がつながるので、点を取られたとしても最小失点で切り抜ければチームの流れが(慶大に)いかないかなと思っていました。

—4回には嶋田翔選手にソロを浴びました
(打たれたボールは)スプリットだったんですけど、ちょっと高かったかなと思います。(当時)4点差あったので、ソロというのが逆にうまく切り替えられました。

 —今後の登板機会ではどのような投球を
とりあえず秋春連覇に貢献できるように頑張りたいです。

—これからの試合に向けての意気込み
明日の試合で慶応から勝ち点をとって、明日勝ったら優勝に近づくと思うので頑張りたいと思います。


三浦 銀二 投手
 —今日の試合を振り返って
展開が展開だったので、楽に勝てればいいなと思っていましたけど、終盤にかけて慶応も強いし、点差を詰めてくるというのは分かっていたので、気持ちの準備は怠らないようにしていました。

—登板するのはいつ伝えられたか
朝山さんが7回を(投げ)終わってからですね。

—今日登板する準備というのは
全くしていなかったですね(笑)。自分の中では、明日に備えつつ試合でも見てようと、楽な気持ちで見ていたんですけど、さっきも言ったように終盤にかけて試合が切迫していったので。

—マウンドに立った時のお気持ちは
本当に気持ちでは相手に負けないようにという気持ちで投げていました。

 —2日連続の登板となりましたが、打者に対してどのような組み立てをお考えでしたか
昨日柳町(達)選手とか、左バッターにやられているので、その点は自分の中では修正して、真っすぐ主体というか、真っすぐで押していければいいなと思っていました。

—疲労の方は
なくはないですけど、自分の思ったよりもないので、そこは安心して見ていてください。

—次に向けて
明日も投げることになるなら、しっかり準備してチームを勝利に導ければ良いかなと思います。
 

相馬 優人 内野手
—今日の試合を振り返って
昨日の試合を落として、今日勝たないと明日につながらないということで、すごく大事な試合というのは皆がわかっていました。その中で、粘って粘って、最後に勝つことができて、明日に良い形でつながったのではないかなと思います。

—今日は打順が変動し、相馬選手は5番に座りました
5番というのは大学に入ってから初めてでした。僕が5番に上がったのは、長打を求められているというわけではないと思っていたので、今まで通り、つなぐという意識はありました。

—初回、好機の場面で打席が回り、見事な適時打で期待に応えました
金光さんからも、「(相馬選手が)チャンスに強いから5番で使いたい」という風に言われていて、自分でもチャンスの場面で打席に立つことは好きなので、そういう意味であの打席はワクワクした気持ちで打席に入りました。なんとしても結果を出そうという気持ちもあって、結果が出たので良かったです。

—先発投手はリーグ戦初登板となった鈴木選手でしたが、その姿を後ろから見ていて
初先発でしたが、そんな感じを出さずに、堂々と投げることができていたので、そこはやっぱり、後ろから見ていても頼もしいなと思いました。

—明日は初戦で苦戦を強いられた高橋佑樹選手の先発が予想されます
初戦に意識したのが、変化球を投げてくる中で、それに対して開かずに打っていくということでした。明日も意識することとしてはそれですね。

—最後に明日に向けての意気込みをお願いします
一人一人が役割をしっかりこなすことができれば、おのずと勝利が見えてくると思うので、そこは本当に、自分のやることをしっかりとやって、絶対に勝ちたいと思います。


西山 翔真 内野手
—今日の試合を振り返って
自分たちのリーグ戦の山場が慶大戦ということで、1戦目は負けてしまったんですけど、2戦目は全員でしっかり結束していこうという話をしました。それで最初、押せ押せでそこからどんどん緊迫なムードになってきたんですけど、「焦らずにいこう」とみんなで話して、最後まで逃げ切ることができて良かったなと思います。

—慶大への対策は
1戦目が終わって、帰ってから全員でしっかりバッティングしようと言って、木澤(尚文)投手が投げてくるということは大体予想していたので、それに向けてローボールの見極めというのを全員でやりました。

—後半に追い上げられた要因は
慶応の底力を見たなと思いました。とくに3番の中村(健人)選手が上手でした。

—途中出場から安打を放ちました
初球からいこうと思ってました。この前も代打で打席に入った時に変化球から入ったので、今回も変化球から入ってくるだろうと思って、布石なんですけど、真っすぐを狙うためにバントの構えをしてから、バットを引いてボール球でも振ろうという感じでいったら、あそこに飛んでましたという感じです(笑)。

—チームの雰囲気は
とてもバッチリだと思います。

ー明日の試合に向けて一言お願いします
明日もしっかり勝てるように準備したいと思います。


安本 竜二 内野手
—今日の試合を振り返って
勝って明日につなげられたので、それが一番良かったです。 —試合への臨み方は 皆で強い気持ちを持って、今日勝つしかなかったので、どんな展開になっても1点ずつ取っていくと考えていました。

—初回、好機で打順が回りました
相馬(優人、営4)がチャンスで良い当たりを打って僕につなげてくれたので、なんとか今日はチャンスで1発打ちたいなと思っていました。

—打った球種は
多分ストレートだったと思います。あんまり覚えていないです(笑)。

—本塁打を打った感触は
昨日と同じ感じで、打った瞬間にいったなと思いました。

 —昨日は『つなぐ意識』というのを重点に置いていたと思います
そうですね、あの打席もホームランを狙っていたというわけでは無いので、一番できすぎな形で、良い形で鈴木(昭汰、キャ3)を援護できたので良かったと思います。

—先発の鈴木投手が好投しました
もう本当に頑張っているやつなので、なんとかあいつに勝ち星をあげたいなとみんな思っていたので、粘り強く投げてくれて、良い形になって良かったです。

—明日の第3戦に向けて
明日も勝って、勝ち点取るしかないなと思います。


舩曳 海 外野手
—接戦を制しましたが、試合を振り返って
先制したあと、宇草がホームランを打ってからは打線が沈黙していて、相手に流れがいってしまったんですけど、最後にやっぱり(三浦)銀二がしっかり抑えてくれたので良かったです。

—昨日打撃が奮わなかった中、今日は安打が1本出ました
昨日、4三振で修正できる部分はあったと思ったので、そこをしっかり修正できて良かったかなと思います。

—3打席出塁という結果については
自分の中では「打てるボールを打とう」という感じで見逃していったらフォアボールになりました。フォアボールになるということはボールが見えてるということなので、良かったかなと思います。

—今日は打順が2番に変わりました
1番、3番が当たっているので、そこで僕が「ストッパーにならないように」というのを、それだけは絶対と思っていたので、今日はフォアボールもあり、進塁打も打てましたし、その点は良かったと思います。

—明日は髙橋佑樹投手の先発が予想されますが、対策などは
気持ちで食らいつきます!

フォトギャラリー

先制の右翼線適時二塁打を放った相馬
左翼席へ豪快な3ランを放った安本
宇草は本塁打を含む2安打で現時点での打率ランキングトップに
昨日4三振に終わった舩曳は4打席目に安打を放ち、塁上で雄叫びを上げた
慶大に追い上げを見せられた終盤、ベンチでは福田主将を中心に円陣を組んだ
三浦は8回からマウンドに上がり、慶大打線を封じ込めた
途中出場ながら安打を放った西山は今後も勝負所での一打に期待がかかる
最終回を三者凡退に抑え、明日につなげた三浦(右)は渡邉とグータッチを交わした