文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

「このままB2に落ちてしまったら自分の責任」

4月27日に行われたB1残留プレーオフのレバンガ北海道vs横浜ビー・コルセアーズ。GAME3を北海道が逆転で勝利して残留を決めると、選手たちの歓喜の輪ができた。ベンチ裏に陣取ったおよそ200名のブースターと喜びを分かち合う中、桜井良太は頬を振るわせつつ涙していた。

昨シーズンの最終戦で足首を骨折。これが厄介なケガで、痛みはあるもののレントゲンでは骨折が確認できず、CT検査でようやく状況が判明した。2カ月で治るはずが改善せず、リハビリもできないまま夏を過ごした。「開けてピンで止めたんですが、骨がなかなかくっつきませんでした。連続試合出場のこともあり、休んでいてもくっつくかどうか分からなかったので、シーズンが始まる1週間前から練習をスタートさせました」と桜井は明かす。

結局、この残留プレーオフのGAME3に至るまで、痛みを抱えながら騙し騙しのプレーを続けることになった。「シーズン中にコンディションが戻ると思っていたのですが戻らず、今までプレーで引っ張るつもりでやってきましたが、それが全くできないシーズンになりました。このままB2に落ちてしまったら、自分の責任がかなり大きいと……自分としても苦しいシーズンでした」

3月に36歳となった桜井。『鉄人』と呼ばれていても、もう若くはないし、満身創痍だ。苦しいシーズンを過ごすうちに、引退の二文字が頭をよぎることもあったそうだ。ただ、それは引退しようか悩むのではない。「チームに貢献できないのでは選手でいる意味がないので、そういうことも考えました。でも、これでシーズン何もできないまま引退していいのかと思っていました。自分が納得して動けるような身体を作って、それで貢献できないのであれば引退だと」

「最後にブザーが鳴った時にようやく光が見えた」

今も片足ではジャンプできないという桜井だが、痛みはだいぶ引いてきたとのこと。前日の第1戦で逆転負けを喫して後がなくなり、桜井にも期するところはあった。

「昨日の試合を振り返ると外国籍選手の得点が多く、バイロン(ミュレンズ)が35得点取っても勝てていない。試合前に、残留するには日本人選手がやらなければいけない、と話しました。それで今日は昨日よりも日本人選手の活躍が多く、それが勝因になったと思います」

日本人選手の活躍が目立った中でも、折茂武彦、野口大介、桜井と、北海道を長年引っ張ってきたベテランのプレーには気迫がこもっていた。第2戦では折茂が両外国籍選手に続いてチームで3番目に長い26分半のプレーでチームを鼓舞し、第3戦ではデイビッド・ドブラスのファウルアウトを受けて野口が相手の外国籍選手をマークした。

そして桜井はと言えば、第2戦では20分の出場で12得点、第3戦では7分の出場で4得点。横浜の爆発力のスイッチとなる川村卓也をマークし、要所で印象に残る働きを見せた。中でも最大のものは、第3戦の終盤に川村のアンスポーツマンライクを誘発した速攻だろう。その後、ビーコルブースターによる地鳴りのようなブーイングの中、フリースロー2本を確実に決めてチームは逆転に成功。結果、この時のリードを守り抜いて北海道が残留を勝ち取った。

レギュラーシーズンは22連敗で終わり、プレーオフの初戦も落とした。それでも、残留に必要なラスト2試合の勝利を何とかもぎ取った。「最後にブザーが鳴った時にようやく光が見えたと思い、気が緩んだら涙が出てきましたね」と桜井は言う。

もっとも、終わり良ければすべて良し、とは考えない。「休まずまたリハビリから始めていこうと思います。今シーズン活躍できなかった分は、来シーズンにやりたいので」。この男、やはり鉄人だった。来シーズンもまたB1を戦う北海道は、桜井の力を必要とするに違いない。